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1週間位かけてゆっくり読んだ。何というか自叙的、回顧的な内容が多かったな。With the Beatlesも良かったけど個人的なベストはチャーリーパーカープレイズボサノヴァ。風の歌を聴けを思い出した。
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ー 作家の村上春樹さん(71)の3年ぶりとなる小説の新刊「一人称単数」(文芸春秋)が、18日発売された。東京都千代田区の三省堂書店神保町本店には、同著で作った本のタワーが登場し、通常の開店時間より早い午前7時から販売を始めた。(読売新聞)
のだそうだ。
村上さんの新刊は、例え短編集だろうとも、発売の際はお祭り騒ぎで、ニュースになるんですねぇ…
それにしても、71歳!もうおじいちゃんなんだなぁ。
そのせいか、人生の回顧録的趣きがある内容。その割には文体が相変わらずポップなので、ぼーっと読むと何が書いてあったのか掴めないかもしれない。
(以下、何も考えず書いているので、意図せずネタバレになっているかもしれません。)
石のまくらに 評価2
村上さんの小説に「短歌」が登場するのは結構衝撃的なのではないか?
19歳男子が20代半ばの女性と一晩だけの関係を結ぶ話。
「僕」の認識では「僕」と「彼女」は行きずりのセックスはしたけど、お互いの存在を結びつけているものは何もない。結びつけているものは何もないのに、なぜ「僕」が「彼女」を題材にして小説を書くのか。
短歌を堪能する能力が低い僕にはそこら辺がピンときませんでした。
クリーム 評価3
結構難解で抽象画みたいな短編だと思った。
頭は、わからんことをわかるようにするためにある。
考え抜くこと、特に若いうちは。
「中心がいくつもあって、しかも外周を持たない円」とはどんな円なんだろう。
多次元の世界の人とか宇宙人とか、あるいはものすごく頭の良い人でない限りわからない、
なんて諦めちゃいけないってこと。
チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ 評価4
タイトルだけでワクワクして、高評価になってしまう。
凄くないすか?
このLP聴いてみたい!
ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles 評価5
この短編は好きです。
高校時代のガールフレンド、サヨコの事を思い出す話。お互い好きだったし素晴らしい時間を共有した。結局、サヨコは「ウィズ・ザ・ビートルズ」のレコード盤を大事に抱えていたわけでも、耳の奥にある特別な鈴を鳴らしてくれる訳でもなかったけど、大切な人だった。
行きつくところがない思い。喪失感と同時に人生は豊かだとも感じるアンビバレント。
ところで、サヨコのお兄さんの髪の毛の長さについて「床屋に行くべき期日を、少なくとも二週間は越えてしまっているように見えた」と描写している部分がある。昔、村上さんの他の作品で同じような表現を読んで以来、僕の人生にとって「床屋に行くべき期日」というのは重要事項になっている。なかなか守れなくて、借金の返済期限みたいに心に引っ掛かった状態の期間が長くて確実に僕の精神衛生を蝕む要因となっている笑
「ヤクルト・スワローズ詩集」 評価5
村上さんといえば、スワローズ。村上さんのエッセイを読んで神宮球場で野球を見ることが好きになった(ジャイアンツファンだけど)。
読んでたら、野球を見に行きたくなった!
はやくコロナ終息してくれ!
ー 人生の本当の知恵は「どのように相手に勝つか」よりはむしろ「どのようにうまく負けるか」というところから育っていく。
いい言葉ですね。負けゲームは黒ビールを飲みながら、チームの負け際をしっかり見届けよう、と思った。
謝肉祭(Carnival) 評価2
シューマンの曲。
女性を「醜い」と連呼するのはどうか?と思った(笑)
品川猿の告白 評価3
猿になったことがないので、猿の気持ちはよくわからないし、今のところ、特に理解したいとも思わない。残念ながら。
恋した女性の名前を盗むのは、面白いと思ったけど…
一人称単数 評価3
たとえば、自分に身に覚えのないことで、突然知らない誰かに「恥を知れ」と強く罵られた時、明確に「私じゃありませんよ」って否定できるだろうか?
