紙の本
いのちの豊穣を抱えながら
2021/04/25 08:17
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
茨木のり子さんに「水の星」という詩があります。(詩集『倚りかからず』収載)
その詩の一節に「いのちの豊穣を抱えながら/どこかさびしげな 水の星」とありますが、まさにその「いのちの豊穣」に呼応するように、この絵本で文章、それはまさに詩といってもいいですが、を綴った長田弘はこう書いています。
「ははのように いのちを つくり/ちのように からだを めぐり/たましいを ぬぐってくれる」と。
それは、水のことです。
茨木のり子さんが「水一滴もこぼさずに廻る」と驚いたこの星は、水にあふれた星なのです。
この絵本でまず驚くのは、荒井良二さんの絵だと思います。
表紙の一面の黄緑色。普通水を絵で描けと言われたら、水色を使うのに、荒井さんはそうではない。
黄緑色であっても、ああこれは水なのだと誰もが実感できる。
長田さんの文にこうあります。
「どんな いろお してないのに/どんな いろにでも なれるもの」。
そういえば、水は決して水色でもない。
透明であるけれども、いろんな色を持っている。
そこにも、豊穣を感じます。
宇宙に浮かぶ地球がこの絵本にも描かれています。
茨木のり子さんが見た「水の星」は、ちょうどこの荒井さんが描いた星のようであったにちがいない。
長田さんが思った水も、またそうであったにちがいない。
色んなことを考えてしまう、そんな絵本です。
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科学絵本と言ってもいいかな
水ということについて
詩は、言葉は、
こんなに美しく、シンプルに
心を込めて描けるものなのか。
こどもたちと大人とふたり
ぜひ手に取ってみてほしい一冊。
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パパが5歳息子に読み聞かせ。そのあと私がひとりで読みました。
「おしっこって、2回連続でいってた。地球がかっこよかった。星が綺麗だった。波がきれいだった。どうぶつたちがかわいかった。森もおしっこするの?」
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荒井良二さんの、表紙の絵の美しいこと!
長田弘さんの、水をうたった短い言葉の詩に、荒井良二さんの、色鮮やかな、自然の良い空気が薫り立つような、美しい、美しい絵がつけられた、素敵な絵本です。
どんなものより きらきらひかり
……から始まり、
どんなものより すきとおってて
……この、緑の自然の中を流れる細い川を描いた見開きページの絵と、
どんな いろも してないのに
どんな いろにでも なれるもの
……この、黄緑色の、川のアップに、二人の人物を乗せた、オレンジ色の小船を描いた絵が、
物凄く綺麗!
すいそと さんそだけで できている
とても かんたんなもの だけど
いのちあるものには
これいじょうのものは ないもの
……長田弘さんの詩も、味わい深いです。
上の詩の、次のページの見開きの絵!
宇宙、星ぼし、地球、銀河を渡る小船、!
素晴らしく美しいのです!
荒井良二さんの絵、好きでたまりません!
見応えありの、美しい絵本でした。
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息子6歳8ヵ月
息子が喜びそうな本を図書館から借りてきて読み聞かせ…最近は息子がほとんど一人で読むようになってきて、母はサミシイ。
〈親〉
絵が好き ◯
内容が好き ◯◯
〈子〉
何度も読む(お気に入り)
ちょうど良いボリューム ◯
その他
息子にはあまりヒットしなかったようですが(でもひとり静かに読んでいたので、何かを感じていたのかも)
親の私は大ヒット。
色も形もない水を、こんなに美しく描いている作品って、すごい。
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水って、人間や動植物にとって、生きていくのに欠かせない、すごく大切なもの。
また、それを眺めたり、直に接してふれあったりして、感動し、楽しみ、恩恵を受けている、非常にありがたいものでもある。
ただ、幼い頃から、あまりに生活と密着しすぎて、ありふれた存在であるために、そういった気持ちすら湧き起こらなかったりするが、実は、すごく自由な存在であることに気付かされて、改めてその偉大さに感動する。
どんないろもしてないのに
どんないろにでもなれるもの
という、長田さんの詩が印象的で、涼風も感じられそうな、荒井さんの美しい絵に魅入ってしまう。
また、その素晴らしさを、親子の交流という形で展開する物語には、すごく憧れを感じさせられ、水を大切にすることは、自然を大切にすることなんだということを教えてくれた。
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空の絵本より詩が素敵だった。当たり前のように側にある物はわたしたちにとって無くてはならない物だと再認識した。
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水の絵本だけど、表紙は緑色。
水のイメージの青や空色は、半ばに少しだけで全体的に濃い緑を強調していて、力強い感じがした。
どんな いろも していないのに
どんな いろにでも なれるもの
そうなのかもしれない。
自分で決めてもいいのかもしれない。
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長田弘さんの詩はすごいですね。最後の「そうしてこのしをかいた」はなくてもいいかなと思いましたが、作者の気持なのでしょうね。荒井良二さんの絵がまた最高です。この詩と戦っているような迫力満点の作品となっています。ありがとうございまました。
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長田さんの平易でストレートでユーモアもあり
それでいてめいっぱい詩的な文章に
迫力満点なのに読み手を圧倒するというよりもなんだか清々しい気持ちにさせてくれる荒井良二さんの美しい絵。
森の絵本、空の絵本も読んでみようと思いました。
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水への畏敬、愛、驚き、感謝、あらためて水の存在感を感じる長田弘さんの詩と、緑豊かで生命力にみちた自然の情景と私たちのいとなみを描いている荒井良二さんの絵が魅力の絵本。同じ二人の「森の絵本」「空の絵本」も読んでみたくなリました。
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『水』は、絵よりもコトバが染みた…
絵ももちろん素晴らしい
なんでもないもの だけど
どんなものがなくたって
それがなかったらなんて
ぜったい かんがえられないもの
なかに なにもない だけど
そのなかに なんでもないもの
のぞきこむと そのなかに
じぶんがいて そらがあるんだ
ははのように いのちを つくり
ちのように からだを めぐり
たましいを ぬぐってくれる
いのちの おしっこ
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水とは何か? その答えが、やさしい言葉で語り尽くされています。美しい色彩の雄大な絵が、水の偉大さを教えてくれます。