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会社法のお勉強
・商法には、会社法、商法総則・商行為法、有価証券法の3つの主要な分野があります。
・取締役の責任(423条1項)
「その任務を怠ったとき」とは、法令や定款に違反する行為をいいます。先の取締役の善管注意義務や忠実義務に違反した場合も、法令違反としてこれにあたります。このような行為は任務懈怠といいますが、その行為によって会社に損害が生じた場合には、取締役は会社に対して損害賠償責任を負わなければなりません。
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そこで、取締役は、任務懈怠があったとしても、過失がなければ損害賠償責任は負わないことになっています。これは、428条1項が「任務を怠ったこと」と「責めに帰することができない事由によるものであること」とを区別していることから明らかです。つまり、取締役の会社に対する責任は、過失責任が原則とされているのです。
・支配人
商人または会社に代わってその営業(事業)に関する一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する使用人
さて、支配人とはどういう人たちでしょうか。もっとも典型的なのが、支店長です。支配人というと、ホテルの支配人とかクラブの支配人とかをイメージするかもしれません。しかし、そのように支配人とよばれている人だけが法律上の支配人ではありません。たとえば、銀行や商社の支店長、あるいはメーカーの営業所長など、1つのセクションを完全に任されている人が支配人だと思ってください。
支配人と取引すると、その支配人を雇っている商人や会社にその効果が帰属して、取引の相手方は商人、会社に対して請求することができます。なぜなら、支配人が商人の営業や会社の事業に関し「一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限」、すなわち包括的代理権を有しているからです。
・有価証券
有価証券とは、財産的価値ある私権を表章する証券で権利の移転および行使に証券を必要とするものです(有力説)。
権利を紙切れに結合させることを「表章させる」とか「化体させる」と表現します。権利を表章させた紙切れを証券といいます。証券は、権利が結合された紙切れですから、それ自体が価値をもっているといえます。まさに価値を有する証券なので、有価証券といいます。
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多くの司法試験の合格者を排出している伊藤塾の塾長が書いた本です。会社法についてわかりやすくまとまっていました。
会社法の全体像を把握するには最適な本です。
私は株式会社に勤める者ですが、下記の取締役の責任はとても勉強になりました。
取締役が任務懈怠を行い会社に損害が生じた場合は、その取締役は損害賠償責任を負う。
任務懈怠とは善管注意義務や忠実義務に違反した場合。
ただし取締役の会社に対する責任は、過失責任が原則。
任務懈怠があったとしても、過失がなければ損害賠償責任は負わない。
その趣旨は、任務懈怠を行えば必ず取締役が損害賠償責任を負わなければならないとすると、責任を恐れて経営手腕を発揮できず会社の収益が落ち配当が減り株主が不利益を被る恐れがあるから。
取締役の責任を過失責任としたのは、企業の発展と利潤追求を求める会社法において合理的な運用を認めた扱いであり、なるほど、と勉強になりました。
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タイトル通り、会社法入門編。会社の形態、設立プロセス、会社の統治機構、株主・債権者・会社のそれぞれの権利義務関係、組織変更の類型と手続きに加え、商法の概要、有価証券関係。それぞれの大枠とこの辺りが勘所なんだな、ということが何となく頭に残る。この何となく頭に残るという引っ掛かりが最初は大事だと思っているので、その意味では入門書として非常に優れた書籍だと思う。各条項の意義や背景についても丁寧に解説されてあり、理解と記憶の助けになった。