否定した場合、さらに非難され、自分の知らない自分が他人を深く傷つけていることが顕になるかもしれない…
とても怖い話でした。
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楽しみにしていた6年ぶりの短編集。安心して読めた、とてもよかった。私の好きな村上春樹だ。
不思議な円について語るお爺さん。自分が書いたでっち上げの原稿に出てきたのと全く同じレコード。偶然、渋谷で出会った昔のガールフレンドのお兄さん等々…
私は、ウィズ・ザ・ビートルズの、僕の耳の奥にある特別な鈴を鳴らしてはくれなかった、と言う一文がとても素敵だと思った。
表題作の一人称単数も、あの独特の雰囲気と読後感があって、とても良かった。
村上春樹と言えば様々な長編が有名だと思うが、短編集も面白いと思う。
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村上春樹は、私はいつも意味がわからないけれど、何かすごく面白いと思うことがあるので読んできました。
今までに読んだ短編集では『象の消滅』、『東京奇譚集』などが特に面白かったです。
6年ぶりのこの短編集には8作品が載っています。
ちょっと抽象的な言い方ですが、今までに読んできた作品と比べて幻想的な作品が少なく、実直で端正に書かれているような作品が多い気がしました。
物語の舞台が神戸だったり、チャーリー・パーカー、ビートルズ、ヤクルトスワローズ、1960年代の若者が出てくるところは村上春樹っぽいと思いました。
以下「石のまくらに」のみネタバレしているので、ご注意ください。
「石のまくらに」
大学二年生の僕が、二十代半ばのアルバイト先の女性と一晩限りの関係を持ったあとに、送られてきた自作の歌集を読んで、彼女の詠んだ、死のイメージを追い求めた歌を記憶しているのが僕だけかもしれないというもの哀しい話。
たち切るも/たち切られる/も石のまくら/うなじつければ/ほら、塵となる
「クリーム」
ちゃんと読んだのですが、抽象的で今ひとつ、意味がわかりませんでした。
「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノバ」
夢のような夢の中の話。
「ウィズ・ザ・ビートルズ」
1065年神戸の高校で初めてできたガールフレンドとその兄との交流。
すごく、村上春樹っぽい話だと思いました。
「ヤクルト・スワローズ詩集」
これは、エッセイのようでした。
「謝肉祭 carnaval」
一番、熱量を感じました。
「品川猿の告白」
女性の名前を盗む猿の話。
これに似た話を読んだことがあります。
続編か、姉妹編でしょうか。
「一人称単数」
太宰治の『晩年』に入っている「親友交歓」を思い出しました。
今回の短編集は、村上春樹の中では特に面白いとは思えず最高点はつけられないので、星4つで。
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2020年28冊目。
短篇集のなかには、一冊の書籍としてのタイトルにしっくりこないものもある。キャッチーさを重視するだけ、あるいは代表作のタイトルを持ってきているだけになっていると、短篇集全体が醸し出す世界観を表現できているか疑問に感じてしまったり、タイトルから抱いた期待と読後感がずれてしまったりする。
その点、この『一人称単数』というタイトルは、僕としてはとてもよかった。最後に同タイトルの書き下ろしが入っているけれど、そこから引っ張ってきただけとは思わなかった。それぞれの短篇のなかに通底するものを、このタイトルが表出させてくれたように感じる。
自分という個は、たしかに一人称単数の存在に過ぎない。けれど、人ひとりの人生は決してその単数のなかだけでは完結しない。
自分の窺い知れぬところで、密かに進行している悲劇がある。そこに一切の責任がないと言えるのか。
自分のあずかり知らぬところで、起こしてしまっているかもしれない負の影響がある。そこに無自覚でよいのか。
自分の理解を超えるところから、理に適わない難が降りかかることがある。そこから逃れることなどできるのか。
そういう単数の領域を越えた概念を、『ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles』に出てくる社会科教師や、自分が何をしでかしてしまうかわからない恐怖から引きこもる同作のガールフレンドの兄、『クリーム』で主人公に起きる出来事と複数の中心を持つ円のメタファー、そして最後の『一人称短数』で出てくる女性が放つ「恥を知りなさい」の一言が、総合して訴えかけてきた。
各短篇を書いているときの村上春樹さんがそんなことを意識していたのかどうかはわからない(短篇集としてまとまった本書においてさえ、そんな意図があったのかは定かではない)。けれど、最後にあの『一人称単数』という書き下ろし短編を入れ、本自体のタイトルとしたことで、少なくとも僕のなかではそういう読み方が生まれた。この書き下ろしとタイトルがなければその読み方はできなかったかもしれないと思うと、やはり全体としてよいパッケージだと感じた。
そういえば、主人公が村上春樹さん本人ではないかと思わされる作品も、この短篇集には多かった気がする。『ヤクルト・スワローズ詩集』は思いっきり本人だし、そういう面でも「一人称単数」感が際立った一冊だと思った。
特に響いた作品は、『クリーム』『謝肉祭(Carnaval)』『品川猿の告白』『一人称単数』。『クリーム』で起きるシュールな理不尽さは、村上作品の特に好きな世界観に近かった。『謝肉祭(Carnaval)』は内容がちょっとセンシティブにも思えたけれど、筆のノリに「あ〜〜村上作品」と一番感じさせられた。恋心を抱いた相手の名前を盗む品川猿には既視感があると思ったら、『東京奇譚集』に出てきたあの品川猿じゃないか。こういう読者サービスもいいな〜
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細かな描写で、春樹節が冴える。
モチーフは、今までも見たことがあるタイプだが、
洗練度はさすがと言わざるを得ない。
今回も、楽しめました。
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村上春樹は短編の方が良いと思っていて、「神々の子は…」がベストだと思っている(むしろねじまき鳥以降のメガノベルに挫折した口)。本書収録作は短編やエッセイ寄りの作品もあり、品川猿も出てくるとの自分にとってちょうどいい幅感だった。最後の表題作はなかなか意味深?
