紙の本
現代医療の在り方を考えさせられる。
2023/05/03 00:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
都心の医療機関で前期研修を終えた医師が後期研修で訪れた離島の総合病院。設備は充実しているが積極医療は行われていない様子に疑問を持ち、様々な試みを行います。
その病院が積極医療を行わない理由は現代医療の在り方を問うものでした。
ストーリー展開は軽妙でギャグ寄りにも関わらず、将来自分や身近な人たちが恒例となったり末期病症となったときどうするか、実に考えさせられる内容でした。
投稿元:
レビューを見る
2020/01/25-02/04
誰もに死は訪れる。現世と別れるのは辛いけど、また新しい出会いがあるだろう。大したことない。「痛みと苦しみ」から逃れられるなら、命と引き換えにしてもいい。久坂部羊作品は、いつも生きる値打ちを問いかけてくれる。
投稿元:
レビューを見る
面白かった。
なかなか問題かもしれない医療だけど、確かにそうかもしれないと納得いく部分もたくさんあった。
とてもシニカル。
投稿元:
レビューを見る
久坂部羊 著「オカシナ記念病院」、2019.12発行。東京の名門病院を修了、後期研修に人口3000人余りの島、南沖平島の岡品記念病院に着任した新実一良(にいみいちろう)27歳を通して描く「医療の物語」。医者の使命は、患者の希望は。患者が求めていないのに、病気を治そうとするのは医者の驕り。医者は暇な方がいい。患者が少ないのはみんなが健康だから。がん検診、無駄か、後悔しないためか(医者は受けていない)。死にゆく者への配慮、縮命治療(延命治療でなく)。今回も随分考えさせられました!
投稿元:
レビューを見る
+++
離島の医療を学ぼうと、意気込んで「岡品記念病院」にやってきた研修医の新実一良。ところが先輩医師や看護師たちはどこかやる気がなく、薬の処方は患者の言いなり、患者が求めなければ重症でも治療を施そうともしない。反発心を抱いた一良は在宅医療やがん検診、認知症外来など積極的な医療を取り入れようとするが、さまざまな問題が浮き彫りになっていき―。現代の医療の問題点を通して、生とは何か、死とは何かを問いかける。著者渾身の医療エンターテインメント。
+++
エンターテインメントとして書かなければ、さまざまな軋轢を生むだろう問題が凝縮されている。文句なく面白いのだが、その裏には、現代医療の抱える問題がうずたかく積み上げられているのだということを、改めて突き付けられる思いである。気づいていながら気づかないふりをして、医者の言うなりに検査を受け、薬を飲んでいるいまの状況を、患者側の意識改革だけで何とかするのは至難の業だろうが、少しでも立ち止まって自分の頭で考えたいと、切実に思わされる。医療関係者すべてに読んでほしい一冊でもある。
投稿元:
レビューを見る
現役外科医で作家の中山先生(@NakayamaYujiro)の書評を読み、購入。
医療とは、幸せな人生の閉じ方は、というようなことを考えながら読みました。
時に、医療が不安や病気を作り出すこともある。
やってみないと治療効果はわからない。
打つ手がない時は医療よりも宗教の方が心の平穏に寄与することも。
物語という形を取っているからこそ、頭でっかちでなく、素直に心に入ってきて、いろいろ考えさせられた。
死生観を少し変えたかもしれない一冊。
https://kadobun.jp/reviews/41k6qk1iy4cg.html
投稿元:
レビューを見る
ありのままに死ぬ事が、今、一番難しい事じゃあないかな?「知らぬが仏」という言葉もある。歳をとれば体にガタがくるのは当たり前。こう割り切ってしまえばいいのだけれど、中々そうもいかない世の中。『ほどよい医療』をしてくれるお医者さん探そう!
