電子書籍
宮部作品が電子で読める幸せ!
2020/01/12 12:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は今をときめく5人の作家の作品を一度に読めるアンソロジーです。しかし、それ以上にすごいのは、電子化されない宮部みゆきさんの作品を電子版でも読めることだと思い、早速手にしました。
冒頭の宮部さんの作品は、不思議な話として始まるのですが、最後に非常にダークなまま終わる怖さがあります。このモチーフを引き継ぐように辻村さん、薬丸さん、東山さん、宮内さんと繋がり、最後に宮部さんの作品の冒頭に見事に繋がっています。そういう意味でも、単なるアンソロジーというよりも緩やかな繋がりのある連作短編集のような作りでもあります。宮部さんの作品は怖いままですが、最後の宮部さんの作品で、ほのかな解が見えて来る気がしました。人の心が最も怖いのかもしれませんが、それは気づきで再生されるものなのかもしれないと感じました。
宮部作品が是非電子化されることも祈りつつ。
紙の本
ミステリー?
2020/10/31 22:48
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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーというより、ホラーチックな作品が目立ったような。
人・で・なし、これは主人公の鬱憤というか狂気がわかるような気がしましたね。自分は大変だったのにいい思いをしてる人がいるって結構むかつくもの。
一番おもしろかったのは、わたし・わたしでした。
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宮部さん以外は普通。
辻村さんのは別な文庫で読んでたし、本当に文庫の中古で良かった。
普段読んだことのない作家さんだから、新たな出会いがあるかと楽しみにしてたのに残念。
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「みやつじやくとうぐう」と読むんだそうです。
好みの作家さんが名を連ねていて、その豪華な面々に、思わず即買い。
ミステリーというよりはホラー寄り。勝手にリレー形式のミステリーだと思っていたので、連作短編集のようなものをイメージしていましたが、それぞれが独立したアンソロジーですね。
リレーだと思うと、前の作品を強引に入れ込んだでしょ感が出ちゃってる。でも、宮内さんの作品のラストは秀逸でした。リレー形式ならではの〆だと思います。
アンソロジーって、好きな作家さんの作品を、濃密に、いいとこどりしたような感覚で楽しめるのはもちろん、知らなかった作家さんや、興味はあったけれどまだ読めていなかった作家さんの作品も楽しめるのが好きです。さらに、その作家さんの作風だとか強みを出してくれるので、その作家さんの背景を知れたり。例えば東山彰良さんの作品は、「なんで中国!?」と思いもしたけれど、東山さんご自身が台湾出身だってことを知ったり。宮内悠介さんの、ド文系には何を言っているのか分からなかったプログラミング用語も、宮内さんご自身がプログラマーだったということを知ったり。今回のアンソロジーで、今のお二人の作品がすごーく刺さってきたかと言われるとお答えしにくいのですが、こんな風にお二人の背景や生い立ちを知っていると、次に本屋さんでお二人の作品を目にした時、わたしはきっと、立ち止まってあらすじと舞台を確認してしまうだろう。
他の三名の作家さんも、それぞれ作風と強みがすっっごく現れていて好きです。宮部さんは、わたしはどちらかというとミステリーが好きですが、最後たたみかけてくるところはミステリーとは別の意味でゾクゾクさせられたし、さらにそこでタイトルの「人・で・なし」の意味が激変する。この短いアンソロジーの最初に、ものすごいインパクトと個性を残して去っていく。他の作品が気にならないわけがない。辻村さんは、「母子」という根深いテーマを、このアンソロジーという短い作品の中にぎゅっと詰め込んで、スミちゃんの言葉でいちいち読者を刺してきながらも、「ちょっぴり怖い」を落としどころとしているところはお見事だし、薬丸さんはやはり少年事件を扱っていて、こんな風に、初めてその作家さんに触れる読者への自己PRのようなものも意識してるんだろうな。
で、結局やっぱり、宮部さん辻村さんがダントツ、続いて薬丸さん、という感じかなあ。
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宮部→辻村→薬丸→東山→宮内
リレーミステリーアンソロジー。それぞれの味があって恐ろしく面白く読みました。
記念写真は撮られたのでしょうか?
