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政治家による母語の破壊と国の底力の低下との相関関係になるほどと思う。どんどん言葉が壊されていく中で私にできることは、自分の頭と言葉で考えること。ゆっくり丁寧に言葉を選ぶこと。「私」と対話することを疎かにしないことだと思った。
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自分のなかにリーダーを掘り起こす。
戦争への抵抗。
子どもたちへの愛。
梨木香歩がこれを書くことに意味があると思った。中学生くらいの子どもたちに読んでほしい。
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梨木さんの小説や紀行文のファンだ。自然を愛し、奥深い表現で知らない動植物のことも教えてくれる。本作はそれとは違うメッセージだった。同調圧力で息苦しさを感じる日常を我々はどう生きるか、改めて考えさせられた。特にコロナ禍で何を選択し、判断していくか、その基準は?とモヤモヤしていたので、「自分の中の目」を大切にしていきたいと強く思った。
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読んでいて内容がうまく掴みきれず、がっかりしてしまう部分もあったかもしれない本。
群れること、人間は群れなくてはいけないこと、それは本当なのだろうか?と思ってしまう
群れない人を批判するように思える部分もあって、もやもや
ジョコビッチ選手と錦織選手の部分も、うーんと思うような例で、ほかの例もあまりピンとこない感じで、少しタイトルから想像した内容とは違う言葉が詰め込まれていたなあと個人的な感想
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国が混迷している現代。そして、成人年齢は18歳に引き下げられ、それを前に選挙権は18歳となった。
子供たちが問う。どうして、この国はこんな国なってしまったのかと。
それは私たち大人の責任だと私は考える。
選挙に興味を持ち、どうしたらいいのかと考える子供たちに何を与えたらいいかと、この本を選んだ。
先に読ませてもらったが、胸を打つ良書である。私たちは私たちとして生きるために何をすべきか、今一度、真剣に自分自身と向き合うべきなのだと思う。
それには年齢は関係ない。
この国がこうなってしまった責任は政治家だけではなく、私たち大人にもあるのだ。
今一度、「きみたちはどう生きるか」「僕は、そして僕たちはどう生きるか」を読みたいと思う。
私たちは生きなおすことが、まだできるのだから。
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子ども向けに語った「ほんとうのリーダーのみつけかた」他2編の子どもと現代社会、政治について、梨木さんの考えがつづられています。
自分のなかに自分のリーダーを持つべしという若い世代への声かけや、「君たちはどう生きるのか」「科学の辞典」から感じた若い世代を育もうする情熱についての記述には、頷くばかりです。
ぜひ大人にこそ読んで欲しい一冊だと思いました。
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ほんとうのリーダー=自分
自分を客観視する癖をつけ、批判する力をつける。
批判精神(クリティカルシンキング)を持ち、埋もれている魂を掘り起こしてリーダーを機能させるには、まずは自分自身で考える、ということが大切。
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自分の中で、揺らがない軸、のようなものが足りないとずっと思っていたところ、なんとなく気になっていたのでこちらを。
誰かを救うほどの優しさを持てなくても、人に何も与えられなくても、相手を傷付けない優しさを持ち続けていたい、と思った。
反射的に相手の言葉に反応できるようになるくらい、日頃から「考える」ことをしていきたいです。
怒るべき時、泣きたい時、その気持ちに素直になっていけたらいいな。
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昨今の政治の動勢にもやもやして手に取った一冊。「リーダーに相応しい誰か」を求めて読んでいたが、ほんとうのリーダーはじぶんの中にいる、という言葉に胸を突かれた。
自分の行動基準や評価を人に預けず、迷ったり後悔しそうになったときは立ち止まって静かに考えることを大事にしたい。
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好きな小説を書いている作家さんの考え方が自分に近いと、うれしくなる。考え方が近いから小説も好き、という方が正しいのかもしれないけど。
私が世の中に対して思っている、でもうまく言葉にできなかったことを、梨木さんがとても丁寧に的確に描き出してくれる。
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2015年の講演録+エッセイ2本を収めている。一時間ぐらいで読める。
自分の中に自分のほんとうのリーダーを。
すなわち、自分で考えて行動できるように。同調圧力に負けずに、自分を保っていられるように。
それには自分を客観視して批判する力をつけること。批判することは、もっとよくなるはずと、理想を持っているからできること。
そして自分で考えるためにはそのための材料―情報が必要で、一つの情報を丸ごと信用せず慎重に受け取れるように、情報に対する本能的な嗅覚を大切にしなければならない。
「僕は、そして僕たちはどう生きるか」(2007年連載開始、2011年単行本、2015年岩波現代文庫入)あたりから一貫して伝わってくるメッセージを講演という形でわかりやすく受け取れる一冊。「僕は…」もこの本も、若い世代に語りかける形になってはいるが、大人もたちどまって、読んだほうがいい。自分は次世代にどういう背中をみせればいいか、考えるために。