投稿元:
レビューを見る
沖縄離島での医療にて学ぼうとする熱意にあふれた研修医。彼が見た医療の現実を皮肉に描き、だけれどひどく考えさせられてしまう作品。もちろん理想は「元気で長生き」なのでしょうが。それが無理とわかった場合の医療は何が正しいのでしょうか。年を取ったり病気になるのが怖くなってしまいます。
あくまでもコミカルにシニカルに描かれてはいるものの、訴えられていることは大真面目。医療の限界があるのはわかっているけれど。限界ぎりぎりまで頑張ることが幸せになるのかどうか。治療を受ける権利と受けない権利、そして穏やかに死ぬ権利。目覚ましい医療の発達による恩恵と、それと同じだけの弊害。たぶんどちらがより良い、ということはないのでしょう。人によって考え方もそれぞれだし。だけどそのどちらかを自由に選べるような世の中ではないということが問題なのかなあ。
この島での医療はおそらく、世論では受け入れられることはないのでしょうが。だけどもし自分が極限状況に置かれた時の選択だったらどちらを選ぶか……案外と支持者は多そうな気がするんですけどね。
投稿元:
レビューを見る
こういう病院、あるといいなぁ。
そしたら国の医療費も助かるだろうに。
でも若いドクターには務まらないな(笑)。
投稿元:
レビューを見る
僻地の医療を学ぶために後期研修医として南の島の「岡品記念病院」に赴任してきた新実一良。そこの医療の現場で目にしたことは
投稿元:
レビューを見る
いつものコメディくだらない(いや、ユーモア?)路線かと思いきや、自分の死に方を改めて考えさせられるというか、こんな病院で死にたいと思うのである。
ただ現実の医療制度では難しいからだけでなく、生と死の考え方を根本から変えないとこんな理想の患者と病院にはなれないのだが。
投稿元:
レビューを見る
研修医の新実一良が離島の病院で経験する8つのエピソードの物語。
岡品記念病院の意味がEpisode1を読み終わったところで分かって笑ってしまった。
同じく研修医の名前もおかしな名前で面白かった。
縮命治療には疑問を持つが、何もしない看取りとほどよい医療には同感である。
高齢化の医療について考える参考になる小説です。
印象に残った文章
⒈ 病人を減らすことが目的なのに、患者を増やそうとしてるんだから。
⒉ 経済なき道徳は寝言
⒊ 速石覚先生は、名前の通りの医療をするのよ。
投稿元:
レビューを見る
タイトルから想像しておかしな話なのかと思ったら、まったくまともで、現代医療について深く考えさせられる話だった。
患者が求めていないのに、病気を治そうとするのは、医者の驕りだという岡品院長の考えに妙に納得してしまう。
一良が初期研修を受けた東京の白塔病院というのも、なんだか白い巨塔をイメージしてるみたいでウケた。
投稿元:
レビューを見る
面白かったです。
私も積極的医療はしたくない考えなので、こんな病院がホントに有るならお世話になりたい。
登場人物の名前がみんなクスッとなる。
投稿元:
レビューを見る
*離島の医療を学ぼうと、意気込んで「岡品記念病院」にやってきた研修医の新実一良。ところが先輩医師や看護師たちはどこかやる気がなく、薬の処方は患者の言いなり、患者が求めなければ重症でも治療を施そうともしない。反発心を抱いた一良は在宅医療やがん検診、認知症外来など積極的な医療を取り入れようとするが、さまざまな問題が浮き彫りになっていき―。現代の医療の問題点を通して、生とは何か、死とは何かを問いかける。著者渾身の医療エンターテインメント*
深いです。小説らしく、軽めのタッチで描かれていますが、これはなかなかに奥深い。
病とは?死に様とは?はもちろん、それ以前の当たり前にやってきている検査や治療についても考えさせられる。
検査をしたら悪いところが見つかるからイヤだ、と言っていた義父を思い出す。その頃はわかってあげられなかったけども・・・
「病気はできるだけ見つけない方がいい。見つけたら治療→治療効果の確認→再発疑いの定期的検査→別の異常が見つかって治療→エンドレス」。名言ですね。「病気も異常も検査しなければ自然治癒で勝手に治る場合があるし、早期に見つかっても治らないものもある」。本当に、目からウロコなセリフがバンバン出てきました。実際に検査も治療も全くしないのは勇気が要りますが・・・
最後は、オカシナ病院の勧誘を振り切って帰京を決めた一良。ここの素晴らしい医療を東京で広めたい、できるだけ何もしない治療を!と高らかに宣言する一良を、見送りに来た全員が唖然とするラストがいい。本当に色々と考えさせられる小説でした。