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5人が共演する書き下ろしアンソロジー。
次へ次へと作品をバトンタッチしていく「リレー・ミステリー・アンソロジー」だそうな。
自分が手を出したのは、同じ「宮部みゆき」の「リレー小説」だった「運命の剣 のきばしら(https://booklog.jp/users/hanemitsuru/archives/1/456957243X)」が印象深かったから。一本の日本刀が打たれてから折れるまでを7人でリレーしたこの本は無類に面白く、それ以来あまり多くはない「リレー小説」が読める機会を待っていました。
ですから、この本は期待感いっぱいで手に取りました。
だいたい、タイトルからして「大極宮」と同じ命名規則でつけられているので宮部みゆきが引っ張っているに違いない。ところで、どっちの宮が宮部みゆきなんだろう…、お題を決めたほうか、アンカーか…なんて思いながら頁を繰り始めたのです。あ、宮部みゆきは前のほうの宮で、後ろのほうは宮内悠介でした。
この「宮辻薬東宮」は、「のきばしら」のように「一本の刀」という明確なバトンが決まっているわけではなく、前の走者から受け取るものは、テーマとかプロットとか、それか読後感でしょうか。
だから、先頭走者の宮部みゆきは好き勝手に、と言ったら語弊があるかもしれませんが、どのテーマやプロットがバトンタッチされるかわからないまま短編を書き上げただけ(でも、「心霊写真」については後書きを使って一押ししています)。
そして、このアンソロジーの色を決めたのは第二走者の辻村深月さんということになります。受け取ったバトンは、「・(なかぐろ)」が入ったダブルミーニングタイトル、物に関わるホラーというジャンル、意志を持たないモノが人間を変質させていくというテーマ、写真の変化につれて現実が変化するというプロット、そしてモンスタークレーマーというトッピング。
でも、受け渡されたバトンは走者の手を経るにつれ、伝言ゲームよろしくどんどん形を変え、解像度を落としていきます。アンカーの宮内悠介さんに渡った時点では「タイトルに「・」、物にまつわるホラー、の二点しか残っていませんでした。ただ、最後の最後にきちんと第一走者にバトンを返す離れ業を見せて締めくくって見せてくれました。ああ、本のタイトルが「宮辻薬東宮」の最初の宮と最後の宮が繋がって環になった、作品ごとではなく、アンソロジーのタイトルまで使ってリレーしてるじゃん、と嬉しくなりました。
ということで、区間新記録を出した第二走者、アンカーの2人に対し、第三走者はバトンを落っことし、第四走者は回ってきたと思ったらバトンのはずがタスキで割を食った感じです。「日本刀」というしっかりした柱があった「のきばしら」と違って、プロットと「ホラー」だけがリレーされるのは難しいんでしょうかね。
以下、収録作品別に感想を書いておきます。
ネタバレあります。ご容赦ください。
「人・で・なし」 宮部みゆき
「リレー・ミステリー・アンソロジー」を標榜しているのに実はホラー、というこの本の企画を引っ繰り返してしまった一本。
人ではない、道具に祟られて起こった悲劇。そして被害者は感情を封印���て人でないものになった、という意味をが込められたタイトルが見事。
人のような感情のない(人ではない)道具にかかずらわって人でなしになってしまった、というダブルミーニングですよね。
ひとでなしのモンスター社員、栗田君の印象が鮮烈です。「ある場面でプチ人でなし的ふるまいをするんじゃなくて、オールウェイズのタイプ」、こんな表現ができるようになりたいなあ。
栗田君の話をしようと入った居酒屋でクレーマーと遭遇したので、「名もなき毒」のような展開を少し予想したら思い切り外しました。
蛇足ですが、「家」にまつわるホラーだと、『小説講座に通っていた時代の習作』として公開されている「憑かれた家(http://osawa-office.co.jp/blog/miyabe/images/%E6%86%91%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%AE%B6.pdf)」を思い起こします。
「昭和59年、宮部が23歳の頃の作品」だそうですが、30年後の「人・で・なし」と比べても完成度の高さでは引けを取りません。
「ママ・はは」 辻村深月
第一走者宮部みゆき「人・で・なし」のどこを引き継ぐかを決めてこの本の雰囲気を決めた殊勲の第二走者。
上のほうにも書いたとおり、『「・」が入ったダブルミーニングタイトル、物に関わるホラーというジャンル、意志を持たないモノが人間を変質させていくというテーマ、写真の変化につれて現実が変化するというプロット、モンスタークレーマーというトッピング』(毒親ですが)というバトンをきっちりと引き継いでいます。
