投稿元:
レビューを見る
うーん。
好意的なレビューが多いので、きっと僕があまのじゃくなだけなのだろう。
というのも、久しぶりに完読できなかった1冊になってしまったから。
文章が素晴らしい、というレビューも散見されるけれど、僕は読んでいて、あまり面白い文章だとも思えず、時々すごく自意識過剰な表現があったり、「こう表現すれば面白くなるだろう」的なミエミエの文章があったりで、気持ちよく読むことはできなかった。
そしてこういう読書体験は初めてなのだけれど、「ああもうダメだ、頭にきた! もう読むのやめた!」といって本書を放り出してしまった。
本文が全185ページあるのだけれど、その94ページ目、ちょうど半分くらいのところにこんな文章があった。
「ちなみに読者諸氏の多くもご存じのとおり、ジニ係数というのは、すべての曲が同じ投票数ならば0、一曲だけに全投票が集まる場合に1となる、不平等さの度合いを測る統計量である」。
え! ジニ係数? 読者諸氏の多くもご存じ? はぁ?
ってな感じ。
要するに本書は「ジニ係数」というものをきちんと理解している方が読まれるご本であると。
僕のように物を知らない、ましてや「読者諸氏の多くが存じ上げている」「ジニ係数」も知らないバカがこのご本を読んではいけないのだ。
そうか、そうなのだな、いくらバカでもそのくらいのことはわかるよ、うんうん。
ということで残り半分を残して不愉快なまま終わらせてしまった。
多分、他の人はこんなことは感じないのだろうけれど、なぜだか僕はそんな風に感じ、激怒してしまった。
つまり僕みたいなバカで短気でしかもあまのじゃくな人間が手に取ってはいけなかった本だったのだな、ということ。
投稿元:
レビューを見る
天空編、原子編、数理社会編、倫理編、生命編と5つのカテゴリーからなる科学エッセイ。科学は苦手だけど、タイトルにひかれて読んでみた。
原子編はちょっと難しかったけれど、科学が苦手でも、それなりに楽しめた。
特に一番最初の「海辺の永遠」に書かれていることには、私には驚きの発見に満ちていた。
「多数決の秘められた力」も面白く、日本の現状を考えると、確かにその通りだと思う。
投稿元:
レビューを見る
全22話に及ぶ科学にまつわる抒情的エッセイ。
素晴らしかった。科学的な知見が得られる本は数々あるけれど、こんな文学的表現が散りばめられたものはそう多くないように思う。
理学部教授って肩書きからは想像できない文章センス。
22話どれも短くて読みやすい。宇宙、原子、数理、倫理、生物などジャンルも様々なのでまずは自分が興味ある分野から読んでみるのもいいかも。
個人的には数理社会学の章が一番面白かった。
投稿元:
レビューを見る
大宇宙から原子世界まで、人間社会からアリの社会まで縦横無尽、馴染み深い話から全く聞いたことのない意外な話まで、どれも親しみやすい、それでいて明晰な文体で懇切に語られる。多数決の数理を扱ったいくつかの章が特に興味深かった。美しい装丁もグッド。
投稿元:
レビューを見る
科学の楽しさを伝えてくれる良書。ド文系のわたしには難しい点もあって、確率の計算とかは飛ばして読みましたが、文章の美しさで最後まで読み通せました。話題がとても豊富でした。いろいろと友人に知ったかぶりができる
投稿元:
レビューを見る
宇宙について思いをはせると どうしてこんなに
胸が踊るような 子どもに返ったような気持ちになるのは何でだろう。
そんな宇宙のロマンも数学も 日常も 味わえるエッセイ。あっという間に読めるのにもったいないと感じて、1日一章ずつ読みました。
投稿元:
レビューを見る
買ってよかった〜 著者の狙い通りに通勤行き帰りの電車内でじっくりじっくり味わいながら読み終えました。が、読み終えた途端に前に戻って再び読む。
投稿元:
レビューを見る
物理学者にしては?洒落た文体に文学的教養を感じさせる文章だけれど、軽薄というかナルシスティックな語りが多い印象。だからこそのエッセイなのだろうけど。
投稿元:
レビューを見る
<目次>
第1章 天空編
第2章 原子編
第3章 数理社会編
第4章 倫理編
第5章 生命編
<内容>