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いろんな人の、いろんな思考の中に入っていく短編集。読了後にいまいちそれぞれの話の筋とか要点というものを覚えていないような話だが、旅行に行ったような心地よさのある、そんな感じの短編集。
リラックスのために読む本。
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すごく良い訳ではないが、悪くなかった。どの話もタイトル通り筆者自身が主人公で、短編ノンフィクション集といった趣(とはいえ品川猿はさすがにフィクション感が溢れるが)。
最初の2作品(石のまくらに、クリーム)には特徴らしい特徴がなく、読んでいて光るものはない。3作品目(チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ)は羊を巡る冒険のような世界観がありまぁまぁ。
ハッとする良さはないものの読んでいてニヤっとしたり感心したりするのが4,5作品目(ウィズ・ザ・ビートルズ、ヤクルトスワローズ詩集)。
6作品目も悪くないが、「醜い」という言葉があまりに多用されており賛否分かれそう。
読後感含めて最も作者らしいと思えるのは8作品目(一人称単数)。勝手だが外苑前あたりの地下のバーが想起され興味をそそる。
総じて、5つ星を与えるレベルではなかったものの騎士団長殺しのような著しい落胆はなく、気持ち良い読書体験をさせてもらった。
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比較的平坦な私の人生の時間の中でも、何らかのエピソードとエピソードの間の繋ぎとなるような、ただ経過するだけの時間を過ごすのにとても適したエッセイ。ただ文字を読み、飲み込めるサイズになるまで咀嚼して飲み込んだ。記憶に残るような感情の起伏は無いが、美味しく食べたのだと思う、そんな読書感。
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少し前に『猫を捨てる』で初めて村上春樹氏の本を読みました。
池澤夏樹氏の全集のうちの一つに入っていた
『午後の最後の芝生』を読んでなんか気持ちいいなあと
思って、ページ数も少ないので猫を捨てるを
読みました。
そこからちょっと気に入って、この本を読みました。
まだまだ、著者のファンといえるまででは、まったくないのですが。
この本も気にいった本の一つになりました。
どれも不思議な話ですが、全部ありそうで、なんとなく
引っかかる感じ。かっこいい感じもするし、読了感が
気持ちいいいと思いました。
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一見脈絡の無さそうな8つの物語からなる短編集ですが、緩やかに全体を結びつけるキーワードは「記憶」になるのかな、と感じました。
全体的に「渾身の一冊!」といったような重さは無く、いい具合に力が抜けており、村上さんの数多い作品の中で見ると「佳作(=できばえの良い作品)」という言葉本来の意味がぴったり合いそうな、そんな感じの一冊です。
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収録作品
・石のまくらに
・クリーム
・チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
・ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
・『ヤクルト・スワローズ詩集』
・謝肉祭(Carnaval)
・品川猿の告白
・一人称単数
全体的に私小説っぽさがある。
一人称単数を読んでいるときに感じた、不安感、圧迫感が一番よかった。
読みながらずっと心の中にあったのは、なんでわざわざこんな作品を書いたんだろう?ということだった。何というか、それぐらい意義が感じられない作品だった。
実際本当につまらないものもあるし、中にはそこそこ引き込まれるのもあったが、こういうのはもういいんじゃないのかなという感じがしましたね。
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村上春樹の八編の短編集
不思議な本、というのが読み終わっての感想です。
語り手が村上春樹そのものに思えるような書き方のものもあり、フィクションなのか、ノンフィクションなのかわからないような曖昧な印象の短編集でした。
一つ一つがばらばらの短編で、読み切るまでに時間を要しました。
「石のまくらに」☆
「クリーム」☆
「チャーリー・パーカー」☆
「ウィズ・ザ・ビートルズ」☆
「ヤクルトスワローズ詩集」☆☆☆
「謝肉祭」☆☆☆
「品川猿の告白」☆☆☆
「一人称単数」☆
音楽にあまり詳しくなく、人生経験が足りないので、あまり入り込めなかったのかもしれないですが、以前にも村上春樹さんの本を読んで、わからない、となったのを思い出しました。抽象的な考えをするのが苦手なのでこの評価ですが、好きな人は好きなのかもしれません。
「もちろん負けるよりは勝っていた方がずっといい。当たり前の話だ。でも試合の勝ち負けによって、時間の価値や重みが違ってくるわけではない。時間はあくまで同じ時間だ。1分は1分であり、1時間は1時間だ。」
「時間とうまく折り合いをつけ、できるだけ素敵な記憶をあとに残すことーそれが何より重要になる。」
「幸福というのはあくまで相対的なものなのよ。違う?」
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久しぶりに村上春樹の文章読んだ〜。短篇だし読みやすかった。途中村上春樹本人のことが出てきたから、あれ、これエッセイだったっけ?って何度も確認しちゃった。たまに欲しくなるなぁ、この人の文章。それでたまに読んで、なんかスッとした気持ちになる。
ウィズ・ザ・ビートルズが一番好きだったかな〜