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猫を棄てる 父親について語るとき

猫を棄てる 父親について語るとき みんなのレビュー 新刊

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みんなのレビュー60件

みんなの評価3.9

評価内訳

60 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

父親の歴史を継いだものとして

2020/04/24 07:45

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

川上未映子さんの問いかけに村上春樹さんが答える、そんな長時間インタビュー集『みみずくは黄昏に飛びたつ』の新潮文庫版には、この本、つまりは村上さんが自身の父親について綴った長いエッセイについて、「書くのは一種の義務」だと語っている。
 そして、父親の戦争体験を「語り継がなくちゃいけないと思っていた」と述べている。

 このエッセイが総合誌「文藝春秋」の2019年6月号に掲載された時は随分と話題になった。何しろ村上さんはたくさんのインタビューやエッセイを残しているが、個人的な事柄についてはあまり語ってこなかった。
 特に父親についてはなかなか難しい関係であったようで、このエッセイにも「僕と父親とのあいだの心理的な軋轢は次第に強く、明確」になっていたと書いている。
 しかも、村上さんが職業作家になって以降、「絶縁に近い状態」だったともある。
 そんな父親との関係がありながらも、このエッセイで「父親について語る」のは、やはり「戦争」という事柄があったからだろう。

 この本の「あとがき」に「戦争というものが一人の人間の生き方や精神をどれだけ大きく深く変えてしまえるか」ということを描くとすれば、村上さんの前に父親がいたということだろう。
 それは極めて個人的な係累かもしれないが、村上さんにとってやはりそれは書いておかなかればならないことであったのだと思う。

 だから、村上春樹という作家の、これは独立した、そして屹立しているエッセイなのだろう。

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電子書籍

ねじまき鳥の重要解説書

2020/05/06 17:31

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

父と一緒に猫を棄てに行って、自転車で帰ってきたら、その猫に出迎えられた。
 本書にある、この不思議な話に近い体験を、案外と多くの人が持っているのじゃなかろうか。私事で恐縮だが、ずっと昔の高校の頃の話。学校前で友人と別れ、自転車を10分ぐらいかっとばし、赤信号に出くわしたので停止した。ふと横を見ると、その友人が立っていた。友人は徒歩であった。
 その現象はいまだにきちんと説明できないが、自分では確かに体験したものとして受け入れている。でも人に伝える時は、リアリティを保つのにギリギリになってしまうような話だと思う。あるいは、信じられないが自分も似た体験をしたんだと打ち明けてくれる人が多いようにも思う。
 『猫を捨てる 父親について語るとき』は、この手の話が冒頭にポンとあって、いやに共感しながら読んでしまった。リアリティがギリギリの話でも、分かる分かると読んでしまうのが村上作品の魅力である。いつもながら完読はあっという間であった。
 本書は、『ねじまき鳥クロニクル』の著者本人による重要な解説書なのだと思う。ねじまき鳥が超常現象話ではなく確かな体験の重みのようなものを感じさせる理由は、本書を読んで若干ながら分かった気がした。

 父の回想は、軍刀で人の首がはねられる残忍な光景は、言うまでもなく幼い僕の心に強烈に焼き付けられることになった。父の心に長いあいだ重くのしかかってきたものを息子である僕が部分的に承継した(本書引用)

 著者は、父親のことを書くのにどんなところからどんな風に書き始めれば良いのかつかめなかったが猫を棄てに行った話を思い出したら自然に書けた、と記している。猫の話が、著者を父の戦時体験に連れ出している。
 あのよく出てくる「井戸」は、猫だったんだなあ。

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電子書籍

ようやくの過去語りは、収束にむけてのはじまりだろうか。。。

2020/05/10 02:11

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ymzw - この投稿者のレビュー一覧を見る

ここ数作忙しさにかまけ積読のままなので初の電子書籍も予想外に読み易く読了。
挿絵の感じもとてもよかったので、やっぱり本として手元に持っていたかった気もする。
過去語りを避け続けてきた作者が漸く!軽めのエッセイの様で内容はとても深い。
10年遅かった気もするけどずっと読みたかった。
歴史や過去の重さと内心ではずっと向き合ってたろうけど、
今語り始めた意図は収束の意識なんだろうか?
出自を半ば捨てたように見えるその感じが、
良くも悪くも作風にブランクを作ってきたような気がしてたけど、
これからキャリア終盤に向けて変化していくんだろうか?
堅牢なリミッターを排した作品を是非読んでみたいと思うのだけど。

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紙の本

村上春樹には珍しい家族に関するエッセイ

2020/04/27 22:50

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹には珍しい家族に関するエッセイだ。題名からして、そんなに重い内容ではないと思っていたが、とても重くシリアスな内容だ。父親が体験したであろう戦争についても多くのページを割いている。とても興味深いエッセイだった。台湾出身のイラストレーターの絵が合間合間に載っているが、それがちょっと心を和らげる。

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紙の本

短くて易しいようでいて、真意をつかめないエッセイ

2020/05/29 22:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹作品は、欠かさず読んでいるが、特に小説は読み通した後の読後感がはっきりしない。どれも読みやすくて、不思議な世界観に満ちていて、どんどん読み進められるのだけど、読み終えて、自分の中に確たる感想が湧いてこないことにハッとする。たとえば、友人に「どうだった?どんな話?」と聞かれたときうまく説明できないというか...。本書は、エッセイであるというのに、同じような読後感。村上春樹さんと父親の関係を描いたものではあるけれど、戦争に徴兵された話に多くを割いていて、確たる親子の繋がりが感じられるのは、それこそ猫を捨てに行った話だけだったなぁ...とか思って呆然とした。あっという間に読み終える短いエッセイではあるけれど、なんどか読み返さないと、ちゃんと読んだことにならないような...ああ、それって多くの村上作品とおなじだなと思った。

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2020/05/02 03:06

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2020/04/25 13:14

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2020/05/09 15:13

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2020/05/01 11:58

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2020/05/24 23:14

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2020/05/20 01:50

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2020/04/24 18:02

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2020/05/01 00:46

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2020/05/08 17:48

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2020/05/06 16:19

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