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【収録作品】「春雀二羽」 澤田瞳子/「藍の襷」 志川節子/「掌中ノ天」 奥山景布子/「姉妹茶屋」 西條奈加/「浮かれの蝶」 小松エメル/「おもみいたします」 あさのあつこ
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2019年に日刊ゲンダイリレー連載された6編
女性時代小説作家による女性職人をえがくアンソロジー
新しいお気に入りが見つかるかと期待したが。。。
澤田瞳子「春雀二羽」
京の本道医の義妹真葛は薬草を育て薬の研究をしているが、禁裏御典医御薗家の兄弟不和と、医書を持ち込んだ老女の事件を、鮮やかな謎解きで解決。
志川節子「藍の襷」
年貢の不足を補う薩摩の色酢作りを母から引き継いだばかりの沙奈の前を、藩内の権力闘争の一端が通り過ぎる。
奥山景布子「掌中ノ天」
伊勢参宮の土産物の根付け細工に魅せられたおりんは弟子入りしてのめりこみ、京の修行から帰った恋人よりも大切なものとなっていた。兄弟子と競う心中の葛藤がよく描かれている佳作。
西條奈加「姉妹茶屋」
秩父で祖父から引き継いだ蕎麦打ちとくるみ餅の茶屋を営む姉妹に、江戸から捜査の影が近づく。姉の許婚は強盗団の手先なのか?作者らしいはらはらのミステリー仕立てと、ほっとする結末。
小松エメル「浮かれの蝶」
失踪した名主の娘の降霊を行って村人を安心させたお市は、DVの父親から娘を逃がすためのトリックだと見破った若者に手妻の技を教えてくれとせがまれる。
あさのあつこ「おもみいたします」
あまりの体調不良で毒殺におびえる商家の主が、体幹から凝りを解きほぐすお梅のあんまに、心の凝りまでもほぐされていく。あー、こんなあんま受けたい!
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アンソロの趣旨を汲みつつ、自分の作風を練り込めんだ人と、自分の作風になんとなーくテーマを付け足した人で面白さが分かれる
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6人の女性作家が、「江戸時代の女性職人」を物語の主人公に配した、短編傑作集!
小説を読むときに、毎回感じるのが、作家が変わる旅の、文章という流れというかリズムというか、物語の中に自分を埋没させるための儀式に、相手が変わることで、しばしば時間がかかったり、気持ちの立て直しが必要だったりする。
今回この本は、いささか体調が悪かった時期であったためか、物語の1番目に没入するまで時間がかかった。
全編素晴らしい物語で、短編が心地よく全て無駄なく、足りなくもなく、采配されていた。
時代小説好きの方には、お読みいただけたらと思う。
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図書館で借りたもの。
己の生きる道を自らの腕と業で切り開く女性職人の凛々しさを巧みな筆致で活写した、時代小説アンソロジー。
△「春雀二羽」澤田瞳子
薬師の仕事をもっと読みたかった。謎解きも薬師と関係なかったし。
△「藍の襷」志川節子
麹職人の話。
○「掌中ノ天」奥山景布子
根付職人に弟子入りしたおりんの話。
作業が細かく描写されてたし、読んでて面白かった!
◎「姉妹茶屋」西條奈加
蕎麦職人。蕎麦はもちろん、くるみ餅が美味しそう!やっぱり食べ物が出てくる話は好きだ。話も面白かった。
○「浮かれの蝶」小松エメル
その身に霊を降ろす口寄せの巫女…かと思いきや、手妻使い(手品師)の婆さんで――。
◎「おもみいたします」あさのあつこ
揉み屋のお梅の話。読みやすかった。
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お江戸が舞台で、「手に職を持つ女性」というキイワードで集められたアンソロジー。面白いなあこういう1冊。
春雀二羽/澤田瞳子 (薬剤師・真葛
藍の襷/志川節子 (米酢杜氏・沙奈
掌中ノ天/奥山景布子 (根付彫師・おりん
姉妹茶屋/西條奈加 (蕎麦打・お蕗
浮かれの蝶/小松エメル (口寄せ・市子
おもみいたします/あさのあつこ (按摩・お梅
女だてらに手に職を持つということが当たり前でない時代のなかで、それぞれにプロ意識を抱えた生き様が読み応えあり。トリに選ばれるだけあって、あさのさんの一作が、いちばん深かったかなあ、肉付けして映画にできそう。我慢を重ねた男の半生と疑念、サスペンス感満載だった。そう、この1話だけは語り目線がおんな職人じゃないのよね、うまい。
全体としてのテーマがありながら、話はそれぞれ独立しているし、スキマ時間に読むのにオススメな1冊。こういうところからはじめての作家さんにも出会えるので、アンソロジーは良いな。満足。
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時代小説は苦手と思ってたが、なかなかに趣深く人情味あふれててよかった。ただ単語の意味がよくわからないのもあったから勉強しなきゃな。