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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
長い歳月をゆっくり刻み過ごす魔女と、駆け抜ける様に生きて死んでゆく人間との千載一遇のファンタジー。物語好きなら一度は夢見た世界の息吹を感じられるリアリティもありまさに夢うつつ。ほっこり温かくもとても切なく縺れた想いに惹かれました
紙の本
やさしい魔女たち
2020/06/13 18:37
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古い港町にひっそり住む魔女たちの人々を見守る優しい物語です。
児童文学で魔女を描き続けてきた著者ならではの一冊。
長く生きる魔女に取って、人間はあっと言う間にいなくなってしまう存在。
そこに寂しさを感じつつも愛さずにはいられない気持ちが伝わってきます。
紙の本
『魔女たちは眠りを守る』
2020/05/07 21:12
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古い港町に帰ってきた若い魔女と、その町で魔女たちの住処を営む年を経た魔女
彼女たちが見守り、手を差し伸べ、またときに守りきれなかったひとの子たちとの出会いと別れを描く、切なくてうつくしく、心あたたまる物語
《わたしにとっての魔女の物語は、日々を慈しみ、懸命に生きる名もなき市井のひとびとへの愛と共感であり、ときとして理不尽に命を奪われることもある彼らの、その生涯への愛であり、せめてその亡骸に手を差し伸べ、抱きしめたい、その生涯を称え、祝福したい、そんな思いだったのだ》──「あとがき」より
著者が『風の丘のルルー』を執筆したときからあたためてきた魔女のお話を、いまの時代の日本を舞台につむぎだしたおとなのメルヘン
この本に出会ったあなたをそっと魔法にかけるにちがいない
紙の本
魔女は、紅茶の砂糖のような存在なのかも
2022/08/21 20:49
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投稿者:マメム - この投稿者のレビュー一覧を見る
『魔女の宅急便』や『魔女の旅々』といったアニメ作品にも似て、一つ一つのエピソードが色んな味わいを楽しめる紅茶の詰め合わせのような、とても温かさを感じる作品でした。
同じ紅茶でも少しだけ色味が違ったり、時に甘く、時に甘酸っぱく、それでも読み進めていくにつれて美味しさが滲み出てくる。素敵な時間を過ごせたと思います。
魔女という存在は、人々にとって砂糖のような存在なのかもしれませんね。
ゆったりとした時間を紅茶と共に過ごしたい人にオススメしたい作品でした。
電子書籍
やさしい物語。
2021/09/19 12:38
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容をうっかり忘れて、献血ルームに持っていって、ベッドの上で血を抜かれながら、ボロボロ泣いてしまいました。いい作品です。
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戦争や自然破壊など過去の悲しい出来事を魔女視点で描かれている。
ファンタジーだけど、本当にありそうな不思議なお話。
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魔女の七瀬はかつて少し住んだ海辺の街へ戻ってくる。その街を守るようにニコラという魔女も住んでいる。そこで知り合う人や、かつてそこに生きた人の物語。魔女は長く生きる、生きる故に悲しい別れもある。こんな物語に出逢えて良かったと心から思う。ファンタジーというジャンルではなく、心が温かく切なく泣きたくなる特別な物語。とても良かった。子供の時に、大人になっても読んでほしい、そんな本。
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世界を害する悪いものではなく、ただずっと人やその営みを慈しみ、守ってくれる、優しい魔女たちのお話。
魔女だけでなく、関わる人間たちも、人間でも魔女でもないものたちも。誰かを想う優しいものばかりで、切なくもあるが美しく、優しい世界だった。
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日本の港町を舞台に一人の若い魔女?が登場し、様々な人達で出会いと別れを繰り返していきながらも懸命に生きていく物語です。
