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シリーズ7巻では冥王告白後の最初の出来事、アイシスへの告白が加筆多数で描かれている。
人気投票1位の彼女は当然ながら優遇されていて、ここではネット版と異なる花畑での告白シーンが追加され、さらに閑話「アイシス・レムナント ~ふたりのアイシス~」や第七章「青き花の奇跡」などの加筆でアイシス尽くしの一冊となっている。
中でも特に注目すべきは閑話。エピソードだけではなく、アイシスという存在そのものに深く迫る大幅な加筆が行われている。
彼女の出生の秘密はネット連載でもかなり後になって(具体的には第二部に入ってから)紹介されているが、ここではよりドラマチックな形で彼女の根源が示されている。
そしてそこでの快人の振る舞いは、あの出会いの日の再現でありながらハードモードのそれを跳ねのける素晴らしく主人公ライクな振る舞いである。
彼の強さがここでは垣間見えている。これもまた後の物語に繋がる加筆と言っていいだろう。
まるまる一章分を加筆してある第五章「フュンフ」も含めて、実に加筆が多く、書籍版オリジナルで彩られた一巻である。
物語的にはフュンフも交えた形で、こちらも今回初登場となったフィーア先生の物語が時間で描かれるに違いない、そんな準備編の一冊であった。
加筆の量感と質も合わせて、今回も星五つで評価したい。
イラストでは悲し気な目をして振り返るフィーア先生だが、彼女との次巻での物語には期待しておきたい。