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元市場担当局幹部による、築地から豊洲に移転した卸売市場の内側からの事実上の暴露本。
職員が知事や特別顧問、既得権を死守したい市場関係者に振り回され疲弊される姿や、権限もないのに勝手を振るう顧問団、決められない知事の姿がこれでもかと書かれている。
本当はもっと酷かったんだろうが、実名での出版ではこれが限界か。
なお、著者は天下り先の公社をクビになり、YouTuberになった模様。大丈夫、致命傷だよ!
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都知事選前に、多くの都民に読んで欲しい。
この本は、著者が、中央卸売場市場次長に異動になった約1年半の間の日々が、詳細かつ赤裸々に綴られています。
今回のコロナ対策と同じく、豊洲移転問題でも、ロードマップはありました。『判断先送りの正当化』の為のね。
小池氏は一貫して自分へ矢印が向いていて、そこにエネルギーを使い、都民のことも、安全のことも二の次三の次。全ては自身の立場を守るために発言し、物事を進めていきます。
だから、自分の力を見せつけるために、「前都知事への責任追及」という結論ありきで豊洲の調査を進め、その上、移転推進派・反対派、共にいい顔した結果、合わなくなった辻褄を、最後は言葉遊び(私は嘘を付いたと思っています)で誤魔化しました。2年間もの時間と多くの方の労力、税金を使って.....。
本では、小池氏について、「萎え切らない態度」「人気取り」「目立つ事を最優先」「リスクを取らない」「的外れな回答」「ずば抜けたはぐらかしの力」」「その場凌ぎで行う有利不利の判断」等と表しています。
でも、この本は、小池氏だけを批判している訳ではないので、小池氏を支持している人達にも、よく政治が分からない人(私)にも、読んで欲しいです。
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結局、豊洲移転問題は何だったのか?当時の市場次長が明かす壮大な茶番のウラ側。
築地市場の豊洲移転問題。中央卸売市場次長につつ前に任命され火中の栗を拾うこととなった筆者。小池都知事の揺れ動く対応「ゆりこのゆりもどし」や存在を匂わすドクターK、マスコミにリークする関係者など、当事者だからこそ分かる当時の状況。
あれだけ騒いだのに何事も無かったかのように豊州市場は機能している。個人的には豊洲の安全性より築地の不衛生のがよほど問題だと思っていたが。
移転賛成と反対、自民党と都民ファーストの会、国政進出を目論む小池都知事、希望の党。センセーショナルな報道を狙うマスコミ。多くのプレイヤーが存在したなんとも壮大な茶番劇。いつだって不利益を被るのは一般市民。
筆者は都庁のプロパー。選挙で選ばれたトップに常に翻弄される運命。それだけに、あとがきに記した官僚組織の問題点は屈指。
本書の刊行は都政新報社。ずっと小池都知事に批判的なスタンスを続ける。だからこそ本書も実現したのだろう。
騒ぐだけ騒いで余計な税金を投入し、結局忘れられてしまう大きなうねり。終わった問題ではなくまた形を変えてどこかに出現するのだろう。
時間を置いて再読してみたい一冊。
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新豊洲市場の汚染対策が不十分であったことから端を発した築地市場の移転問題のゴタゴタを、当時の東京都幹部の立場から時系列に振り返ったもの。淡々と事実を列挙する記述のようであって、その実は小池知事とその取り巻きの小島顧問に対してかなり辛辣な物言いをしている。ゴタゴタの原因はこの両者にあったと言っているのだ。つまりこの本は、かつてのボスに対する内部告発なのである。
また、築地市場の仲卸関係者に対しても、彼らがまとまらずに好き勝手言いたい放題だったから、何十年も移転が進まなかったのだと手厳しい。
さらには、かつての仲間である東京都職員にでさえも、知事やマスコミコントロールが不十分であったため余計な混乱をもたらしたと批判している。
人事権のある知事を含めて全方位批判をしたことで、著者は天下り先も失ったようだ。何千万もの収入を失ってでも、このゴタゴタの真相を後世に残したかったのは社会のためか、はたまた自己承認欲求のためだったのか。
だが残念ながら仮に今後、小池知事が失脚しても、この著者の地位が回復することはないだろう。
読みやすくて面白いが、自分だけがマトモに対応した、自分だけが他人を批判することができる、という自分に都合のいいスタンスでの物言いがいただけない。
ところで豊洲の地下に一部盛土がされておらず代わりに地下室が設置されていたことを当時の知事・共産党・マスコミは激しく批判した。だがその真相は、職員が良かれと思って設置しただけだった。そして実際にあれば有用なものだったのだ、地下室は。過去に事例のない汚染除去対策を何百時間もかけて行ったのに、エンターテイメントのおもちゃにされてもてあそばれた職員たちには同情したい。
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豊洲市場移転の舞台裏を職員が暴いた本。各団体や個人レベルで色々な思惑があって、それを調整するというのは死ぬほど大変だということがよく分かった。綺麗事かもしれないが、都のために何が大切かを念頭に置くことが、ブレずに働くために大切なことであろう。
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元市場次長という都職員の立場から、築地市場の豊洲移転問題がどんなにぐだぐだだったのかが綴られている。著者の立場を割り引く必要はあるが、ここに描かれている小池都知事の姿はひどい。都知事として、長期的に都民のためになることはなにかという視点がまるでなく、自分の政治的立場の強化というそこ一点だけでしか判断しない。あっちにもこっちにもいい顔をして、追及をのらりくらりとかわす才能だけはある。科学的なリスクコミュニケーションというのは、まず政治家がちゃんとしてなければ、一切成り立たないものなんだなぁと嘆息する。政治家と身勝手な関係者のあいだにたって、なんとか現実的な落としどころにともがく役人の悪戦苦闘が印象的な一冊。