若い魔女と黒猫といえば、あのジブリの作品を想像します。しきたりも類似していて、まさかと思いましたが、魔女の風貌はちょっと違い、落ち着いた雰囲気を醸し出していました。
もしかしたら周りにいるのかも…と色々想像を掻き立てながら読んでいました。
日本が舞台なのですが、どこか西洋のようなポワーンとした雰囲気を漂わせていて、あのジブリの作品に登場してくる町のような雰囲気がありました。
ファンタジー小説ですが、日本の昔からある行事や昔の歴史を取り込んでいて、内容は日本的なのに西洋の雰囲気を醸し出しているというアンバランスなことが自分の頭の中で発生していて、面白かったです。
出会いよりも「別れ」の方が強く描かれていて、哀愁の色が漂っているものの、芯がしっかりと強く生きている人達が多いせいか、重い気持ちにはなりませんでした。むしろ感動の方が強かったです。特に「お盆」の話がジーンときました。
魔女や魂が宿るなど、文字にするとホラーな感じを想像してしまいますが、村山さんが描くと、ファンタジーに仕上がっていて、ちょっとした不思議な感覚がありました。
最初は、ポワーンと温かく包み込むような感じでしたが、段々と後半になると、シリアスな方向へと進み、作品をキリッとさせてくれます。感動あり、冒険あり、歴史劇ありと色々なことがありながらも、全体としてファンタジー小説に仕上がっていて、ファンタジーとしての奥深さを感じました。
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どれも、村山さんらしいとても優しくて、少し泣けるお話でした。新型コロナウィルスの大流行という今、突然の別れや、理不尽な別れを強いられた人を思ってしまい、時々泣きました。でも、誰かの記憶に残るなら、誰かの礎になるならば、それは「いなかった」事にはならない。私たちが今ここで生きている事への感謝を改めて感じる作品でした。怖いけれど、魔女たちのように長く生きられれば幸せ、というものでも無いのでしょうね、きっと。#NetGalleyJP
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永遠に生きることができる魔女たち。
彼女たちは、こっそり人間の日常に紛れ込んでいて、人間にはわからないようにこっそり、災いや病気、事故から守ってくれている。
時には自分の命と引き換えにしてまで…。
実は私たちの生活はそんな優しい魔女たちに守られているのかもしれない。
疲れたり、上手くいかなかったり、苛立ったり…自粛や物が思うように入手できなかったり…
でもそんな時に今まで上手くいかなかったことが急に上手くいくときがある。
まさに絡まっていた糸がするするとほどけるような感覚。
私たちの日常もこっそり魔女に見守られているのかもしれない。
疲れた気持ちを癒してくれる読後感の優しい小説。
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大人のためのファンタジー。
児童文学のような、優しさに満ちた現代ファンタジーだなと思いながら読みましたが、作者さんが実際に児童文学の出身の方なんですね。
表紙イラストも、いかにも魔法の本!といった感じで素敵。
みんなが奇跡や魔法の存在を自然に受け入れているのも、好き嫌い分かれる部分かもしれないけれど、私はそこが好きでした。
長い長い時を生きる悲しみもあるけれど、だからこその魔女たちのやさしい眼差しに人々は救われている…
もしかしたら私も今までに救われたこともあったかもしれない。なんて考える楽しみもありました。
優しい気持ちになれる一冊です。
おばあちゃんや子どもの話は泣かずにはいられませんね(^^;)
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最初はゴリゴリのファンタジーものかと思って、読むのをやめようかと思いましたが、最後まで読んで良かったと思っています。
魔女が主人公のお話ですが
現実離れをし過ぎておらず、あまりファンタジーものを読まない私でも、心惹かれ読み終えることができました。
さよならをする事が、悲しいことではないと
思うことができた1冊です。
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おそらく書き下ろし。
作者らしい優しい優しい慰めに満ちた物語。
