紙の本
その頃の私たち
2024/03/30 13:58
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投稿者:ダタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても読み易く入門書として完璧。
古代の人々があらゆるものに神々を見出だし、
自然と折り合いをつけていたことが分かる。
そこに善悪はなく、明確な意味もなく、
只、神々の無邪気とも言える
感情の揺れがあるだけ。
人類が世界を理解しようとして
取り組んできた試みの
最初期における足跡の一つ。
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急にわたし全然メソポタミアの文明や神話について知らないな……と思い焦って買った。平易でわかりやすいです。神話の内容も知りたいけど、今度はその神話がどういう風に読まれてきたのか、受け止められたのか、これらからわかる当時のシュメール人たちの死生観についても知りたい。とりあえず次はギルガメシュ叙事詩も読んでみます。
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神の名前が覚えきれず、前のページに戻りながらちびちび読むことになってしまったが、総じて面白かった。解説にもあったが、大洪水の物語は現在のコロナの状況に通じるものがあり、歴史は繰り返され語り継がれているものなのかもしれない、と感じた。時期がきたら再読したい。
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メソポタミアの代表的な古代民族であるシュメール人/アッカド人/ヒッタイト人による神話を紹介する本。この辺の神話はさまざまなファンタジー作品にも登場することから馴染みのある人も多いだろう。
大まかなもくじとメモ:
Ⅰ 天地創造の神話
・人間と農牧のはじまり(シュメール):大神たちとアヌンナキの神々
・バビロニアの創世記(アッカド):アプスーとムンム,女神ティアマト,マルドゥークの怪物退治,バーブ・イル(神の門;バビロン)の建設
Ⅱ タンムーズ神話
・イナンナ・ドゥムジの神話(シュメール):女神イナンナの冥界下り
・イシュタル・タンムーズの神話(アッカド)
テリピヌの神話(ヒッタイト)
Ⅲ ギルガメシュ神話
・ギルガメシュ叙事詩(アッカド):ギルガメシュ,エンキドゥ,フンババ征伐,天の牛,大洪水,不死の探求
・シュメールのギルガメシュ神話:地下界,生者の国
・アトラ・ハシース神話(アッカド)
・鷲に助けられた王(ギリシアのギルガメシュ伝承)
Ⅳ 神々と人間の物語
・アダパの神話(アッカド):人間とは愚かなもの
・エタナの神話(アッカド)
・ネルガルとエレシュキガル(アッカド)
・怪鳥ズー(アッカド):ニンギルス神による討伐
・クマルビの神話(ヒッタイト)
・竜神イルルヤンカシュの神話(ヒッタイト):東洋における八岐大蛇
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「ヒトコブラクダ層ぜっと」に触発されて読んでみた。
イナンナの話はずいぶんと違っていた。
大昔から、神様たちはけんかばかり。実に人間味あふれる。
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・女神イナンナが、地下界の第一の門に入ると、彼女の王冠が持ち去られました。
女神が第二の門に入ると、彼女の杖が持ち去られました。
女神が第三の門に入ると、彼女のラピスラズリの首飾りが持ち去られました。
女神が第四の門に入ると、彼女のペンダントが持ち去られました。
女神が第五の門に入ると、彼女の黄金の腕環が持ち去られました。
女神が第六の門に入ると、彼女の胸飾りが持ち去られました。
女神が第七の門に入ると、彼女の衣服が持ち去られました。
・イシュタルが第一の門に入ると、番人は女神の大王冠を持ち去りました。
イシュタルが第二の門に入ると、番人は女神の耳飾りを持ち去りました。
イシュタルが第三の門に入ると、番人は女神の首飾りを持ち去りました。
イシュタルが第四の門に入ると、番人は女神の胸飾りを持ち去りました。
イシュタルが第五の門に入ると、番人は女神の腰帯を持ち去りました。
イシュタルが第六の門に入ると、番人は女神の腕環と足環を持ち去りました。
イシュタルが第七の門に入ると、番人は女神の体の腰布を持ち去りました。
