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久しぶりにハードカバーの本を買って読んだ。
四章から成る短編集の構成だが、根底には第一章の事件と新興宗教団体が横たわっている。
第三章までは、ふ〜んて感じで読み進んだが、ラストの短い第四章で全てが繋がり、明らかになる。
…いや、違うな。明らかになったように見えるが、考えれば考えるほど謎が深まるし、想像が膨らむ部分が出てくるし、複数の解釈が浮かんでくるし…で、自分の考察に自信が持てなくなる。そしてまた読み返してしまう。
まさに、作者の思うがままに誘導されてしまう。
これだけ娯楽メディアが溢れ、ミステリーも出尽くした感がある世の中で、一冊でここまで様々な要素を散りばめている作者の力量はすごい!
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普段は単行本は買わないのですが…気になって買ってみました。
3つの物語で4つ目につながる。
それぞれの物語の終わりに『はっ』とする感覚。
ネットとかでネタバレ見ながらだったけど(笑)
結末が分かった上でもう一度読みたい本です。
2回目は★が増えるかも〜。
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いやぁ、久しぶりの道尾作品。完全にやられてしまいました。
ちょっと暗い内容の連作短編集ですが、毎回その巻末には図があり、その章に対して自分が思っていたことと違う事実を見せつけられます。
①弓投げの崖を見てはいけない
自殺の名所となっている崖で保育士の邦夫は事故を起こす。そこは自殺の名所というだけでなく、運転中にその崖を見ると死亡事故が起こるという崖だ。その事故は霊の仕業ではなく、若者たちの過失によるもの。意識を失いかけた邦夫をリーダー格の男は事故死に見せるよう邦夫の頭をハンドルに叩きつけ・・・
それからリーダーがその崖で何者かに襲われ死亡。仲間も行方不明となる。
②その話を聞かせてはいけない
中国から家族で日本にやってきた珂。珂は文房具屋である事件を目撃する。それは珂の想像するに殺人事件だった。それを裏付けるように、文房具屋に確認に行った珂は誘拐されてしまう。
目隠しをされ崖に連れてこられた珂の運命は・・・
③絵の謎に気づいてはいけない
宗教団体の幹部である宮下志穂が自宅のマンションで自殺をしているところを発見される。果たして彼女は自殺だったのか。疑問に思い、捜査をする竹梨と水元。その後、そのマンションの管理会社の代表取締役が殺され、続いて水元が自殺。
竹梨には暗い思いがあった。
④街の平和を信じてはいけない
7年前の事件(①の事件)について告白文を書き、竹梨を呼び出した邦夫。手紙を渡し、その後自殺を図ろうとするが、保育士時代に担当した珂と会う。もう一度生きたいと願うが、告白文は竹梨のカバンの中へ。竹梨が珂たちと話している隙に手紙を盗み取った邦夫。しかし、その手紙は竹梨の告白文だった。
絶体絶命となった邦夫の運命は。その手紙を手にした竹梨は困惑する。
終章では邦夫の想い、弓子の願いが伝わってきて、素晴らしいラストとなります。そして、それを巻末の図一枚で表現してしまう道尾秀介の手腕にはただただ脱帽。
暗いけれど、優しさが覗く道尾さんらしい素晴らしい作品です。
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道尾さんの本はこの本で13冊目。
ある日、この本が話題になっていることをネットで知る。
なぜだろう?と思っていたら、「王様のブランチ」で紹介されたかららしい。
ちょっとびっくりした!
関西では「王様のブランチ」は放送されていないので、どのように紹介されたかが、とっても気にかかる。
これは読んでみなければ!と思って、取りあえずアマゾン、楽天ブックスを検索してみたら…
アマゾンでは1620円の本が2200円にもなっているし、楽天ブックスではメーカー取り寄せになっているし。
こんなことは初めてなのでビックリ。
手に入らないの?と思うと、ぜひとも読んでみたくなった!
ダメもとで、書店に行ってみたら…
ありました!
特に前面に出されることもなく、普通に書棚に陳列されていて…
某サイトでは定価以上でガンガン取引されているし…
この温度差に頭の中で?????が踊る。
と、本とは関係のないことばかりでした。
道尾さんのミステリーは面白いですが…
事前の情報過多で期待値がMAXだったので…
やっぱり本は先入観なしで読むのが一番!
