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単行本が発行されたのが8年前の2012年。
その頃から“読もう”と心に決めていたが、つい最近、昨年文庫化されていたことを知った。
この本を、文庫化された2019年ではなく、今年2020年に読むことになったのも、何かの巡り合わせかもしれない。
坂井三郎が自身の戦後について書いた本はあったのだろうか?私の知る限りはない。
この本は、その坂井三郎の戦後を見ていた娘、坂井スマート道子が綴った本。
私は坂井三郎が亡くなったとき、手紙を出さなかったことを後悔した。
『大空のサムライ』を読んだのは、確か、高校生の頃だ。それは衝撃の内容だった。戦地を生き抜いた坂井三郎という人間が。私は坂井三郎に比べて、人間の能力を半分も使っていないかもしれないと。
今ではもう忘れてしまったけれど、おそらく「日本の将来のために何をしたら良いか?」そんなことを直接聞きたかったのだと思う。そう、会いたいではなく、教わりたいことが沢山あった。
この本は、その回答をもらったような内容だった。
ここで描かれる坂井三郎は、父親の坂井三郎であり、娘の道子に教えたことの数々が出てくるからだ。
それこそ、これからの日本をつくる若者に、坂井三郎が伝えたかったことに他ならないだろう。
坂井三郎が憂えていた日本の将来は、今現実のものとなって我々の前に(COVID-19以上に)立ち塞がっている気がしてならない。