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お金本
渋沢栄一ー小泉八雲 二葉亭四迷 夏目漱石 松岡子規
国木田独歩
左右社
累計五万部の文豪アンソロジー。いきるか死ぬか、お金の話100篇
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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遠藤周作:大勢の人間で世の中は成り立っていて、自分もいろんな笑恩恵を受けているもんだから、「自分も世の中にできる限りは報いなくてはならない」と。それが男を磨くことになるんだよ
赤塚不二夫:人生相談やった時、どうしても浪費癖が治らない。どうしたらいいかなんて相談があったよ。でも、バカは一生治らない。直そうとしても無駄と言うもんだ
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石川啄木と金田一は当然のように乗っているが(そして下宿を移る際の「置いていかないでくれ」と追いすがるエピソードを初めて生で読んだが)、草野心平が宮沢賢治に借金を申し込んでいたのは初めて知った。
(断られなかったけれど代わりに造園学の本が来て、これを米に替えてくれと来たそうな)
漫画家のエピソードもいくつか載っていてこれも面白い。
(割と狂気の沙汰のトキワ荘)
最後のページ、草野心平作詞の「火の車」を持ってきたのにはもう笑うしかない。
借金苦を語った人に、後のページで借金を申し込む人の話が出てくるとか、これは本当に編集がうまい。
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作家や文士のお金に纏わる文章を集めた本。生活に喘ぐ文豪たちの本音の文章を読むと、作家という職業の厳しさを感じる。作家として独り立ちするまでは、他の仕事をしながら書けば良いのにと思うけれど、当時はそういうわけにも行かなかったのだろう。退路を断って全身全霊で作品を書く。当時はこれがあるべき姿だったのかもしれない。ただ借金等で折角工面したお金を酒や遊興に使ってしまうのはどうかと思う。この本で取り上げた多数の作家が酒に注込んでいる。ストレス解消、知人達との交友で気を紛らわすためではないかと思うけれど、借金してまで飲むことは無いと思う。同情したくなった作家もいるが、自業自得と思える作家もいた。色んな作家の素顔が見えて、とても面白い本だと思った。
因みに、気になった文章は川端康成の「私の生活」。彼の希望の生活は、自分とは真逆だ。金田一京助の「啄木余響」、啄木のような友人は持ちたくない。北野武の「関係の問題」、現代の友情は損得の問題になってしまった。芥川龍之介のラブレターは、お金の問題を超越して心を動かす素晴らしい文章だと思った。
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多分ろくでもない話が多いんだろうなぁと思いつつ読み進める。概ね予想通りというか…。お金の無心ならかわいいもので、断られたら悪態をつくってのはどうしようもねぇよなぁ。
角田光代さんのエッセイはぐさりときた。うぅん、少しずつでも趣味に散財していこうかな。
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借金返すはずの金で酒飲んでしまって、その謝罪の手紙に近況報告で「競馬はじめました」て書く坂口安吾の非人ぶり
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名だたる文豪や作家達のお金にまつわる書簡や日記、エッセイを集めた本。明治、大正、昭和初期の文士達の生活は決して楽ではなかったのだなと思う半面、文章からその人柄なども垣間見えて面白い。親の脛をかじる、借金してまで酒を飲む、二進も三進も行かなくて夜逃げする、蔵書や家財道具を片っ端から売り払う、金の無心もなんのその、出てくるエピソードが強烈すぎる。北野武の「関係の問題」は本当にそうだなと深く共感した。また角田光代の「一日(1995年の、たとえば11月9日5964円)」も身につまされる。二十代のお金の使い方がその人の基礎となる、と書かれているが、これもまた深く実感することだ。私もとにかく二十代の頃は(今もだが)本ばかり買っていた。確かにそれらは私の血肉になっていると思う。
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2021年5月
お金にまつわる話をこんなにまとめて読む機会はなかなかないから面白かった。大草原不可避のクズエピソードは期待通り。一方、夏目漱石や壷井栄などきちんとしている人もいるのだから文豪もお金に関しては人それぞれということなのだろう。
最も印象的だったのはつげ義春の貧しい生活の中でのエピソードを描いた漫画。リアルでささやかで切ない。つげ義春の漫画は読んだことがなかったのだが、ほかの作品も読みたくなった。
ちなみにわたしの中でお金&文豪となると林芙美子の『放浪記』なのだが、それは入っていなかった。なんでだろ。ちょっと残念。