と、個人的には思う。
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道尾さん久々のがっつりミステリー路線。
ミスリードは間違いなく道尾さんの得意分野なんだけど、手法にこだわらず常に新たな挑戦をするところが好き。
本書は四つの短編からなる。
が、全体に散りばめられた言葉がその後の真相のヒントになっていて、何度も読み返したくなる。
一章の『弓投げの崖を見てはいけない』は特に完成度が高いと感じた。
最後はハッピーエンドな雰囲気をあえて出していて、そこにぞっとしてしまう。
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あの物騒な架空のまち、蝦蟇倉市事件が大好きなので、連作短編でその後や別場所でのあれやこれやが読めてとても嬉しい。
謎解きは確信を持って解けたとは言えないけど、誰かと答え合わせの議論はしたい。
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とある地方の「弓投げ崖」という自殺の名所の近くで起こった自動車事故。事故の原因を作った若者は、被害者に自損事故と見せかける稚拙な細工を施し、運転者に止めを刺すため、更にハンドルに頭部を打ち付け、しかもその時点で通報しておけば助かったと思われる子供に気づかず、結果として見殺しにしてしまう。結局主犯は報復され、報復した人物も検挙されずに過ぎる。
その後も弓投げ崖付近では、身投げやら新興宗教団体女性幹部殺害事件等が発生。それ等の事件を捜査する竹梨刑事は次第に、かつて捜査した自動車事故と、その加害者の殺害事件に近付いていく。
挿絵で事件の疑問点の解決を見せるなどの工夫が少し面白い。
ラストの章で割と上手く纏まった感じではあるが、いくつかもやもやした思いが残る。独身寮の若手刑事の結末とか…
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連作ミステリ。解かれない謎を抱えたまま結末を迎える物語。だけど最後に添えられた絵を見ると、真相がわかってくる、という仕掛けにはどきどき。それでもちょっと曖昧な部分があって、これは自分の推測が合っているのだろうか、ともやもやしてしまうところもありましたが(自分の頭が悪いのか、とちょっと悩んだり)。最終章まで読むときちんとわかりやすく解決されていて、すっきりしました。
どんでん返し的な展開の面白さもさながら、なかなかにブラックな読み心地が個人的にとても好みの作品です。でも最後まで読めば、ブラックなだけでもないかなあ。もちろん犯罪を見過ごすことは良いことではないのだけれど。すべてが謎のままで日常が続いていく、というのもひょっとしたらそう悪くもないのかもしれません。いいんじゃないのかな、見せかけの平和でも。少なくともあの人の犯罪は暴かなくてもいい気がする……。
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久しぶりの道尾秀介。
架空の街・蝦蟇倉市を舞台に描く4つの「いけない」
どの作品もミスリードされ、ラストの1ページぐらいで衝撃を受ける、ミステリーとしても秀逸。
連作短編集かと思いきや、ラストの章で全ての関係が明らかにされ、唖然となる。
登場人物がいい人にも、胡散臭い人にも感じられるのが、上手いと感じる。
個人的には「そういうことだったのか!」と納得して、読み終わったのだが、さらにネタバレがある様子…
それが理解出来ていなかったら、まだまだミステリー好きとは言えないかも。
でも、久しぶりの道尾秀介は十分堪能出来る内容だった。
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文章と絵、写真のダブルアプローチで読ませる体験型ミステリー。
話だけ読んでもどんでん返し満載。でも、?は残る。最終ページの絵や写真でもう一つの真実にたどり着く。特に最終話には、あー…そうきたかと。
初読が向日葵…だったから、胸糞悪いイメージしかなかったけど、おもしろかった、
ただ、描かれていることからだけでは解けない謎もあり、そこは不満足。とある幹部と警官の死について…とかね。
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一、「弓投げの崖を見てはいけない」死んだのは誰?
ニ、「その話を聞かせてはいけない」なぜ死んだの?
三、「絵の謎に気づいてはいけない」罪は誰のもの?
四、「街の平和を信じてはいけない」……わかった?
面白かった。
わからなかったことが、写真をだされることによって、明らかになる。
これは、もう一度再読しなくては。
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短編集だけど少しずつ関連している物語。それぞれどんでん返しがあるのがスリルがあってよかった。最後の一行が、的なキャッチコピーがあった鍵するのだが、気のせいだったろうか?挿絵は刮目してみるべし。
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発売以来、書店で手に取って表紙や帯を読む度に『文庫版出るまで我慢や』と思って手放してきましたが、とうとう我慢できずに購入→即読了。各章、最後の1ページで気づかされる『そうだったのかー!』的発見と、最終章を読み終わって浸る『これはこういう事だったのか。でもそうするとあっちはどういう…』的余韻に大変満足です。やはりミステリーは面白い。
読まれる際は装丁と帯に書かれている本書のご使用法をしっかり確認し、忠実に読み進めることをおすすめします。
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これは凄い。凄すぎて一回読んだだけでは分からなかった。再読してそういう事かと唸った。最近の道尾さん、子供ばかり登場させてミステリとしてはユルい作品が続くなあと思っていたが、今回は参った。騙された。良くこんな事を考えつくなあ(+o+)。
この本の第一章は、架空の市である蝦蟇倉市を舞台にした書き下ろしアンソロジーに収録された作品。そこに二つの短編が足され、書き下ろしの終章で全てが明らかになる。アンソロジーとして短編を書いた時点で、こういう長編にする構想があったのだろうか? 知る由も無いが、流石に第一線で活躍しているミステリ作家だ。畏るべし。
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新進気鋭の作家がこれを書いたなら星3つ、あるいは4つまであるかもしれない。
だけど、長い作家歴で、直木賞まで取った作者が満を持して原点回帰した(という触れ込みの)作品と思うとさびしいかな…。