紙の本
「Art in You」 アートは、ある一定の人たちのためだけのものではない。みんなのものだ。 そして、私たち一人ひとりのものなのだ。
2021/07/09 10:18
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
千葉市美術館で開催された「宮島達男クロニクル1995-2020」を昨年11月に鑑賞した。
売店でこの本に出会った。
「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」の原田マハ。
香港のアートセンター「CHAT」のエグゼクティブディレクター兼チーフキュレーターの高橋瑞木の共著。
「現代アートがわからない、という人でも、アートに興味がもてる本を作ろうよ。たとえば、あなたが、この美術館に行ってみたい! このアートを実際に見てみたい! と思えるような」
本書を読み終えて、行きたい美術館や見たい作品があふれている。
「アートとの接近は、あなたの人生を豊かにする」(P4、原田)
「人生でいろいろな楽しいこと、悲しいことを経験するなかで、十代のときはわからなかったのに、三十代になって意味がわかるということは絶対にあると思います。あるとき、自分のなかにドーンと入ってくるような感覚」(P79、原田)
「世界各地で訪れる展覧会や出会う作品たちは、私たちにとって未知の世界にアクセスするための『どこでもドア』だ」(P257、高橋)
アートは、ある一定の人たちのためだけのものではない。みんなのものだ。
そして、私たち一人ひとりのものなのだ。
「Art in You」--昨秋の展示で出会った宮島達男の言葉を思い起こした。
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私は現代アートというものは、この本に取り上げられたものでは、奈良美智さんの絵をみかけたことがあるくらいで、縁のない世界でした。
私の住んでいる地域の美術館にも、そういった現代アートと呼ばれるものは、私の記憶している限りでは、ほとんど催し物がなかったためか、あっても自分が興味を持っていなかった分野なので見逃していたのだと思います。
首都圏の美術館にまで行くのはなかなか大変ですが、今度県立美術館で何か催しがあったときは見逃さないようにしようと思いました。
コロナのこともあるので、出かけるのはおっくうな気もしますが、経験してみないとわからないこともあり、それこそが現代アートというものかもしれないと思いました。
以下本文より
●アートとの接点は、あなたの人生を豊かにする。いってしまえば、アートは人生における「無駄なもの」なのかもしれない。それでもアートがある人生、あるいは、関心をもつことができる人生は、アートがない人生より豊かである。
●現代アートというのは英語の「コンテンポラリー・アート」の訳である。コンテンポラリーとは「同時代の」という意味。そのとき生きていた人にとって同じ時代ということ。
●現代アートは鑑賞者が作品の中に入っていったり参加できるという作品が多い。作品に関わるという特徴のひとつ。作品について知りたいことがあったとき本人の口から聞ける可能性があるというのは同時代だからこそ。
●現代アートの楽しみは、自分と同時代に生きている人の独特な表現、新しい視点をリアルタイムで見られること。
●アートが自分の中にドーンと入ってくる瞬間の気持ちは展覧会に足を運んでできるだけ作品を見ること。
以下
●二人が選ぶ、いま知っておきたいアーティストでは15人のアーティストが紹介されています。
アンディ・ウォーホル/エルネスト・ネト/宮島達男/ウィリアム・ケントリッジ/オラファー・エリアン/ハンス・ハーケ/高嶺格/シンディ・シャーマン/内藤礼/ビル・ヴィオラ/フェリックス・ゴンザレス=トレス/大竹伸朗/ヨーゼフ・ボイス/ベルント&ヒラ・ベッヒャー/Chin↑Pon
●美術館に行こうでは
東京国立近代美術館
東京都現代美術館
広島市現代美術館
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
が紹介されています。
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現代アートって何?という話からはじまり、その楽しみ方や知っておきたいアーティスト、美術館でのたのしみ方など、読みながら現代アートが何となく身近に思えてくる。お二人のアート愛にふれて美術館へいきたくなる本。
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「コンテンポラリー」の一意な定義はない。
①「いま」のアート
②近代に対する現代のアート
その場合、印象派以降、1917年のデュシャンの「泉」以降、第二次大戦以降など。
高橋さんは1905年の相対性理論の発表以降を支持。時間は相対的なものであることが示されることによって、モノの見方は絶対不変ではないという気づきが与えられた。1枚の平面作品に複数の視点を持ち込んだピカソに代表されるキュビズムなど。
読み直したい本だった。
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2020/9/19 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。
2022/8/7〜8/9
原田マハさんの現代アートの紹介本。クラシカルアートが理解できているわけでは無いが、現代アートとなると、何が良いのかさっぱり分からなかったが、何となく何を楽しめば良いのか少し分かったような気がする。キュビズムは、特殊相対性理論後に空間を二次元化するとともに時間軸を取り入れたもの、という解説に目から鱗が落ちた。
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美術館勤務経験を持つ小説家原田マハさんと、キュレーター高橋瑞木さんの共著。森美術館設立準備室で奔走していた仲だそう。
現代アートって正直敬遠していたけれど、お二人の見方に触れて、扉が開かれた気分。歴史の目撃者として観る。
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現代アートとはいえ、図版が少ないので、作品のイメージが即座に掴めないのが残念ですが、興味を引くアーティストをいくつか見つけることができました。
せっかくの対談なのに、揺らぎや対立、化学変化がなく、その結果、深まりがあまり見られなかったのは残念です。二人が仲良し過ぎるのかもしれません。
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とにかく美術館に行きたくなる!わからなかったこと、これでいいのかな?と思っていたこと、わかったような気がするし、それでいいんだよと肯定されたような気がする。
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マハさんの本なので読んだが、やはりあまりコンテンポラリーアートには興味が湧かず。なのであまり面白くなかった。普通に小説をお願いしたい。
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東京・森美術館設立準備室で、ともに日々を過ごした旧知のふたりが、あなたと現代アートとの「距離を縮める」ために、アーティストや各地の美術館、展覧会を案内する。わからないが面白いに変わる、現代アートのガイダンス。
美術館に行きたい!!
