紙の本
待望の2冊目、期待通り!
2021/11/04 22:58
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投稿者:あんぱん - この投稿者のレビュー一覧を見る
数年前に同著者の1冊目の作品集「あなたの人生の物語」を読んでおり、大変気に入っていた。今回2冊目の作品集をついに入手することができたので大いに期待して読み、本作はそれに十分応えてくれるものだった。テッド・チャンの作品は、斬新なアイディアと精密な論理構成、きれいにまとまった文章(いつも結びまで上手いなと思わされる)、どこをとっても現代最高のSFではないかと思う。寡作な作家であり刊行された作品集はこれを含めて2冊ということで、SF好きはもちろんそうでなくても知的好奇心旺盛な人にとっては間違いなく必読の書だと思うのでぜひ全部読んでほしい。
電子書籍
哲学SFの名作
2020/07/22 23:13
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投稿者:りー - この投稿者のレビュー一覧を見る
娯楽やスペクタクルとしてではなくひとつの哲学として、常に読者に何かを問いかけ続けるタイプのSFなので好き嫌いは分かれるかと思うが、着想の良さとそれを物語に取り込む際の「そこそこ現実味を帯びやすい程度に俗っぽく庶民的に」ガジェットを扱う手腕が優れていると感じる。時代の変わり目に、様々な未来の姿を予見させる短編集。
紙の本
テッド・チャンの新刊!
2020/04/20 22:19
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投稿者:めいりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
テッド・チャン『息吹』読了。ただでさえ今年はSFの類稀な当り年だなあと思っていたところに師走にきての極めつけの一冊。間違いなく当代随一のSF作家。表題作筆頭にSF的想像力、虚構的創造力を十二分に発揮しながらもアツいヒューマニズム的メッセージ、信念が溢れる作品が目白押し。年の暮れに本当にいいものを読ませてもらった。
電子書籍
珠玉の一冊
2020/02/25 23:37
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投稿者:hoyoyo - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代SF界を代表するテッド・チャンの中短編集。寡作で知られる著者だが、1作ごとのクオリティの高さに唸らされる。表題作と「偽りのない事実、偽りのない気持ち」「不安は自由のめまい」が特に秀逸。SFという装置を用いて人間の本質を描いている。量子物理学の多世界解釈など、科学技術的にあるかもしれないテーマを縦軸に、コミュニケーションにおける心の在り方を横軸に、緻密なメッセージを脳に刻まれた感じ。現在に警鐘を鳴らす所ではない、架空の世界でありながら真実を目の当たりにしたような、得体の知れない恐怖を感じた。
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相変わらずの発想力に舌を巻きました
2019/12/25 12:31
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投稿者:ぺるりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
あなたの人生のものがたりを読み、物語の設定力と、物語自体をドラマチックにしない展開で想像を超えた内容に心を奪われました。
今回の息吹も、一生懸命想像力を働かせて読む力が要りますが、他では読めない内容に今回も心を奪われました。
決して簡単ではない内容ですが、一読の価値があるとおもいます。
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『商人と錬金術師の門』のインパクトが強かった。『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』『デイジー式全自動ナニー』も◎
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今作は「言葉」というシステムへの興味や信頼のうえに成り立っていると思う。全編を通じてそれは垣間見えるのだが、表題作「息吹」はまさにそれを体現している。「わたし」は肺を交換したり自身の脳を解剖したりするが、最後に行うのは言葉を刻むことだった。私たち読者は、SFならではの世界観のなかのその根源的な行為にこそ、どうしようもなく惹きつけられてしまうのではないか。
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テッド・チャンの作品は好きだけど、前作の『あなたの人生の物語』の頃から非常に読み易い作品と非常に読み難い作品の二極化が激しい。
「商人と錬金術師の門」と「大いなる沈黙」がお気に入り。
未来は改変出来ないというのがテッド・チャンのスタンスであるが、「商人と錬金術師の門」では過去を知る幸せを描いている。
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寡作なだけあって、恐ろしいほどのクオリティ。
事実の話と分岐の話が好き。
テーマが現代の寓話に相応しく、それを物語に落とし込む手腕も語り口もパーフェクト。
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商人と錬金術師の門★★★★★
推理小説のような趣向があり、物語の中盤である予想が浮かんできて、あれー意外と簡単なお話、と思いながら読み進めるとそうではなかった。一周まわってシンプルにとても大事なことをわからせてくれるような、そんなお話。
息吹★★★★★
人類がロボットに置き換わったパラレルワールドのようなお話。よくこんなこと思いつくなーと感心しながら、一つ一つのセンテンスを噛みしめるように読んでいった。読み終わるのが惜しくなった。
予期される未来★★★
超短編だけに、ぎゅっと詰め込まれた不気味さがある。
ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル★★★★★
ディジエントと名付けられた人工知能のようなロボットのような存在の、20年に渡る来し方行末の物語。人工的なものに対して人間と同様に権利や尊厳が与えられるべきという考えが浸透しつつある時代という設定で、ディジエントへの愛ひいては人と人との愛までも疑問を投げかける展開となる。身近な人との関係性について省みるきっかけとなった。
