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投稿者:お魚辺獄 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作中通してみんなの、特に主人公の美大生特有の(というか表現者としての)葛藤をモロに浴びれるのでかなり好きな本です。そんなに暗い話でもないというかむしろ現実感があってまさに隣で起こってそうな話でした。読後の感覚は割とスッキリしましたね。
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【1986年の一夜、すべての原点はここにある】まさにカオスだった。田舎出の芸大志望の浪人生を翻弄する奇妙奇天烈な入試、奇人変人。現代美術界の鬼才による渾身の青春小説。
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美術予備校の風景や、美大生のノリが細かく描写され、ワクワク読み始めたが、突きつけられたのは美術会の閉塞感と折り合いをつける苦しみと、それでも表現活動を続けることの壮絶さだ。売れっ子美術家が、あえて小説というスタイルを選んで伝えたようとした。彼自身、今も戦っているということを。
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こういうモラトリアムな時期は、楽しくて、辛くて、熱くて、暇で、苦しくて、最高なんだよな。
そして誰にでも陰と陽の時間がある。
もっと熱く過ごしたかったというほろ苦い後悔も、きっと誰しも感じるんだろうな。
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めちゃ面白かった。芸術を語るあたりもテンションが心地良くて引き込まれました。小説家が専門じゃないから、小説技法とか、ん?、と言うところはあるのかもしれないけど、でもむしろ表現者として成功してる会田さん、こんな風にめちゃ文才もあってずるい、とか思ってしまう。これは美大受験生も必読書でしょう。
ところで、読む前、『げいさい』というタイトルから勝手に芸大に入ってからの話だと思ってたら多摩美のほうのげいさいなんですね。
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「天才でごめんなさい」と言われても、「本当に天才だから、仕方ないよなあ、そうだよなあ」と思ってしまう現代芸術家、会田誠が数年の構想と執筆期間を経て完成させた長編小説。若き自身を主人公とした青春小説の体を取りながら、本作の素晴らしさは日本の芸術大学に潜む受験システムへの批評として成立している点にある。
主人公は、新潟の佐渡から状況して東京芸大を受験するも失敗し、芸大予備校に通う若き会田誠。二浪に突入した彼が、おなじ予備校出身で多摩美大に進学した仲間たちに会いに訪れた1986年11月の学園祭の3日間を舞台に、バブル崩壊前夜の若き芸術家たちの姿が描かれる。芸術大学の学園祭といいうはちゃめちゃなやり取りと並んで、主人公が芸大予備校で過ごした日々が回想されていく。そのパラレルな語りを通じて、実はこの作品のメインテーマが「日本の芸大受験はお決まりのルールがあり、そのルールをひたすら予備校で修得することで、かえって作家としての大事な魂を削いでしまう」という受験システム、ひいては日本の美術界が明治以来に抱えてきた問題への告発にあるということを知る。
会田誠の文章は非常にクリアでかつリズムに富んでおり、極めて巧みである点にも驚かされた。会田誠に興味がなくても、日本の美術界に興味がある人であればぜひ読んでいただきたい傑作。
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好きな人には刺さるのかもしれない。
受験作品と自分が追い求めるものとのジレンマや、学生時代の日々がつづられているが、説明が多い。
わかる人にはツボかもしれないが、美術素人にはクドク感じる。
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美大予備校や入試の話は興味深かった。芸祭は奇祭なんだろうな…。優劣はあれど作品を生み出す能力がある人たちの集まりって独特。
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芸祭 多摩美
藝大一次で落ちた佐渡の農家のせがれ、千美で浪人に。二浪中。
絵心という神秘の領域
ローリー アンダーソン
ヨーゼフ ボイス 訃報
岡倉天心
ゴッホの手紙
石膏デッサンの意味 採点が楽
予備校の予想の裏をかく出題 共犯者
自由は最大の難問 追い求めているときにだけ現れる逃げ水
偽物のほうが騙しやすい。本物をやりすぎると、落ちる。
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こんなしっかりした青春小説読んだのはいつ以来だろう。初めてかも。
げいさいの一晩に青春が凝縮されていた。
ザ・青春!
美術家なのに、こんなに素敵な文章が書けるなんて、天は二物も三物もお与えになるんだな。さすが天才!
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芸術のことはよくわからないけれど、同年代であるこの時代のほろ苦さが懐かしい。
直球の青春小説、今の若者にも響くのであろうか、なにかしら共感をもって欲しいと願う。
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1986年の美大での芸術祭の一夜を軸に、藝大の油絵科を目指す二浪の青年の心情や過去を織り交ぜた物語。
後半になるにつれて物語の力が増し、私もその一夜を共に経験したような気持ちになった。
登場人物たちの芸術に対する真摯な思いを知るにつれ、今まで美術にはほとんど無知であったが、この本を読んで日本の美術界というものに興味が湧いてきた。
著者がどんな絵を描くのかも知らずに読んだ。読後、著者の作品を調べてみたのだが、この本からの得る印象とは全く異なりとても驚いている。こちらは正統派の切ない青春小説だから。
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2020冬の文芸書フェア
所蔵状況の確認はこちらから↓
https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001011695
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新聞の書評だったか良さそうだったので読んだ。
多摩美術大学の学際(通称げいさい)の夜の出来事だけで1冊の小説に。
過去を振り返りながら語られる。
自分は最近絵画が好きなので美術大学に興味もあり。模擬店で延々と語られる美術論やら大学の講師の批評やら、描かれているパフォーマンスやら、やたらと細かくて読み飛ばしてしまった。きっと芸術関係者なら面白いのだろうけど。
そのままズルズルと終わってしまうのか?と残念な気持ちで読み進めて行くと、青春の一コマはしっかりとストーリーを作ってくれた。
そして改めて作者の名前をじっくり確認したら、10年近く前に森美術館で著者の絵を見て衝撃を受けた記憶がまざまざと蘇った。あーぁ、あの人の小説か。と終わってから感慨深くなったのでした。
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青春という言葉から連想される感情も出来事も空気感も、それぞれの芸術に対する想いも、理想や焦りも含めて、とにかく全てが「芸祭」の一夜に詰め込まれている…まさにカオス。
その混沌の中で際立つ主人公の純粋さ。わかんないけど、そういうのを芸才って呼ぶんじゃないかな。