写真の変化につれて現実が変容し、実際に起こったはずの過去は上書きされて「消えて」いく、毒親が「消える」という不気味さを、
「『私、嬉しかったんだよ』って」
「どうしてだろう――」「この着物の話をすると、必ず、今のママから電話が来るの」
なんて、平易な言葉で語られるなんてことのない日常会話から立ち上らせて、その不穏さは一級品です。
そう言えば、一度現像した写真が心霊写真的に変化していくというプロットは「小暮写眞館」を思い出しました。でも写真自体は良いほうへ、明るいほうへ変化しているのにストーリーはどんどん悪いほうへ、暗いほうへと転落していく展開ですから、換骨奪胎に大成功していますね。
あと、毒親に抑圧されている小学生の名前が「須賀田竜之介」君って物々しいのはなにかの隠喩?深読みし過ぎでしょうか。
「わたし・わたし」 薬丸岳
後書きに、ミステリーだと思って受けたらホラーだった件、そしてホラーを書くのは初めてだった件が白状されています。
まあ「リレー・ミステリー・アンソロジー」と聞いていたのに回ってきたバトンが「ママ・はは」では、話が違うと当惑したことでしょう。
そんな酌量すべき情状は多ではあるからか、前二走者の作品に比べちょっと控えめな感じ。
ヒモの男に10年前に殺された「わたし」。男に初めて買ってもらった指輪は、殺され、埋められようとする「わたし」の薬指から頑として外れず、証拠隠滅のためには指を切断するしかなかった。
その指輪が今、振り込め詐欺の首謀者に貢いでいる18歳の「わたし」の手に渡り、指につけた「わたし」は流れ込んできた「わたし」の意識に���配される。
警察に事情を聴かれていた「わたし」がしていた指輪がきっかけで、ヒモの男は10年前の殺人を自白する。指輪を外した「わたし」は「わたし」の支配から逃れるが、新たな男に貢ぐことを考え始める――。
ということで、どっちの「わたし」がどっちの「わたし」かわかりにくくなっており、やや叙述トリック風味がある作品です。
寅年生まれが18歳ですから舞台は2016年。生きていれば28歳の市川由香里が殺されたのは2006年。この10年差を、現在の「わたし」を支配している過去の「わたし」の意識が親の電話番号をスマホに登録するところにピンと来ていなかったり、市川由香里の父が一教諭でなく校長になっていたりといった描写で表現してありますが、もう少し丁寧に描き込まないと、単にわかりにくいストーリーラインだと思われかねないのでは。
あと、警察の描写も雑。
逮捕状が出ている特殊詐欺の首謀者に、「ちょっと署まで来てもらおうか」はなあ。私服刑事数人だけで拉致するように車に乗せる描写もなんだか曖昧な感じです。「わたし」の目を通した描写を意識しているのかもしれませんが…。
任意同行のはずの「わたし」の腕をつかんで車に乗せるのも、事情を聴いていた部屋に一人残して担当刑事が席を外すのも、ついでに言えば「錦糸警察」という命名も雑に思えて嫌です。「本所警察署」でいいのに。
さらに言えば、宮部みゆきから辻村深月が受け取ったバトンですが、ここでたくさん零れ落ちてしまい、残ったのは「物をめぐるホラー」「タイトルに・(なかぐろ)」だけになっちゃいました。
特に写真については、後書きに「記念写真を撮りたい」と書いてまでバトンを渡しているにもかかわらず(艶消しだけどわざわざ書き起こしてみると『不気味な写真をめぐるホラーを書いたもの同士で記念写真を撮ったら、どんな写真が撮れるかな』ってシャレですよねこれ)受け取り損なっている(後書きに「記念写真撮りたいですね」と書いているけど、もうちょっとひねってください)のは残念。
「スマホが・ほ・し・い」 東山彰良
物乞いの老婆から奪い取ったスマホは勝手に電源が入り、Googleマップにピンが立つ。そこで起こることは…、という、マックで隣になった女子高生が話していても不思議がないほどよくできた現代の都市伝説。
「猿の手」や宮部みゆきの「だるま猫」に出てくる「猫頭巾」のように、呪われたアイテムが所有者に望外な力と破滅をもたらす――という王道パターンを、「ありふれた韓国製のスマホ」や「グーグルマップに立つピン」に当てはめて見せた筆力はお見事です。
舞台が日本でなく台湾で、異国の風物と中学生の誰もがスマホを使っている状況の対比が「物乞いが持っているスマホ」の不気味さに結びつき、成功しているように思えます。
でも。
ホラー短篇としては最高ですが、「リレー」という点では、「物をめぐるホラー」「タイトルに・(なかぐろ)」しかつながっていません。写真も、ダブルミーニングもどこかに行ってしまいました。
「夢・を・殺す」 宮内悠介
