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MMTについては様々なところで聞いていた。コロナの問題が深刻化する中、財政赤字はどうなるのか?消費税の取り扱いはどうなるのか?東北大震災以降のような復興税は必要になるのか?コロナ復興税のような形が必要なのか?いろいろな疑問に対してこのように明確に回答をしてくれる本に出会ってびっくりしている。このエムエムティー理論は正しいのかどうか?本当にインフレにならないのか?赤字は問題ではなく、インフレだけが制約条件になる?いずれにしてももう少しこの理論について学習してみたい気がする。
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通貨主権がある国は、中央銀行が貨幣を創造できる。
MMTは政策として採用するものではない。制度的取り決めを示すもの。
政府雇用プログラムについては、政策として採用するもの。
財政赤字は、国民の財産形成のために必要なもの。
ラーナーの「機能的財政論」
財政赤字は支出過剰の証拠ではなく、インフレが支出過剰の証拠。財政赤字は、民間部門の貯蓄を増やし、むしろ民間投資を呼び込むクラウドイン効果がある。
家計と異なり、政府は通貨の発行体である。
アルゼンチンは固定相場を維持しようとしたから破綻した。ベネスエラは他国通貨建ての国債を発行したので破綻した。イタリア、ギリシャはユーロの通貨主権がないため危機に陥った。
『ソフトカレンシーエコノミクス』ウォーレンモズラー。命取りに無邪気な七つの嘘。
税金が存在するのは、通貨への需要を満たすため。
税金の目的は、必要なものを生産させるため。税金のために円を稼ぐ必要があるため、働く=生産する。
資金を出すだけならインフレを起こす。物価上昇につながらないために、税金で需要を押さえる。所得の再配分のため。特定の行動を助長したり抑制するため。
国債は、金利付きの通貨。国民の利殖のために発行している。国債の発行は、政府の支出を賄うためではなく金利を維持するため。
過剰な支出の証拠はインフレ。インフレになりそうなら支出をやめる。
低インフレに悩んでいる。
コストプッシュ型、需要プル型インフレ。
コストプッシュ型は、「影響力の行使」によって連鎖して起きる。
フリードマンの貨幣数量説。自然失業率以下にしようとするとインフレになる。自然失業率は後付けの理論。
インフレ非加速的失業率と同じ。
インフレにならないのに失業率が下がるのは、自然失業率がもっと低いから、と解釈されることが多いが、間違い。
ラーナーは、ペイゴー原則は不要とした。税金は購買力を抑える重要な手段。
失業対策は、政府の就業保証プログラムによるべき。物価の安定にも寄与する。インフレ抑制にも寄与する。賃金を設定できるから。失業期間が長い求職者の発生を予防できる。
杖一振りで借金を帳消しにすることは、同時に国債も帳消しになる。
アメリカは、アメリカ国債を大量に持っている中国に牛耳られているか。中国の選択肢は、どのドル資産をもつか、だけ。
通貨の発行者ではないイタリアギリシャスペイン、各州、などはあてはまらない。
日銀がすべての国債を買い入れたとしても、何も変わらない。
マネタイズすれば、ジンバブエ、ワイマール帝国、ベネズエラのようにハイパーインフレになるのでは?
国債の代わりに現金をもつことになっただけ。利子がなくなった。現金が増えても、モノを買おうとしなければインフレにならない。資産量は変わらない。
アメリカは1835年に無借金になった。と同時に最悪の景気後退に突入した。長期にわたって財政黒字が続くと、経済は行き詰る。
国債が消滅すると、金利調整の手段を失う。
財政赤字は国��の富と貯蓄を増やす。
財政赤字はクラウディングアウトを起こすか。
すべての支出には行き先がある。財政赤字は国民の貯蓄になるから、貸し出すお金は足りなくならない。
逆に、財政黒字は、民間の赤字だから、クラウディングアウトになる。
民間の資金需要が増えてきた時にどうなるか。
政府の国債発行は、借入れではなく、支出=民間の貯蓄。政府の国債発行=借り入れは、無駄になくなることはなく、必ず消費される。
日銀は、イールドカーブコントロールで10年物国債をゼロ近くに引き下げている。
ロシアとアルゼンチンは、米ドルにペッグさせた固定レートだったため、破綻。重要なのは通貨体制。
p170
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「政府の支払能力は無限だが、経済の生産能力は有限だ。」(p.326)
通貨を自ら発行できる政府は、いくらでも支払うことができる。だから財政赤字を心配する必要はない、政府はもっと支出せよ、と話が続くMMT。
そこまではなんとなく聞いていて、心配なのは赤字ではなくインフレだ、というのだが、いまいちピンと来ていなかったのだが、本書後半の6-9章を読んで、理解が進んだ。
「インフレ」観を転換する必要がある。
金が余ることをインフレだと思っていると、不用意に金を世に出すことはどうしても恐ろしい。しかし、金に見合うだけのサービスや財などの実物資源が足りなくなることがインフレなのだ。同じことを裏側から見ているだけだと思うかもしれないが、意味するところはずいぶん違う。経済が成長して実物資源を生産する能力が高まれば、枠が広がってインフレは起こりにくくなる。ケチっていて、経済を成長させていかないと、インフレにすぐに到達してしまう。
どうすれば必要な資金を賄えるか、ではなく、どうすれば必要な資源を確保できるか、こそが問題なのだ。
その意味で、日本の人口減は本当にやばい。日本円経済圏の規模を確保することは本当に重要だ。
JGP、政府による就業保証プログラムも魅力的だ。
ただし、今の日本のように、政治がもっぱら利権誘導として作動している限りは、このような政策を取ることはできないだろう。
「ケアエコノミーの実現」(p.318)のような大きな共通然たる目標を掲げて邁進するような政治を期待したい。
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日本版序文 「財政赤字」こそ、コロナショックを脱する唯一の道である
序章 バンパーステッカーの衝撃
第一章 家計と比べない
第二章 インフレに注目せよ
第三章 国家の債務(という虚像)
第四章 あちらの赤字はこちらの黒字
第五章 貿易の「勝者」
第六章 公的給付を受ける権利
第七章 本当に解決すべき「赤字」
第八章 すべての国民のための経済を実現する
謝辞
解説井上智洋
原注
索引