デイシー式全自動ナニー★★★
子育てにおいて好ましくない思想や振る舞いをする人から自分の子供を遠ざけたいという思いは親なら誰しもあるのでは。もし他人の影響から完全に隔絶されたら子供はどうなるかという仮定の話。この作品ではその答えはよくない方向に作用する展開になっている。この一つ前の作品でも扱っているテーマだけど、作者は人と人との触れ合いが生み出す価値を重じている印象。
偽りのない事実、偽りのない気持ち★★★★
ここまでの作品の中で一番難解だった。リメンと呼ばれる、ライフログアプリがもし実際にあったら、自分もこの主人公のように自分の記憶の欺瞞に気付かされるのかな?薄寒い気持ちになった。
大いなる沈黙★★
とても短い作品。実はオウムが人類と同程度の知的生命体だという前提のストーリーだけど、本当に必要なエッセンスだけに洗練されているため、その世界に自分が馴染む前に話が終わってしまった。
オムファロス★★★★★
「人類の起源が神による創造である」ということが、厳然たる事実として成り立っている世界の物語。その世界での科学は、なぜ神は人類を創造したのか、その目的を探究することが至上命題なのだけど、実は人類の創造は偶然の産物で、そこにはなんの意志もなかったということが発覚したら、、というお話。主人公が苦悩の末に導き出す結論は、すごく強くて希望があり素敵だなと思った。
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どうせ当選なんてしないだろう、と思っていたプルーフ版プレゼントに当選してしまって、ちょっと困惑(苦笑)
しかし、届いたのが12/02、既に大森さんがプルーフ版の感想を山程リツィートしている状況で、余り物が回ってきたのかな?、と思ったりなんかしちゃったりして…
プルーフ版なので、大森さんがツィートしている「日本の読者へのメッセージ」は載ってない。(12/03に茶水の丸善の平積み台で確認したら、しっかり載ってた)
プルーフ版を手にするのは初めてなのだけど、ところどころ印刷がかすれている箇所があって、やっぱ余り物なんじゃないの、と思ってしまうが、テストショットなんてそんなものなのかな。
「あなたの人生の物語」は古本で入手したまま放置していて(通常コース)、テッド・チャンを読むのは今回が初めて。
とりあえず、義理を果たすべく、著者の最長作だという「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」だけ読んだところで、感想を書いてみる。
ボトムアップ型AIの成長という題材そのものはありふれたもので、シンギュラリティとか暴走とかのイベントがあるのかな、と予断するも、そういう「劇的なるもの」は出てこない。
印象としては、「ゼンデギ」に近いのかな、と感じるところ。
YA小説的なサービス精神はなく、正統派SF作家だなぁと思う筆致であわてず騒がず書き進めていて、これなら受けるだろうね、と解説を確認すると、ヒューゴー&ローカス受賞だと。(じゃぁネビュラは何なの、と気にはなるけど、面倒なのでチェックしてない)
AIを育てるにあたって、暴力や性を徹底的に排除する(「○ァック」というフレーズを覚えただけで巻き戻すとか)ってのが現代的(アメリカ的?)ではあるのだけど、そういう「無菌状態」の方が危険なんじゃないの、と思わなくもない。
タイトルから想起される「死」のイベントは起こらず、ラストで提示されるのは「幼年期の終わり」なのね。
日本でいえば藤井太洋みたいなポジションの作家なのかな、と思うけど、寡作&長編なしということでは「太陽風交点」の頃の堀晃なのかもしれませんね。(堀さんも石原教授も作家としてはフェードアウトしちゃったけど)
さて、プルーフ版を読み続けるか、製品版を改めて買うか、思案のしどころ。
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寡作で知られる人気SF作家、テッド・チャンの最新作。
随分と待っただけあって、期待以上に面白かった。どれか1作には到底絞れない。
しかし17年ぶりか……。第3短編集が出るのはもう少し早いといいのだが、果たしてどうなることやら……?
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SFは普段かなり選り好みしてますが、結構好きかも!と感じました。
どの作品も考えさせられる内容で、「これが現実世界だったら…?」「私がもし登場人物の立場になったら…?」と非現実世界の物語りなのに、思わず感情移入する場面もちらほら。
物語りを「読む」じゃなくて、「見に行く」感覚でページを開いていました。だからか、物語りの内容を結構鮮明に記憶できて、なかなか読み進められない状況で、久しぶりに本を手にしても直前までの話を簡単に思い出せました。
ちなみにプレゼント企画でまさかの当選でした。ありがとうございました!それなのに諸事情により、上記の通りなかなか読み進められず、レビューが遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
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どれもがかけがえのない物語だった。
科学、SFなのに人の血が通い、心が宿り、物語は個人の人生の内省へと還っていく。
科学に満たされた世界で人の思想や思索、そして愛はどこまで行けるのだろう。科学で満ち足りた世界を人間の愛が覆う優しい物語たち。文章の間を澄んだ風が通り抜けていく。
表題作「息吹」もよかったけど、個人的には「大いなる沈黙」がとても好きだった。鳥ものに弱いんだわたしは…鳥がね、好きなんだよわたしは…
朝の読書にぴったりの、頭が冴え冴えする本だった。装丁もすてき、カバーをめくれば漆黒、すてき。ぜひハードカバー版で手元に置いておきたい本でした。
この本に入っている物語は、きっとそのうち私たちが「追いつく」んだろうなと思う内容が多くて、だからこそ「追いついたとき」に人はテクノロジーとどう共存していくのか、人の感情や良心はどこまで作用できるのか、前もって試されているような感覚があった。
有機体であることを忘れないでいたいね。
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「商人と錬金術師の門」★★★★
「息吹」★★★★★
「予期される未来」★★★★
「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」★★★
「デイシー式全自動ナニー」★★★★
「偽りのない事実、偽りのない気持ち」★★★★
「大いなる沈黙」★★★
「オムファロス」★★★★★
「不安は自由のめまい」★★★