いきなりMSXのプログラミングの話題で始まり、Z80でパチンコ向け開発��している零細ベンダーが直面しているデスマーチの話題へという、パンチの強い導入部。
デスマーチの主因のしつこいバグは、MSXが世界への窓だった主人公が作ったゲーム、そのスプライトで描かれたキャラクターがなぜか今表示されるようになるというもの。
だから、デバッグは「夢を殺す」こと、というノスタルジックなオチ。ということで、ホラーからも外れてしまいました。
「リレー」の部分を外し、それぞれの作者が冒頭の宮部作品を読んでアンサーソングならぬアンサー作品を自分のカラーで書く、というアンソロジーだと思えばお得な作品だったと思います。
そしてもう一点、冒頭の「人・で・なし」につながる部分を書いて見事に円環を閉じてくれました。「【宮】辻薬東【宮】」とアンソロジーのタイトルも円環が閉じているのにきっちりとオチを付けてくるという力業。
どうでしょう、次は「宮宮宮宮」というリレーアンソロジーを作ってみてはいかがでしょうか。
宮城谷昌光、宮部みゆき、宮本輝、宮内悠介で「三国志・リレー・アンソロジー」とか。
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不思議なアンソロジー。
微妙な繋がりで前作を受けて話が展開する。
個別に読んでも面白い。
普段はめっに読まないホラー系でした。
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再読。ホラー・ミステリーのアンソロジー。前の作者の作品を読んで、そのテーマをつないでいく。
かなり怖いです。
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前の話と少しリンクするのかなぉ~。
的な楽しみを持って読んでしまっただけに、
少し残念な結果であった。
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宮部作品・辻村作品は満足できましたが、それ以降はどんどん下がってしまった感じ。
初読み作家というのもあるが、残念ながら(ふーん)(はぁ)(はあ?)位のリアクションしかできなかった。
勿体ない。
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タイトルが目について手を出す。著者のうち薬丸岳さんの作品は初めて読んだ。アンソロジーの趣向がおもしろい。そうくるのかという、小説での連歌のようだった。
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宮部みゆきの書き下ろし短編を読んだ上で、辻村深月が短編を書き下ろし、以後、薬丸岳、東山彰良、宮内悠介と計5人の人気作家がバトンを繋いて仕上げた豪華なリレーミステリーアンソロジー。
前の作品から何が繋がってるのかは読んでのお楽しみだが、テーマはちょっと恐いホラーかな。
しかし何れも短編の名手。思わず唸る作品。楽しめました。
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「ミステリー短編バトンつなぎ」
最初と最後の「宮」のつなぎ方は(なるほど~)だったけど、どこがどうつながっているのか分からない話もあった。
みなさん読み応えがある作家さんですが、アンソロジーだとパワーダウンしてしまうのかなあ。
「薬」は先が読めたし、「東」はよく分からんかったです。
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宮部みゆきさん→辻村深月さん→薬丸岳さん
→東山彰良さん→宮内悠介さん。
不思議な話、ともいえる短編でした。
ちょっと繋がってみたり、そのままだったり。
見つけられなかっただけで、繋がってるのやもしれませんが。
最初からぞっとする話でしたが、それを語った人物も…。
そこからすると、まだ2話目は大丈夫でした。
本人になったら、と考えるとぞっとするどころじゃないですが。
3話目は分かればほっとする状況です。
語られている間は、ひたすらに怖いだけ、でしたし
最後の方になって、ようやく違和感が、な状態。
4話目は、都市伝説のような内容でした。
行き着く先は当然、という感じでしたが
主人公は結局どうするつもりなのか。
5話目は、人としてちょっと…でした。
社会人として、それはない、かと。
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人気のある作家ばかり集めたゾクっとくるホラーミステリーアンソロジー。ホラー苦手な私でも楽しめる内容で良かった。特に好きなのは「ママ・はは」と「わたし・わたし」。