・「ギルガメシュよ、あなたはどこまでさまよいゆくのです。あなたの求める命は見つかることがないでしょう。神々が人間を創られたとき、生命は自分たちの手のうちにとどめておき、人間には死を割りふられたのです。ギルガメシュよ、あなたはあなたの腹を満たしなさい。昼も夜も踊って楽しみなさい。日ごとに饗宴を開きなさい。衣服をきれいにし、頭を洗い、水を浴びなさい。あなたの手につかまる子どもたちをかわいがり、あなたの胸に抱かれた妻を喜ばせなさい。それが人間のなすべきことだからです」
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1982年に「世界の神話」シリーズの一冊として刊行された書籍が、2020年に文庫として復刊された。巻末の著者による補足文にて、「読者の中心が若い人たちということもあり、またこれらの不完全な形で残っている作品を、とにかく一つのまとまった物語としてとらえてみようという考えから、部分的にかなり推定による補筆を行ったことをお断りしておきたい」と但し書きがある通り、物語としての読みやすさを優先して編集されている。
古代メソポタミアにおける古代国家の成立をテーマにした、『反穀物の人類史』のなかで触れられていた「ギルガメシュ叙事詩」のストーリーの全体像を知りたくなったことがきっかけ。書店で同学芸文庫から出版されている『ギルガメシュ叙事詩』のページをめくってみると、原文に忠実で本格的なだけに少しとっつきにくく、目的とは違っているようだったのでパスした。偶然隣にあった本書を確認してみたところ「ギルガメシュ」が収録されているうえに話としてまとまっていて、他の物語も読めるとあって、こちらを選んだ。
「天地創造の神話」「タンムーズ神話」「ギルガメシュ神話」「神々と人間の物語」の四部構成で、それぞれに複数の物語が収録されている。合計で15話ほどから成り、シュメール人・ヒッタイト人・アッカド人のいずれかによって遺されたものとされている。
お目当ての「ギルガメシュ叙事詩」については、事前に知っていた唯一の情報が洪水による受難の物語で、主人公のギルガメシュの体験だと思っていたが違っていた。親友の死によってショックを受けたギルガメシュが不死を求めて会いにいくのがウトナピシュティムという男で、洪水はウトナピシュティムの過去の体験としてギルガメシュに伝えられる。同じ章に、洪水の箇所のみを切り出した形に近い「アトラ・ハシース神話」も収められており、これらメソポタミアにおける洪水に関する物語が、『旧約聖書』の「ノアの方舟」の原型ともされることに納得できた。
本書に収められた複数の物語を通して印象深かった点をふたつ挙げる。まず、多くの物語で人間が神々の仕事をこなすための奴隷として作られていることが挙げられる。ときには人間が神に見いだされて神へと昇格することもあるが、基本的には現実の人間にとっての労働用の家畜に近い扱いである。そのため、神から多少の不興を買っただけで、あっさり街ごと滅亡させられることもある。このあたりから、当時の古代国家を統治する支配者が、万能の神の代理としての正当性を裏付けるために神話が生み出されたのではないかと思わなくもない。
次に、数多くいる神々がけっして倫理的ではないことがある。多くの物語で神同士のいがみ合いや権力闘争が多く描かれ、その決着についても正義や道徳が規準にはなっていない。強大な力をもってはいるが、必ずしも理性的とは言い難く、ときには非常に身勝手であり、やっていることはある意味ではとても人間臭い。関連して、神がほかの神を殺す際に残酷な表現が用いられたり、性的なシーンも見受けられる。個別の神としては、複数の物語でたびたび重要なキャラクターとして登場する地下界(冥界)の女王・エレシュキガルはとくに印象に残った。
編集の工夫のためか、古代の物語ながら面白く読み通すことができた。巻末の解説にもあるように、ゲームなどを通して興味をもった読者の知識を深めたい要求にも応えられるのではないだろうか。
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ピア・サポーターズSさんのおすすめ本です。
「世界には様々な文化や文明が広がっていますが、それらの多くは西アジア、ひいてはこのメソポタミアに集約します。
もしかしたら、あなたの読んだことのある物語の原型も収録されているかも…?
ぜひ手に取って読んでみてください!」
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