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けものたちは故郷をめざす みんなのレビュー

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みんなのレビュー21件

みんなの評価4.4

評価内訳

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21 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

純文学としても、エンタメ小説としても、濃厚の一語

2022/06/22 22:32

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る

数十年ぶりに読んだ『砂の女』のすごさに触発され、本書を読了。前半の脱出の道行きと後半のめくるめく展開、そして衝撃の結末と、純文学なのかエンタメなのか、両者が渾然一体となったド迫力ド熱量の一作。安部公房にとっての「満洲体験」の強度と深度をも改めて感得させられた作品でした。

「おれたちと一緒にいるのが、なんといったって、幸せなのさ。」(49頁)
「家はどこにでもあった。家があれはかならずドアがあり、ドアがあればかならずしっかりと錠がかかっている。ドアはすぐそこにあったが、その内部は無限に遠いのだ。けっきょく、あの人っ子ひとりいない荒野と、すこしも変りはしないじゃないか・・・・・・いや、もっと悪いかもしれない。荒野はのがれることをこばんだのだが、町は近づくことをはばむのだ・・・・・・」(252頁)

本書の主題を挙げれば、カバー裏にもあるように、人間存在と人生、アイデンティティー、故郷(単なる「日本」ではない)、国家、自由、差別や拒絶といったことどもになるのであろうが、一読、本書の世界は「砂の女、その後」ということでもあるように感じられる。(なお、176頁の「狼じゃないかもしれんが、犬でもないな・・・・・・そのあいだの、なんとかいう動物」という表現はかの「ジェヴォーダンの獣」を、久木久三と大兼保雄との出遭いは日嘉暢子と平良三郎のそれを想起させた(単なる私見)。

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紙の本

けものたちは故郷をめざす

2024/01/28 10:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る

国共内戦の最中、満州から日本に向けて脱出した主人公が、荒野を抜けて南へ向かう。一人では生き残るすべを持たない少年だが、同行する男の高は技術は持っていても信用ならない人物。限界を超えた飢えと乾きの末、たどり着いた町にも救いはない、という感じがすごかった。

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紙の本

現代によみがえる野性

2021/01/10 17:50

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

終戦とともにソ連軍がなだれ込んで来た北支地方で、同じ町の日本人達と一緒に帰国しそびれた青年が、ソ連兵の手伝いの仕事をして暮らしている。辺境の小さな町にはイデオロギーの波も及ばず、それなりに平穏な生活ではあったが、日本に帰りたい思いが募って脱走する。苦労して町を一歩出れば、そこは国共内戦下の中国になる。そのどちらに捕まってもスパイとみなされそうなのだが、勢力図がコロコロと変わっており、偽装のしようもない。そうして見えない敵に追われるようにして、極寒の荒野を飢えと疲労に苛まれて延々と彷徨うことになる。
とにかく広くて何もない。人がいたら敵。そんな中で同道することになったのは、どちらかの工作員で、どちらかからはお尋ね者らしい男。道案内には頼りになるが、彼とて日々流動的な勢力図については出たとこ勝負でしかない。協力しあって生き延びるしかないが、いつかは相手を出し抜こうとお互いに狙っている。
日本に帰りたいだけなのに、戦争は終わったのに、なぜこんな混沌の荒野に投げ出されてしまうのか。これではまるで逃亡劇のようだ。どこまで逃げれば安全になるのかもわからない逃亡。そんな死線を彷徨う経験によって、彼らは少しづつ野性を身につけていくようだ。
これを戦争の悲惨さとも言えるかもしれないが、戦争というだけでなくあらゆる過酷な状況に飛び込み、突き進んで行く人間の心象を書き表しているのではないか。人間同士は、個人、組織、国家と、あらゆるレイヤで争い続け、自然よりも人を脅かすが、それに立ちすくんでいるわけにはいかず、覚悟を決めて突き進むしかない。それが現代世界における、けもの的人間ということになるのだろう。
戦後大陸から引き揚げてくる人の話はいろいろあるが、ここでは日本人にとっての戦争というものが遠い風景になってしまっていて、誰にとっても荒々しさを育てるための培養装置のようだ。それは悲惨であるとも、非人道的であるとも言えるものだが、もたらされる野蛮さは無用のものだろうか。そして彼らはけものとなって帰ってきた。
現代社会においては、いわれなき悪意や不条理にも、ただ黙ってやられっぱなしになることが美徳なのかもしれないが、自分の力で戦い、身を守ることも時には必要ではないか。悪徳、悪趣味、野蛮、モラルからの解放、そういう牙を内面に飼っておくことの疑似体験というのが、この作品の位置付けになりそう。それは多様な価値観の間の対立が増すほどに、この世界では重要になっているのではないだろうか。

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2020/03/30 00:31

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2020/05/06 22:19

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2020/04/24 09:04

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2020/06/21 10:00

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2020/07/30 16:55

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2020/09/27 20:41

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2020/10/05 13:47

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2021/03/08 22:13

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2021/11/08 00:37

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2022/06/15 20:35

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2023/01/14 18:07

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