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きっかけ:マハさんの本だったのと、現代アートに少しでも親しみたくて。
感想:一気に現代アートに興味を持てた。マハさんの解説ならもっと知りたいな〜
p20,21
(IT革命後の今のアートについて)
俯瞰するにはまだ近すぎて整理できない
いまのところは同時代だから一緒に走っている感じです
→ なるほど。コロナあとのアートや文学、音楽についても後から分類されていく感じか。
p37
甕の機能があればいいのにわざわざ抽象的な絵を描いている
→ 最近根津美術館で甕をみたときに同じことを思った
p52
(現代)アートに興味をもったきっかけ
→ 家族でリビングに飾る絵を見に行った
→ ヤマザキマザック美術館の壁紙や床材へのこだわりと尾張の花相撲展がニッチでよかった
→ 名古屋城の虎屏風がかわいくて迫力があった
→ 花森安治の展示でレタリングが美しかった
p64
自分からアプローチしていくとものすごく近い存在になる
かなり幸福なこと
目の前にある作品をつくった人が自分と同じ時代に生きていて、話せるということに気づいたとき興奮した覚えがある
→ すごく同意
p68
みんなが知っているけど気が付かなかったり近くにあるんだけど見過ごしてしまうもににアーティストは焦点を合わせている
視点がある
アーティストの視点を通して見える世界がある
→ すごく同意
必ずしも見たいものをみせてくれるってわけではない
→ なるほど
人間がもともと複雑さを備えているからそこに尽きない題材がある(美しいものだけではなく、いやな面もある)
→ なるほど
p72
自分がそれまで持っていた価値観を照らし合わせることができる
そうやって自分の価値観に気づかされることもアートを見るという経験の面白さ
→ なるほど
p76
普通の人間の営みがあった
その中で苦悩したり喜びを感じたりして作品が生まれてきた
現代アートの愉しみは自分と同時代に生きている人の独特な表現、新しい視点をリアルタイムで見られること
→ すごく同意
p90
ウォーホルはアート・ディレクター
セレブの写真をポラロイドで撮って、拡大して、デザインして、この色をここに使ってとに決めたら、あとはアシスタントが工房でシルクスクリーンで刷って最後に自分かサインをするという作り方
p104
(原田マハ)展覧会を企画したいと思ったらアーティストに電話して話ができるというのはその後の生き方を決定づける貴重な体験になりました
p134ハンス・ハーケ
何も恐れていない
美術というものが、美術館という守られた場所で現実社会とまったく関係ないように展示されることを批判している
現実社会の政治やお金の動きや人の欲、権力者の存在が、美術ともの分かちがたく結びついているんだと主張しているわけで、その鋭い視点、ブレないこうどうが評価されている
p136
分からないといってそこでシャッター���下ろさない
ちょっと調べれば何でも出てくるし、作品を見ながら「分からない」と思ったらそこで諦めずに監視員や学芸員に聞いてもいいと思います
展覧会の場合は企画した人がその作品を選んだ理由かあるはずだから
p138
世の中にこんなにモノが溢れている時代にお金をかけて新たにモノをつくることにどれだけの意味があるのか(→廃材を用いた作品づくり)
p144
(3.11後)表現者たちはすごく戸惑っていち早く表現した人もいるしなかなか表現できずにいた人、時間が経ってから表現した人もいた
でも、美術の側から発言しようとして展覧会を実現させた高嶺(格さん)はすごい
→コロナもおなじ
p126
オラファー・エリアソン
アーティストのことを考えるとき、作品だけがすべてを語っているわけではない、とくに現代アート
背後の思想や活動をも同時に見るべき
最近、「アート・ワーク」ではなく「アート・プラクティス」という言葉がよく使われています
「作品」ではなく「実践」ということです
アーティストを語るとき、作品についてだけでなく、社会のなかで実践している活動を含めて評価されるように
いまは自分自身、表現者たちがどんな作品を出してくるのが待ってる感じ
p201
ベッヒャー夫妻の作品葉写真の記録性をアートに組み込んだ
美術館で見かけたら「これはベッヒャーだ」って一瞬でわかる
誰かが似た作品を撮ることはさほど難しくないと思う
だけどそれはもう真似でしかない
最初にやったとか独自性があるということってアーティストには重要
◇給水塔、1980
p179
ゴンザレス・ドレス
床にキャンディを敷き詰め、
亡くなった恋人の体重と同じ重さに設定されている作品。