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若い人に向けたリーダー論かと思い
手にしましたが、本当のリーダーというのは
自分のなかにある、正しい自己批評できる力ということ。
吉野氏の『君たちはどう生きるか』という最近流行っている
小説の内容も踏まえて、なかなか心にしみる言葉が
綴られています。
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若い人向けらしい。こういう本を出すというのは、ちょっと驚いた。
「僕は、そして僕たちはどう生きるか」の文庫化の際の講演が元になっていると読んで、買うか迷った。「僕は~」は梨木さんの本で唯一あまり好きでない本で、物語の形を取るにはあまりに乱暴に梨木さんの主張がむき出しではないかと思えた(そしてその主張自体も乱暴に感じた)ので、多分この本も合わないだろうとは分かっていたけど、読まないことにはと思いなおして買った。今日届いて、寝かせればその分気が重くなると思ってすぐに読んだ。
やはり考えが合わないので、緊張と相まって石を飲むような読書になってしまった。
梨木さんの言う「まるで戦時下のような緊張や抑圧」を全然感じ取れていないのは、私がおかしいのかもしれない。どちらかというと、全員が個として確立しなければいけない、という圧力の方が強く感じる。でも、言葉の選び方が気に入らないことで「今の政権の罪の一つは、こうやって、日本語の言霊の力を繰り返し繰り返し、削いできたことだと思っています。それが知らないうちに、国全体の『大地の力のようなもの』まで削いできた」とまで言うのはちょっと理解できない。政権をどう思おうと勝手だけれど、子どもの前でするやり方じゃない。
政治の話をするのなら、政策についてあくまで具体的に語って欲しいし、そこを印象論に終始して貶めるというのは、ちょうどこの本で批判している同調圧力のやり口だと思う。この人は不快だから政治に関与して欲しくないというのはフェアな政治じゃないし、考え方が違う議題について、個人攻撃ではなくて、じゃあどのような別の方法で解決できるか、妥協できる点とできない点ははどこかというのを議論するのが政治の成熟というものではないのか?
戦争の犠牲者を讃美することに同調圧力を感じると疑問を呈しながら、良心的兵役拒否で暴力を受けた人を「自分の頭で考えた人」として例示するのも、何だか嫌だった。良心的兵役拒否で亡くなった方もたくさんいる。
確かに、自分の信念を貫くという行為は美しい。でも、それを讃美したら、一定の思想を元に犠牲を美化するという点で、何が違うのだろう。
梨木さんの論調からして、自分の頭で考えれば、戦争や暴力に参加しないはずだ、という確信めいたものを感じるのだけど、きっとそうではない。
「普通のドイツ人とホロコースト」という本を学生の頃に読んだことがあって、いかに「普通の人たち」が、強制されずに嬉々としてユダヤ人の虐殺に参加したか、というエピソードがものすごいボリュームで延々と書いてある。それほどに認めがたいことだからだ。
人々が考えても政治は成熟しないし、「批判精神」と確信のもとに抑圧と暴力は選択される(それは昨今の情勢が証明してしまった)。
それに本当は、自分で考えたことと、他人から影響を受けること、その区別は非常に難しい。
圧力があるのか、ないのか、それは信念だったのかどうか、そんなことも後で思い返せば違ってくる。違う意義のもとで、記憶は塗り替わったりもする。
このことについて何と考えればいいのかと思うと途方に暮れる。考えていけば、どんどん分からなくなって迷子になる。
この本に書かれている「自分のなかの目」をリーダーにしていくというのは、「西の魔女が死んだ」の魔女修行にも通じるものがある。
年を取ればとるほど、そういう指針が自分の中にないといけないのは身に染みてくるから、わかる。結局のところ、私が子供に望むのも同じことだから、そんな思いで名付けもした。梨木さんが若い人向けにこんな本を書きたくなるというのは、そうだろうな、という感じ。
でも最近私は、熟慮によって自分の感情や思考が客観的なものになりえる、正しい、ということに確信がなくなって、ふらふらしながら進んでいる。かといって頼りない自分の思考以外に、何が指針となりえるのか。答えが出ない。分からないでは済まないから、考えているけれど、まだどうしたらいいのか分からない。
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『僕は、そして僕たちはどう生きるか』の文庫化の際に行った講演の記録を収めたもの。70頁ほどの本だけど、すべてを書写したい珠玉の言葉がつまっていた。正しい批判精神を身につけること、自分の気持ちにふさわしい言葉を丁寧に選ぶことの大切さをあらためて考えた。
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以前の『僕は、そして僕たちはどう生きるか』が書かれた時の講演の記録をもとに文章化されたのが本書だ。
『僕は…』は、衝撃的な本だった。「群れの中にいて、個人でいる」ことについて考えさせられた。それは、梨木さんがエッセイなどで何度も私たちに投げ掛けてきたものだったのだが、あれほどストレートにくるとは…。
『僕は…』が書かれたのは、教育基本法が変わり、何かが大きく変わろうとしていた時、伝えなければならないと連載を始めたという。
そして今、さらに危機感を持ってこの本を認めた。
新型コロナウィルス蔓延に伴い「非常時」という言葉を耳にするようになった。その中で戦時中のような同調圧力がますます加速してきたと梨木さんは言う。
「若い方々がまるで戦時下のような緊張感や抑圧をしいられていることにいたたまれない思い」だと。
そして「いつか、私などの想像もつかない、伸びやかな精神を持つ次世代が現れんことを、夢見つつ、祈りつつ」と結んでいる。
これは梨木さん、若い人たちへの祈りの書だ。
それは、私たちの祈りでもある。