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複雑に絡み合っても少しずつ解いて、たとえ切れてしまってもまた紡いでいけるように、人生長い目で見なければと、少し反省。
「言はで思ふぞ、言ふにまされる」儚い思いの美しさ、潔さというものは尊い。
しかし、母親の言葉が。
妙に刺さってその後の展開も彼女には嫌悪感しかなく、沈んだ澱は取れなかった。
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【ホームスパンの聖地盛岡を舞台に愛を紡ぐ物語】家出をした高二の美緒は盛岡で毛織物の工房を営む祖父の家に駆けこむ。雲を紡ぎ、光を染め、風を織る中で少女は希望を見つけていく。
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お祖父さんの優しい言葉に涙が出ました。
著者の他の作品と同様,本作品も,読んだ後はほっこり心が温かくなりました。
物語の中で,一番心に残ったのは,祖母と祖父がそれこそ一から孫の美緒のために,ホームスパンづくりをするところでした。
著者の小説は,はずれは全くありませんし,いずれも感動的するお話なのですが,何だろう,ちょっと物足りない気がするのも確か。
「なでし子物語」の方が,大河物語風で,心にひっかかるところがあるように思いました。
感動する話から一皮むけた著者の物語を期待します。
本作品ですが,盛岡の街がとても魅力的に描かれていたのが,印象的でした。
これほど心躍る街とは思わなかったので,いつか行きたいという思いを強くしました。
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雲を防ぐ
著作者:伊吹有喜
文藝春秋
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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心を繋いで行くのを、羊毛を紡ぐのに例え、それをテンポ良く読みやくす興味深く描かれているように思いました。白くてフワフワした羊毛が雲みたいで、このタイトルにされているのが素敵だなと感じました。
また盛岡の街並みが描かれていて、盛岡の街をぶらぶらしたことのある私は、その時の街の風景や岩出山を思い出し、読んでいて凄く楽しかった。もう一度盛岡に行って、じゃじゃ麺を食べたくなりました!
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ホームスパン、家で紡ぐ。
羊毛を洗い、紡ぎ、染め、そして織る。そのひとつひとつを手作業で行う工房。
学校でいじめられ、母親とも分かり合えず父親はいてもいなくても変わらないような存在。そんななかで心のよりどころだった祖父母の手織りのホームスパンの赤いショール。
美緒をずっと包み込み癒してきた赤い布。その存在と、それを作り上げた祖父母の存在。
盛岡にある祖父の工房に家出していった美緒の幸福を思う。両親よりも一歩距離のある祖父との生活。そして父の従妹やその息子とのやりとりでこんがらがり切れ切れになっていた家族の糸が再び縒り合されていく幸福を思う。
思っているよりはるかに短い家族の時間。その終わりを受け入れる覚悟、決意。盛岡の町がささえるその変化を思う存分味わってほしい。温かくて愛しいこの物語、2020年、すでに自分の中でベスト級。
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東京と岩手県を舞台としたエンターテイメント小説。
穏やかで優しい、しかし生きる厳しさも伝えてくれる。手仕事の良さ、過去への敬意を伝えてくれる。
よくできたエンターテイメントを好む人にはオススメできる。
主人公の美緒登校拒否をしている女子高生。
彼女はある時父方の祖父のいる岩手県に行く。そこで祖父から織物を習うことになる。
彼女が成長していく物語をベースに、美緒の両親もまた成長していく。
典型的な成長の物語をベースに、緻密に計算された伏線を回収していく、巧みな構成。
ややメロドラマチックな部分もあるが、この誇張された感情表現は好きな人は好きだろう。映画やドラマになりそうな作品だ。
人は悩みながらも生きていく。もがきながらも悪戦苦闘していくことによって光が見えてくる。そんな、希望を感じさせる小説だった。
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内容(「BOOK」データベースより)
壊れかけた家族は、もう一度、ひとつになれるのか?羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布」ホームスパンをめぐる親子三代の心の糸の物語。
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噛み合わない3世代の母と娘。
登校拒否の高校生美緒が羊毛から糸を紡ぎ、ホームスパンを織り上げていく物語。
読み始めから7割以上は仲の悪い母と娘、祖母と母、父と母の話し。
読んでいて暗くなる。美緒が縦糸と横糸をだんだんと上手く織り上げていくように、それぞれの仲が噛み合っていく。
いろいろあって家族だなぁと思える小説でした。
印象に残った文章
⒈ 美緒とはすなわち美しい糸、美しい命という意味だ。
⒉ 言はで思ふぞ、言ふにまされる。
⒊ 「寒くないよね、おじいちゃん」赤いショールで、美緒は骨箱を包み込む。
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少女の再生物語であり、家業の継承物語であり、地方都市の産物の物語でもある。
岩手は訪れたことがあるが、ホームスパンは知らなかった。
作中に出てくるホームスパンのコートやジャケットなど、着てみたい。
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いい作品でした。何というか・・・それ以外の言葉が見つからない。伊吹さんらしい、と言えるほども読んでいないのですが、いつも伊吹さんの作品を読んだあとは「いい本だったな」と思えます。母親の描き方が、今の私にはつらかった。いつも側にいて、一番近くにいるから、一番言葉も多くなるし、その分きつくなったりもする。既に今でももう「私って損な役回り」と思う事があるので・・・この先気が重くなったのも本音でした。
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宮沢賢治が出てきたり、
個人的にいろんな角度から楽しめた。
家族のカタチはいろいろ。
おじいちゃんがいい味出している。
たくさんの経験をしてきた人の言葉は、一つ一つ重みがあり、優しい。
岩手に行きたくなった。
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ホームスパンという高級な羊毛の織物のことをこの本で初めて知った。 代々受け継ぐくらいの服になるという、大量生産、大量消費の現代とはかなりかけ離れたもの。でも、品質は一級品。これからはこういったものがもっと注目されていくと思った。
美織が本当の自分とやりたいことか見つけられてまわりも変わっていく。もの作りに心惹かれる。
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嫌なことを嫌だと言えない美緒は不登校になり、教師の母に大切にしていたショールを捨てられた事がきっかけに、父方の祖父の所へ家出する。羊毛手織物の世界と祖父との生活に、少しずつ心を取り戻す…。読者のこちらまで祖父の無骨な優しさと言葉に、何度も心を揺さぶられる。本屋大賞になってもいいくらいだと思う。良作。中高生にもおすすめ。
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今年いちばんのカンドー本!電車の中では読めない。人の心揺さぶる言葉の数々。福田パンをはじめ盛岡、岩手の四季が色彩だけでなく香りまでも!それにしても伊吹さんの作品にはハズレがない!取材力とその洞察力に脱帽。なんでここまで、あらゆる世代の心の機微を表現できるんだろう❓