投稿元:
レビューを見る
八ヶ岳南麓の高原で暮らす都会からの移住者たち。ある朝、蛇口から流れる水が薄茶色に変じていた。それをきっかけに、当たり前の日常が崩壊していく。自然の中で生き続けて20年の著者だからこそ描けたパニック・エンタテインメント×骨太の社会派小説!
投稿元:
レビューを見る
これは、今書かれるべき本だったのだと思う。
天空の犬の樋口明雄氏の最新作には、いつもの犯罪者とか冒険とか、スカッとするアクションシーンは出てこない。
しかし、そこにはいま我々がまさに直面している、そこにある危機を、そのままストレートに書き記してある。
八ヶ岳の一角で、ある日水が枯れる。
その水は公共水道ではなく、分譲地の共同井戸からの天然水。
その水が枯れた原因の探究から始まる物語は、ものすごい現実感を持って読み手に押し寄せてくる。
今、水資源が好き放題に開発され、さらにリニアによって日本の大水源を貫き、地下水を玩ぼうとしている日本政府と企業。その結果何が起きようとしているか、その未来を見通した予言の書にすら思える本書。
多分、みんな読んだほうが良い。
もちろん、いつもの樋口明雄さんだから、作品としてもかなり面白い。
投稿元:
レビューを見る
自然豊かな八ヶ岳麓に移住してきた主人公。ある日突然使用していた地下水が濁りそして出なくなる。原因はミネラルウォーター製造会社?水道事業の自由化、山林伐採の規制緩和…水も自然も有限なのに。この本では地域の問題で終わっているが実は国家レベルの大問題だ!
投稿元:
レビューを見る
業種は違うが横暴な企業の出店計画と10年越えてたたかっている。市当局ともいろいろあって苦労は多いが暮らしを守るためのたたかいの中でいい仲間たちができてきた。
カネがすべての世の中は企業の傍若無人な振舞いがつくってきた。人間や自然が大事にされる日常をつくりあげたい。
本書の結末は納得できないな!
投稿元:
レビューを見る
普段目にするミネラルウォーター。あまり気にすることのなかった採水地で巻き起こる出来事に色々知らなかったことだらけで勉強になりました。
採水地周辺の住民や企業、はたまた市長選挙を交えながら、生活用水をめぐる社会派小説で、リアリティがある骨太作品でした。
社会派でしたが、文章は堅苦しくなく、スラスラ読みやすかったです。
田舎暮らしや別荘暮らしの盲点をついた印象でした。当たり前だと思っていた生活用水が地域によって、様々な制約があることに驚きがあったり、真実かどうかわかりませんが、企業の活動に隠された裏側があったりと知らなかったことが多くありました。
失ったことによって、初めてありがたみを感じる。普段はあまり意識しなかったのですが、このご時世で、色々とありがたみを感じました。全ての人がそういった思いを持たなければならないと思いました。
最後の方は、そんなに現実的ではなかったと思いましたが、小説としての結末に救いを感じ、良かったと思いました。
困難に陥った時、どう行動をとるのか。小説のような窮地に立った時、自分だったらどうするか。色々と考えさせられました。
投稿元:
レビューを見る
八ヶ岳山麓の別荘地の水をめぐる問題から市長選挙へと進む中で,水の問題は常にそこにあって読者に問いかける.日本の水は山は自然は大丈夫なのか?最後にみんなで山に登り源泉の水に触れるところが印象に残る.
投稿元:
レビューを見る
世界的に水が不足しているという事は周知の事実です。日本は台風や大雨などに悩まされてはいますが、その分水資源は豊富であります。
「日本が売られる」という衝撃的なルポタージュでは、日本の山林や水源が外国に買われている。そして水道業自体を民間で運営しようと画策しているという事が書かれていました。外国でも外資が水道を支配したがために水が手に入らず代わりに清涼飲料水を飲んでいる国があるそうです。水がタダのように使う事が出来るこの僥倖を安易に手放すこの日本という国は誠に危機感が無いです。
さて、そんな水戦争の予兆を八ヶ岳という風光明媚な名水の郷を舞台に小説にしたのがこの本です。
地下水そのものは誰のものでも無いので、企業が井戸を掘り過大に吸い上げた事により、一気に地下水が枯渇し生活用水も手に入らなくなった地域住民の苦悩が非常にリアルです。
水が出ない事がどれだけのストレスになるのか、しかも清澄な水を求めて移住したのに水が出なくなるとは・・・。
そしていつしか市長選挙とも絡み合う問題になり、住民たちの間にも亀裂が起き始めます。これ本当にどこかで起きていてもおかしくない事ですよね。水だけではなくて行政のパワーが落ちてくると公共設備が衰退していって当たり前ではなくなる。
その時に出てくる政治家は本当に正義の人か、混乱に乗じて付け入ってくるろくでなしか。なんとも怖い話です。
投稿元:
レビューを見る
八ヶ岳の麓、自然と天然水が豊かな分譲地で起こった突然の水質変化、そして渇水。天然水を汲み上げ販売する企業の工場ができたせいなのか。住民と水企業との戦いは、やがて市長選も巻き込むことに。普段あまり意識していない水の大切さを意識させられる社会サスペンス。
ライフラインとしてもっとも重要でありながら、もっとも手軽に手に入るように思われている水。だけどこれも無尽蔵に湧いてくるものでもない……ということを強く意識させられました。日本が世界の中では水に恵まれた地域である、ということも、言われるまでは意識できなかったことです。そしてそれを巡る利権争いの醜さが何ともいえず。文明の便利さと自然の保護を両立するのはたしかに簡単なことではないかもしれませんが。それだけの問題ではないですね。
市長選の争いもなかなかにスリリングで楽しめました。門倉って、まあそう悪人ではないんだけれど。考えてみれば、ある程度は狡猾でないと政治家なんてできませんよねえ(笑)。
投稿元:
レビューを見る
めっちゃ、おもしろかった!!
ウォータービジネスやら、外国資本参入やら、生々しすぎる!
この筆者さん、もっと読みたい!
投稿元:
レビューを見る
政治、水の利権、中国資本が絡まったいかにもありそうな話し。水の戦略的な重要性を改めて考えさせられる。
投稿元:
レビューを見る
ウォータービジネスについて何の知識もなかったけれど、分かりやすく書かれていたので読みやすかった。
ただ、主人公が疑念を抱いてそれが確信に変わってからも選挙を手伝うあたり自分には理解できず感情移入ができなかった。