紙の本
大国晋の二百年
2022/12/04 15:55
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
晋の重臣を代々務めた趙一族。
厳しい政策を採った者、族滅の危機に瀕した時、名宰相となった者など、趙一族の歴史を見れば晋の歴史もおのずと分かってきます。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
茶者の初期作品だがその作風は十分に楽しめしかもちょっと異色的である。連作短編集であり趙氏の歴史を250年間を描いている。重耳や孔子など知られた人物も登場する。
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【現代にも通じる王と宰相の関係を描く長篇】古代中国・晋の宰相として国を支え続けた趙一族の盛衰を、歴史と運命への透徹した視点をもって描いた初期の傑作長篇を新装版で。
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中国の春秋時代。大国・晋に仕え、後に戦国七雄のひとつとなる趙の礎を築いた、趙氏一族の物語。
決して順風満帆とはいかず、むしろ滅亡の危機に何度もさらされながら、家臣に、友人に、周りの様々な人たちに支えられ、逞しく生き延びていく。
まるで異なる性格の一族たちが、複雑な人間模様に、刻一刻と変化する状況に晒されながら生きていく姿に、最後まで目が離せない。
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古代中国を自家薬籠中のものとしてきた著者の初期連作小説。実は宮城谷昌光氏は喪われた古代書物を匿していて、それを翻訳しているだけではないか?と窃(ひそか)に測っているが、証拠を見つけること我能わず。
冗談はそれぐらいにして、紐解いたのは、小野不由美「十二国シリーズ」の世界観は、孔子以前、つまり古代中国春秋時代だと当たりをつけている私が、また別の作家の視点から、その世界を見たかったからです。
小説は紀元前655年ごろから始まり、時代の覇権を担った晋の宰相を務めた趙氏一族を7代に渡り記し、紀元前453年ごろに終わります。
すると驚く勿れ、十二国の世界観が至る所に展開されていました。
曰く。
「山の霊に憎まれるようなことを、わたしはやったおぼえがないのに‥‥」(24p)
←この素朴な信仰から神仙信仰までは近いと言えるだろう。
曰く。
「趙盾の立場からすると、公子楽の殺害は、あきらかに法の行使であった」(54p)
←既に法治主義が徹底されていました。法に照らして宰相が王子を殺すことも許されるのです。日本で言えば弥生時代中期ですよ。すごいな。
曰く。
「たとえ楚との戦いで敗けても、晋は滅びはせぬが、苛政をおこなえば、国人は叛かんして、国はおのずと滅んでしまう」(112p)
←この徳治主義の考え方もやはり十二国の世界観です。
曰く。
「寛大な政治とは水であり、厳格な政治とは火である」(213p)
←この水と火の政治の葛藤が、時々十二国世界で、大長編となっていっているようです。
曰く。
「天が授けたものは、たとえ生まれが卑しくても、かならず尊貴になるものです」(269p)
←有名な占い師の言葉に従い、趙鞅は下女が産んだ無恤を優秀な息子を差し置いて跡取りと決めて仕舞う。もっとも趙鞅はそのほかにも人(世論調査)と地(宝探し)の声も聞いて判断したのではあるが。此処に、既に「天」という動かし難い神?権威?が有る。しかもそれに従ったから、思いもかけない「運命」を趙氏は乗り切ってゆくのです。こういう「跡取り=王」の決め方は、十二国世界観と繋がっているものでしょう。
思いもかけないところで、孔子も登場します。また、チェン・カイコーの映画「運命の子」の原作となった「趙氏孤児」のエピソードを、氏独自の視点で、この大河物語に挿話しています。蓋(けだ)し、中国古典は物語の宝庫也。
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やはり読みやすく面白い.
春秋時代の晋の重耳に仕えた趙衰とその子孫(趙盾,趙朔,趙武,趙鞅,無恤)の物語.趙朔編の最後,公孫杵臼と程嬰の恩返しで涙.
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中国春秋時代の晋の重臣を務めた趙一族のお話。
一族を何代も存続させ、繁栄させる難しさと厳しさ。
継ぐ子供が優秀とは限らないし、そんな時でも支えてくれる良い臣下に恵まれるためには「徳」が必要。
滅亡しそうになった時、命がけで趙家を守った臣下たちにも心打たれました。
そうしてつないでいった趙一族が、戦国七雄の趙となっていくのですね。
なんだか感動です。