紙の本
正博の生真面目さ
2023/07/04 23:23
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
十太の作った曲「凪に溺れる」に翻弄される
何人かを主役にした連作。
諦めない十太の成功を願い、
諦めた自分を正当化しない
正博の生真面目さがよかった。
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NetGalleyJPで読了。
発売は7月11日。
デビュー作から3年、二十歳の著者は大学生になっていた。
すごいなぁ、二十歳でも若いのにさぁ。。。もう言葉がありませんわ。
若者らしい溌剌さ、
というよりは若者らしいもどかしさと
誰かといても誰といても
孤独感が溢れる作品だった。
1人のミュージシャンの
一曲に多くの人の感情が年月を越えて絡み合う、
芯のある作品だった。
十太に知って欲しかった思いがありすぎて切ない。
#凪に溺れる #NetGalleyJP
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文章の巧みさ、美しさではかなわないけど、どこか朝井リョウの作品を思わせる青くて、苦い物語。一人の天才ミュージシャン・十太に生き方までも変えられた5人の男女。それが「大人になること」と言い訳にして、大事なものを諦めて後悔を抱えて生きる者、諦められないで、このままでいいのかと足掻く者、それぞれの人生。遠くを見つめていた十太は何を追い求めていたのだろう・・・。何かを諦めて大人になった人間には、正博の章は思わず胸が締め付けられるに違いない。夏佳の潔さと十太の清廉さが爽やかな印象をもたらす物語でした。
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もしネタバレのあらすじを先に知って「あぁ…よくある話ね」と手に取るのを止めたとしたら、それはあまりにも惜しい。文章、最終ページの後にプロローグの意味がわかる構成、そして音楽。場面が脳内で映像化される作品。作者は二十歳。これからの作品もとても楽しみ。
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青羽さんの作品は初めてでしたが、言葉の表現が美しかったです。特に「水」にまつわる言葉の表現が個人的には好きでした。透明感のある描写で、心にスーッと響きました。
一つの曲にまつわる人たちを描いた青春小説。
中心人物としては、あるバンドのボーカル・霧野十太。
霧野に関係する人達を全5章+αに分けて、7人の視点で物語は進行します。
題名の「凪に溺れる」は、バンドの曲名。それは中学生の頃に誕生した。曲にまつわる歴史、それに影響される人が描かれていて、そこには嫉妬や葛藤なども描かれています。
その人達の心理描写は多く共感するところがあり、昔を思い出す自分がいました。何かをしようともがく姿が丁寧に描かれていて、グイグイと世界観に引き込まれました。
曲によっては、その人の心を鷲掴みにさせます。何が響くかは人それぞれですが、曲に対する影響力は計り知れないなと感じました。それによって前に進もうとする、頑張ってみようと思わせることは素晴らしいなと改めて思いました。
次々と浮かび上がる霧野の人物像。なんとなく孤独感のある人だなと感じました。
なぜ死んだのか?は後々に明らかになります。ミステリー色を期待してましたが、特にありませんでした。霧野視点の表現はないため、こうなのでは・・・ということで締めますが、霧野の人生はどことなく悲しみを感じました。一人であるが故の寂しさが、色んな人の物語を読んで感じ取られました。
「凪に溺れる」ぜひ聴いてみたいなと思いました。
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音楽が持つ残酷さを、そして音楽の持つチカラを思う。
「バンド小説」というとどうしても激しさや熱さを思い浮かべるけれど、静かな力こそが、音楽の持つ本当の力なのかもしれない、とふと。
たった一つの曲が、誰かの人生を変えていく。
自分の人生を導いてくれる、背中を押してくれる、そして夢をあきらめないことの大きさを教えてくれる。
人生の中でそんな一曲に出会えたら、多分その曲が生まれた背景を知りたくなる。
誰がどんな風にこの曲を作ったのか。どんな思いを込めたのか。
動けないでいる自分の「今」を肯定してくれる、そしてそのあとにある未来に一歩踏み出す力をくれた、その意味を知りたいと思うだろう。
中学三年生で十太と出会った夏佳。東京からの転校生、自分の居場所を見つけられない二人の間に生まれた曲。
そのたった一つの曲がつなげる13年間。
高校生の聖来が大学生の正博がプロデューサーの北沢がライターの光莉が語る十太と「凪に溺れる」という曲のこと。
プロローグですでに主人公十太の死が語られる。動かしようのない結末に向けて時間は動いていく。
十太はなぜこの曲を作ったのか、なぜ13年経っても人の心を動かし続けるのか。そしてなぜ、十太は死んだのか。
偶然ではない出会い、多分、それはみんな必然。
人生の凪。その刹那に人はきっと何かをつかむのだろう。動かない今が持つ、次なる波への可能性を。
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プロローグを読んだ時点で、ほぼストーリーがわかるような構成になっており、
読みやすい。1日で読み終え、素直なつくりなので、読者として迷いはなかった。登場人物は「ネットワーク(繋がり)」を持っている点もキーワードかもしれない。彼は遠くに何が見えていたのだろうか?