観客(がキャンディをとっていくことで)その体重かどんどん減っていく。
恋人の肉体がいろいろな人にシェアされることによって悲しみが昇華される
p238
作品のリタイア
作品を起動したり再生するための機材が故障し、どうにも制作された当時の状態と同じ様に展示ができなくなったときにその作品は役割を果たしたとみなし展示という「現役」から引退していただく
現役と同じように動かなくなったときまで見越してどう作品を後世に伝えるか、アーティストと十分に話し合って収蔵すべきではないか
p230
アートは私たちのもの
文化財は私たちの共有財産
だからちょっと高いかもしれない入場料を払うのは私たちの文化財を守り伝えるための義務であり、展覧会やコレクションを見るのは私たちの権利なのである
p214
美術館に行く前に 原田マハ
本物の作品を見に行く
夜間の空いている時間に行く
作品解説は事前にウェブでチェック
キュレーターの意図を考えてみる
入り口にいた自分と出口に着いた自分を比べてみる
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ずっと印象派前後の原田さんの本を読んでいたが、現代アートについての対談も面白かった。どちらにも共通しているのは、その作品を見た時の新鮮な感動を覚えていることとアーティストへの敬意を常に示しておられること。私もこういう風に常にポジティブに作品を鑑賞したいなあと思う。
原田さん高樹さんのあげる現代アーティスト(メモ)
ウォーホール
エルネスト・ネト:お餅
宮島達男:デジタルの数字
ウィリアム・ケントリッジ:ドローイングアニメ
オラファーエリアソン:夕日・虹自然現象の再現
ハンスハーケ:ゲルマニア 政治とアート
高嶺格:原発 社会と向き合う
シンディシャーマン:女性像 女性の業
内藤礼:物を削ぎ落とした
ビルヴィオラ:ビデオアート 日本人の間
フェリックスゴンザレストレス:参加型 飴印刷物
大竹伸朗:スクラップ ノイズの奔流
ヨーゼフボイス:社会変革アートインスタレーション
ベルトン&ヒラ・ベッヒャー:人工物写真 給水塔
Chim Pom:6人集団原発、明日への神話への付加
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千葉市美術館で開催された「宮島達男クロニクル1995-2020」を昨年11月に鑑賞した。
売店でこの本に出会った。
「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」の原田マハ。
香港のアートセンター「CHAT」のエグゼクティブディレクター兼チーフキュレーターの高橋瑞木の共著。
「現代アートがわからない、という人でも、アートに興味がもてる本を作ろうよ。たとえば、あなたが、この美術館に行ってみたい! このアートを実際に見てみたい! と思えるような」
本書を読み終えて、行きたい美術館や見たい作品があふれている。
「アートとの接近は、あなたの人生を豊かにする」(P4、原田)
「人生でいろいろな楽しいこと、悲しいことを経験するなかで、十代のときはわからなかったのに、三十代になって意味がわかるということは絶対にあると思います。あるとき、自分のなかにドーンと入ってくるような感覚」(P79、原田)
「世界各地で訪れる展覧会や出会う作品たちは、私たちにとって未知の世界にアクセスするための『どこでもドア』だ」(P257、高橋)
アートは、ある一定の人たちのためだけのものではない。みんなのものだ。
そして、私たち一人ひとりのものなのだ。
「Art in You」--昨秋の展示で出会った宮島達男の言葉を思い起こした。
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他のアート本を読んでたから入りやすかった。他の本と違って、昔ではなく、今を生きる人が作った作品に焦点を当てているのがよかった。アートは、ドア、窓、鏡、さまざまな表現で面白いかな。
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有名作品のすばらしさをわからなくてはいけない、という無意識の感覚がアートを敷居の高いものにしているのだろうなぁ。
己にとってびびっとくる作品との出会いは一期一会。難しいことを考えずにとりあえず美術館に足を運びたい。「この作品は好き、でもこれは嫌い」というのでもいいのかも。
美術館や博物館に行くとき、音声ガイドはいつも付けないけど、すごいもったいないことをしている気がしてきた。