2019年の春、赤毛の若い魔女七竈七瀬がかつて1か月だけいた海辺の町に帰ってきて、この町を守るやや高齢の魔女ニコルのカフェに併設された13階建てのビルに住まわせてもらう。クリスマスまでのできごと。
魔女は人間の10分の1しか老化しないので、七瀬が高校で一緒に過ごした図書委員の叶絵は、すでに本屋のベテラン店員になっていたが、書店ををとりまく情勢が厳しく疲れ切っていて、死にかけたところを、2、30年前と同様に七瀬に助けられる。
ハンバーガー屋の店員空哉は、小学生の時にいじめられてひきこもり、祖母の家に預けられて回復したことがあったが、10年ぶりに会いにいくと祖母はすっかり老いていた。かつて猫の病気を治す薬を魔女から分けてもらったので、ニコルの元を訪ねると、祖母はよく来ていて空哉のことも知っていて、薬とお茶をもらって帰ると祖母は喜んだが、眠ったままになる。
時計店の2階で子供文庫を開く佐藤さんは、七瀬に小学生の夏祭りの夜にバンパイヤと出会い、彼女が月の裏側に帰って行ったという経験を語る。
お盆に帰ってきた死者の魂がニコルの元に寄っていく。離婚後事故死したタクシー運転手が屋根でトランペットを吹く家の中では音楽の道に進む娘が、渡せずに置いてあった真珠のネックレスをつけて同じ曲を歌う。サインボールを追って海に飛び込んだままだった少年が40数年ぶりにボールを見つけて弟に届けに来る。
戦前にアメリカから送られた青い目の人形が壊されずに山中に置かれて命が宿り、海辺の町から疎開してきた少女が空襲に遭った家をめざす旅について行くが、少女は途中で死んで人形が70年以上かけてたどり着き、七瀬のおかげ少女の魂のかけらが家族の魂と再会できる。
最後に七瀬が江戸時代の隠れキリシタンの島で育ったことが語られ、クリスマスに島の人々の霊と再会する。
こうやって書いてしまうと薄っぺらくなるが、それぞれの物語は思いやりに溢れて十分感動的。
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_/_/ ガーナのおすすめ本商会 _/_/ 021
(毎月一回の予定です)
ガーナのおすすめ本商会(21)
「魔女たちは眠りを守る」
児童会長は大変だなと、日々思うガーナです。
今回は、以前に紹介した『魔女たちは眠りを守る』を、あえてもう一度、紹介したいと思います。今でも、私の中の好きな本ランキングでは、1、2位を争っている作品です。ずっと強く心に残り続けているので、以前に書いたレビューを、いまの自分の視点で書き直したいな…と思っていました。前に書いたものより、もっと読んでもらえるようなレビューを書きたい!と、心のガーナが言っているので、もう一度、紹介していきたいと思います。
この作品は、主人公の“七瀬”という赤毛の若い魔女の娘が、ある港町に行くのがきっかけで、そこで起きる出来事や、七瀬のこと、七瀬を取り巻く魔女や人間、時には動物だったり、そんな話がぎゅっと詰まっている作品です。
先日、この作品を久しぶりに読んでみると、意外にも文字が細かく挿し絵も無かったのですが、読みはじめると登場人物の複雑な気持ちや、今にも壊れそうな世界観に引き込まれ、やはりどんどんと読み入ってしまいました。
魔女と他の生物との寿命によるすれ違いや、どうしても一緒にいられないもどかしさが一つひとつの文章に込められていて、思わず涙してしまったり。
私のことで例えるなら、私と私の母のいう「昔」は違って、私の言う昔は3年前くらいですが、母の言う昔は10年前なんです。こういうすれ違いを積み重ねて大きくした感じだと思いました。私と母の違いでは、そんなに大したことはなく「へー、やっぱり年齢によって昔の意味が違うんだ(笑)」と、笑って済ませられるけれど、魔女は何回も何回もそんな気持ちが積もりに積もってしまったから、いつもどこか寂しそうなんじゃないかな?と思いました。
私は幼いころから魔女が好きで、何度も魔女になりたいと思ってきました。なので、最初にこの本を見つけたとき、とっても魅力的に見えた気がします。ですが、この本には魔女の切ない気持ちや、言葉にならないような複雑な気持ち、まだ完璧に自立できてない七瀬の揺れる感情など、たくさんの“思い”が溢れていました。この本をきっかけに、魔女というものをもっと深く知れた気がしますし、とても尊敬しています。魔女たちの気持ちに、本の外側からは寄り添えませんが、夜の闇のように、深い小説にどっぷり浸かりたい! 泣きたい!という人にはとってもおすすめ。なによりガーナのイチ押しなので読んでみてください。ひとつ、注意点があるとすれば、読み終わったあと、眠れなくなるタイプの本なのでお気をつけて!