また、次の作品を読んでみたくなった。楽しみ。
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全体的な感覚が、若い。
自分が通り過ぎた時代の物語だと思う。
「凪に溺れる」という曲の力が、
様々な人を取り込み、結び付けていくけれど、
「凪に溺れる」を歌う十太の視点からは一度も物語が描かれない。
だから、本当のところは誰にも分からないまま。
永遠にその存在と曲だけが残り続ける。
音楽を聴いたとき、私たち聴き手は、
作り手の想いは知りえないところで、その曲そのものを受け取るしかない。
もしかしたらもう作り手にも言葉にすることは出来ないのかもしれない。
そういう音楽の孤独さと、それでも人を惹きつける力の強さを
この物語は描くことに成功していると思う。
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納得出来なくとも人は繋がる。綺麗に昇華させることをやめて想いを様々な方向に散らばせたところに余韻が多く残る作品だった。おもしろかった。
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読みやすい文章で、矛盾や無理やり感のないストーリーで、納得できる結論。
この小説、面白いのに書店のおすすめ情報やランキングに出てこないのは何でだろう。面白いのに。
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霧野十太という1人の無名の天才アーティストとの関わりを軸に、彼にまつわる6人の交錯する人生の断片が描かれる。「夢を追うこと、何者かになれるのではないかという期待感、そして年齢を重ねた末の挫折」といったことがテーマと思われる。
あー、良い小説を読んだな、という読後感がある。ストーリー自体というより、描写が良い。まさにエモいという感じである。こういう気持ちになったことがあるなというデジャブ感が度々あった。。特に、「一章 さよならワンダー」が印象的だった。
著者は現役京大生で本書は2作目とのことだが、ある意味老成した、非常に力のある作家だと感じた。
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人がどれだけ抗おうとも抜け出せない自然の秩序を垣間見たような気がする。終わりがあるようで見えてこない。それは基本的な人生のあり方であると共に、人と人が生み出す不協和音ともリンクしている。登場人物である彼らは凪に溺れていた。十太を追い求めた夏佳と光莉は「そこにはもうカタルシスはない」と最後には沈んでしまった。それを諦めと捉えるか、一つの整理と捉えるかが物語のポイントであるような気がする。
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中学3年の夏,水泳にかける夏佳とギターを弾く十太の初恋と約束と別れの時に創った曲『凪に溺れる』がずっと全編を通じて響いている.主に十太を軸に彼に関わる人の視点でその後の彼が語られる.この曲がどんな曲かはわからないが,思わせぶりでもどかしい.幸せかどうかは知らないが,この曲がなにがしかの人々に影響を与えたらしいことは伝わるが,,何が言いたいのかさっぱりわからず,最後まで期待しながら読んだががっかりだった.
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なんと力強い作品だろう。テーマは音楽、1人の天才ミュージシャンの軌跡を描いた作品だ。この作家は、音楽という目に見えないものを文字だけで表現する困難な作業を見事に成し遂げている。聴こえないはずの音が骨身を震わせ鳥肌が立った。恩田陸の『蜜蜂と遠雷』を読んだとき以来の衝撃だった。そして、この小説を書いたのが西暦2000年に生まれた作家だと知り、さらなる衝撃を覚えた。音楽について実際にこういう経験をしたことは過去に何度かあるし、未だにそのアーティストが好きだ。
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ストーリーはありふれたもの。
カリスマ的存在感のある十太の歌に
人生観そのものに影響を受ける周りの人たち。
結局、聖来がいいところを持っていく。