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少し思っていた内容とは違ったが、最後のビートたけし氏と村上春樹氏のお金に関する捉え方の言葉には得るものがあった。
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文筆家の貧乏エピソード集
「俺なんか1週間キャットフード食って生きてたんだぞ」
●つげ義春『散歩の日々』(マンガ)
いつも300円しかもってないパパさんのお話
“だいたい自分は金を遣わないことに慣れてしまっているから、さほど不自由ではないのだ。
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文豪たちのお金にまつわる文章がまとめられている。
石ノ森章太郎やつげ義春などの漫画もある。
種田山頭火の酒クズエピソードが面白くて親近感が湧いた。他の文章も読んでみたい。
イメージ通り文筆家は貧しい人が多いけど、お金がないことによる飢餓感が創作意欲を生むのかな。
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GDPには人生を豊かにしてくれるものは含まれないと言うロバートケネディの有名な言葉があるが、この本に登場する日本の作家たちは決して貧乏だから良い本を書けると言っている訳ではない。
お金は貰えるならば欲しいと言う生々しさが伝わってくる。
しかしそれと同時に彼らはお金のために生き方を変える事もしていない。
このバランス感覚が本来の日本人が持っていた気質なのかもしれない。
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文豪、漫画家、作家などのお金にまつわる(たいてい苦労話)エピソードを集めている。
最初に、お金自身が善悪というのではなく、持つ人によって善にも悪にもなるという澁澤栄一の言葉を持ってきたことで面白そうだと感じたのだが、読み進めると、文豪や著名人も昔は、お金で苦労したんだねと、しみじみするよりも、金が無い無い話ばかり・・気持ちが滅入ってきて、何度か読むのをやめようと思ったほどである。
直木三十五の「労働しないものは食うべからず」というような考えは下らない。働かなくても食えるのが本当だという社会にならなければ嘘だと思うという主張と、芥川龍之介のラブレターの微笑ましさが印象に残った。
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お金にまつわる文章(マンガも)をたくさん集めたアンソロジー。最初の方には、荷風、漱石、百間、鏡花などなど、文士たちの「カネがない」貧乏話が並んでいる。ごく短いものも多く、三分の一くらいで飽きてしまって、まん中あたりは飛ばし読み。でも、最後の三分の一くらいで、ちょっと長めのものがあったせいか、おもしろくなってきた。
文章が好きなのは町田康。リズミカルかつ破調という独特の文体で読ませる。胸を打たれるのが小林多喜二。以前梯久美子さんの本で終生の恋人タキさんとのことを読んでいたので、ここに採られた恋文にはなんともいえない切なさを感じた。なんてやさしく美しい文章なんだろう。切ないといえば、魔夜峰央のエッセイ漫画もそう。お母様との思い出話にじーんとする。
佐野洋子「死ぬ気まんまん」は好きな一冊だが、そこからも採られている。ここまでサバサバと湿り気のない文章というのはあまり知らない。癌を患い「死ぬことが間近になったら、死んだらお金はかからないということに気がついた」佐野さんは、「最後の物欲」として、「いちばん美しいとずっと表面には出さずに思っていた」イングリッシュグリーンのジャガーを買う。ジャガーを指差し「それ下さい」と言って買ったそうだ。かっこいいなあ。
いちばん「そうだよなあ」と思ったのは、意外にもビートたけしの書いたもの。いやあ、ビートたけしってあんまりいいい印象を持ってないんだけどな。でもここに載せられている一文は、長くても全部引き写したくなるくらい、納得の内容だった。「友情(愛情)は金で買えない」という言い方にどうも違和感があったのだが、たけしの言葉でそれがなぜなのか腑に落ちた。友情(愛情)とは、相手を大事におもう自分の気持ちであって、「買えるとか買えないとか言っていること自体がおかしな話なのだ」。いやごもっとも。以下は引用。
「誰だって、金は欲しいに決まっている。だけどそんなものに振り回されたら、人間はどこまでも下品になるというのが俺の母親の考えだった。貧乏人の痩せ我慢と言ったらそれまでだが、そういうプライドが、俺は嫌いじゃない」
「人間なんてものはどんなに格好をつけていても、一皮剥いたらいろんな欲望の塊みたいなものだ。でも、だからこそ、その一皮のプライドを大事にしなきゃいけない。それが文化というものだろう」
「お金がないことを、そのまま『下流社会』といってしまう下品さに、なぜ世の中の人は気づかないのだろう」
最後に。貧乏話はやはりつげ義春にとどめをさす。「無能の人」は最強だとあらためて思った。