今回のレビュー本を決めるときに『クララとおひさま』にしようか迷いましたが、同じ本を紹介することを選びました。ある意味、冒険で、言葉も慎重に選んだため、緊張しすぎて短いレビューになりました。
そんなわけでガーナの近況を少し。
公立の中学校にはどうしても行きたくないガーナは、クリスチャンの私立中学校を目指すことにしました(イェーイ、決めたぞ!)���
その学校で、文芸部を設立し雑誌を出すのが夢! 今から想像してムフフとしているのですが、取らぬ狸の皮算用にならぬよう、いまはひたすら受験勉強をがんばります!
夢のアオハルを目指すガーナでした
2021/05/20
*** 以下は以前の紹介文です ***
ガーナのおすすめ本商会(12)
今回紹介する本は「魔女たちは眠りを守る」という本です。著者は村山早紀さん。この本を手に取ってみようと思った理由はいくつかあります。
1つ目は、よく行く大好きな本屋さんがあるのですが、そこに置いてあった、のです。最初は気にならなかったのですが、オススメコーナーにあったので読んでみようかなと思いました。この本屋さんは、決して大きくなく、おじいさんがいつもレジにいて、ちょっと入りにくい感じではあるのですが、新刊コーナーのセレクトがお父さんや私の好みの本が多く、いつからか通うようになりました。いまではおじいさん店主と本の話をするようになったくらいです。
2つ目の理由は、昔から魔女関連のものが大好きなので「魔女たちは眠りを守る」という題名はやはり放っておけないなと思いました。あと、表紙が絵画のようにきれいでミステリアスな絵に惹かれました。持っていてうれしくなる表紙です。
3つ目は、帯に書いてあった言葉やあらすじに、ビビっときたからです。とても素敵で、読んでみたいと思いました。帯の言葉はみなさん自身で読んでみてください。詩のような表現で、感想を言葉にするのは難しいですが、とにかくエモいです。
海辺の街の「魔女の家」を舞台にした短編集です。
この「魔女の家」は、魔女たちの寄宿屋のような場所で、旅をしている魔女たちが立ち寄り寝泊りするところです。その海辺の街を舞台に、魔女と関係する不思議な話がたくさん入っているのです。
短編はそれぞれ、魔女の目線、海辺の街を目指す人形の目線、街に住んでいる人間の目線など、いろんな立場の目線から、書かれています。
この本に出てくる魔女は、いわゆる魔法を使って何か大きなことをするとか、魔女っぽいことはあまりしません。この世界に生きる魔女は自分たちが生き絶えないように人間にバレすぎないように、旅をしながら静かに暮らしています。そんな魔女がいる世界では、魔女にしか見えないもの、わからないこと、魔女にしか感じることができない死人の感情などがあり、時に無力さに切なくなったり、落ち込んだりすることもあります。人間と、とてもよく似ている魔女たちの話ともいえます。
お気に入りの短編の一つは「サンライズ・サンセット」というお盆のことが書かれている話です。
「魔女の家」を経営している魔女ニコラはお盆になると街に出て、お盆で戻ってきている死者たちに出会います。いろいろな家庭に行き、死んだ人たちと会話をしたり、死んではじめてお盆を迎えた少年とのやり取りがあったりします。死んだことに気づいていない少年の話には考えさせられました。若くて死んでしまうということは、果たせない約束が多くなって、本人だけじゃなく、まわりのみんなにとっても中途半端なままになってしまうのです。
この本は短編ですが、全体を通して主人公の魔女の「七瀬」という少女の存在が鍵になります。最初から最後まで読んだ人にしか分からないようなところに、この七瀬の秘密が記されていたりして、すごくよく考えられている作品だなと感心してしまいました。
この、赤いロングヘアでくせ毛、そばかすのある少女は、魅力的で、でも不思議な雰囲気で満ちています。とてもキャラ立ちしていて、ラストにちょっとした謎めいた一文もあるので、ぜひ続編を読みたいです。
全体を通して春夏秋冬、1月から12月までの短編集です。寒かったり、雨だったり、暑かったり、花がきれいだったり…。温度や匂いを感じる物語の雰囲気を楽しむには、静かな雨の日に読むと、とても入りこめて鼻がツンとする読書になるはずです。詩的な気分になって泣きそうになるという意味です。
なのでこの本は、梅雨におすすめします!
休校が終わり、6月からの学校が楽しみではあるけれど、休校中の宿題が多すぎて全然暇じゃないガーナでした(涙)。
2020/05/28