量子力学、数理物理学などを専門とする、高知工科大の先生の科学エッセイ。日本ではこの手の本が少なく、理系の話がみんな小難しくなってしまい、それが理系離れが進んでいる一員なのではないか?と感じていた。もちろん、福岡さんとか仲野さんとか良い書き手も多い。そして、この本はほんわかとしたムードの中、結構硬派な話もさらりと書かれている。理系エッセイの良品である。さらにこの手の本にはあまり載らない、参考文献や知識を深めるためのブックガイドまで載っているのが素晴らしい!土曜の午後、コーヒーでも飲みながら、ゆっくりと読みたい本である。
投稿元:
レビューを見る
物理学者による科学エッセイ。科学エッセイというジャンルがあることを知らなかった私は、そもそも高校で物理を選択しておらず、理科も数学も苦手であった。そんな私でも現代に生きていることが、まだ解明していない謎が世界にあることがうれしくなってくる、読んでいてわくわくする本だった。著者の科学へのときめきが伝染してくる、とても詩的な文章
あと装丁が上品ですごくすき
投稿元:
レビューを見る
銀河の片隅で科学夜話 全卓樹著 物語通し世界の神秘に迫る
2020/5/16付
日本経済新聞 朝刊
科学の面白さを伝えたいと筆を執った著者は「科学に触れず現代を生きるのは、まるで豊穣(ほうじょう)な海に面した港町を旅して、魚を食べずに帰るようなもの」と言い切る。理数系の学問はあまり……という人は首をかしげるかもしれないが、日常目にしたことがあるものや身近な例に落とし込み、科学にまつわる"物語"に仕上げている。
流れ星が夜空に光る情景を描いた宇宙がテーマの天空編、放射線や核についての原子編、アリの不思議な生態を取り上げ遺伝子や生物学の謎をひもとく生命編など5編、エピソードごとに全22夜で構成する。
原子編ではアンリ・ベクレルが放射線を発見した時の話やその後の核爆弾開発の経緯を易しく説明する。「人類が原子核エネルギーを支配するのか、あるいはそれに支配されるのか、大河の流れつく大海原(おおうなばら)はいまだに見えてこない」と、叙情的な語り口に引き込まれる。
倫理編では、本人も覚えていない寝ている間に見た夢を勝手に他人に解析されたら?という空恐ろしいテーマを示す。「脳内イメージの抽出技術」が進歩する中、脳神経科学と倫理学の密接かつ重要な関係性を説く。
数字や理論の解説も丁寧で、限りない科学の不思議や世界の神秘に思いをはせながら夜更けにじっくり読んでみたい。(朝日出版社・1600円)
投稿元:
レビューを見る
科学エッセイなのでちょっと小難しいところもありますが、読んでいるとちょっと頭が良くなくなったような気がします。
投稿元:
レビューを見る
装丁が綺麗だし、すごく詩的に科学の小話みたいなものを書いた作品。
読みやすいと思うけれど、広く浅く書いてあるので、そもそも科学に興味を持っている人や好きな人には物足りない…かもしれない。
興味を持つキッカケになるかもしれない一冊。という感じかな。
投稿元:
レビューを見る
「銀河」がタイトルに含まれているので、宇宙エッセイが読みたいと思って手にとったのだが良い意味で裏切られた。
もちろん宇宙がテーマの文章も含まれているが、他にも原子、社会、倫理、生命とテーマに広がりがあり、それぞれが品質の高い文章で、興味深い内容が語られている。
「宇宙の中心はどこであろうか。実はこの質問には答えがない。宇宙は、より多次元の空間に埋め込まれた、両端がつながった閉じた空間だからである。ちょうど地球の表面の二次元世界に生きる生物にとって、地球のどの地点が中心かという質問が無意味なように」(P.28)
この文章が一番印象に残っている。
地球が三次元の球体であるということは今では誰でも知っていることだけど、その知識がなければ自分たちは平面の大地の上で生きていて、大地や海にはどこかに終りがあるかもしれないと思える。実際昔の人々はそのように解釈していた。
それと同じように、三次元空間に見える宇宙も、時間を越えて端と端がつながっているということは十分ありうることだと思う。宇宙を見る目が変わった気がする。
判型や重さもちょうど手に取りやすいサイズで、装丁や挿絵がおしゃれで、何となくリビングのその辺に置いておきたくなるような本です。
投稿元:
レビューを見る
堅苦しくない、科学エッセイ。
人間、社会、そういう目の前のことに色々応用して考えることができて面白かった。科学が身近に感じられた。
挿絵も素敵で好奇心が刺激される。夢がいっぱい詰まったお気に入りの本を開くときのワクワクが蘇ってきた。
静かな夜、文学の朗読に耳を傾けているような感覚で少しずつ読んで安らぐ…そんな不思議な癒しを与えてくれた。