紙の本
日本人は幾多の感染症を乗り越えてきた
2020/10/03 21:44
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、TVでもおなじみの歴史学者。本書は、平安の史書、江戸の随筆、スペイン風邪が流行した当時の政治家・文豪の日記などに基づき、1700年前の古墳時代からスペイン風邪の流行した大正時代までの日本人と感染症の関わりについて解説したものである。江戸時代の事例としては、次のようなことが紹介されている。◆感染症が流行した際、藩によっては隔離政策の徹底、江戸では裏長屋に住む低所得者に給付金(米による現物給付)が支給された。借家であっても表通りの借家の住民はある程度の所得があるとみなされ、支給の対象から外された。◆15代の将軍のうち14人が疱瘡(天然痘)にかかった。天皇も15名中7名が罹患した。当時、疱瘡の治療はどのように行われたのか、将軍でさえこの罹患率では、一般庶民の罹患はこの比ではないだろうが、江戸時代に日本の人口は大幅に増加している。この辺りは、どのように理解すべきか?ぜひとも歴史学者の解説が欲しいところである。
2年間にわたり「三波」の襲来があったスペイン風邪については、京都の女学生の日記、原敬の日記、永井荷風の日記『断腸亭日乗』などにより様々な階層の人々がスペイン風邪に罹患しそれに対してどのように対処したかが手に取るようにわかる。ただし、この時、政府はどのような対策を講じたのか、もしくは講じなかったのかについてほとんど触れられていないのが残念である。これこそが、今の日本にとって必要な情報だと思うのだが・・・。
著者の恩師、歴史人口学を導入した速水融について最終章で紹介されている。この章では完結明瞭に速水融について取りまとめられており、速水融著『歴史人口学事始め』(ちくま新書)よりよほど面白く感じた。
電子書籍
新型コロナウィルス対策として
2021/01/17 13:46
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投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治大正昭和の政治家や皇族、作家がインフルエンザに罹った記録は興味深かった。人との接触を避けるというのが一番の感染症対策だろう。二度目の緊急事態宣言になれているという向きもあるが、この際に不要不急の会議などもなくしていきたい。
紙の本
上杉鷹山の「医療無償提供」等の対処法に感銘
2023/10/21 10:35
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去に日本で起きたパンデミックにコロナ対策のヒントを追求。主として百年前に大流行した「スペイン風邪」を扱った内容でした。患者が残した日記や著名人(首相、皇室、志賀直哉、宮沢賢治、永井荷風)の罹患状況を追った第六章から第八章は特に面白かったです。結局、ウイルスの正体が分かりワクチンが開発されるまでは、接触抑制→感染者数の減少→抑制策の緩和→感染者数の増加→抑制策の強化を繰り返すしかないようです。また江戸時代に発生した感染症パンデミックへの上杉鷹山の「医療無償提供」等の対処法には感銘を受けました。
電子書籍
スペイン風邪と
2021/05/16 07:22
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうやって日本が戦ったか、まだワクチンがなく、特効薬も未開発の時代……。実際に罹患した人の記録は大変貴重ですね……。それと、スペイン風邪以前の天然痘の流行。これに対しても、先人たちの努力と苦労が……
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【生命、安全に直結する歴史の教えとは?】人類史上、最大の脅威はつねに感染症だった。史料から貴重な教訓を発掘、未来に活かす歴史的思考法を示す。
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良書。
著者の本は相変わらず素晴らしい。歴史家として、社会に役立つためには何をすればよいか探求していることが伝わる。
ほんと沢山の伝染病に見舞われてきたことが分かる。当たり前のことなのだ。ただ、世界は変わってきたので時代にあった対策が必要だ。
隔離はどの時代でも有効な対策だ。栄養、体力を整えることも。
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<目次>
第1章 人類史上最大の脅威
第2章 日本史のなかの感染症~世界一の「衛生観念」のルーツ
第3章 江戸のパンデミックを読み解く
第4章 はしかが歴史を動かした
第5章 感染の波は何度も襲来する~スペイン風邪百年の教訓
第6章 患者史のすすめ~京都女学生の「感染日記」
第7章 皇室も宰相も襲われた
第8章 文学者たちのスペイン風邪
第9章 歴史人口学は「命」の学問~わが師・速水融のことども
<内容>
古文書の読み解きならぴか一の著者の本。ここでは師である、歴史人口学者・速水融氏の話も出てくる。歴史学はコロナウィルスの前に無策のように見えるが、コツコツと古文書や文献を読み解いていくと、この本のようにさまざまな教訓が見えてくる。それが今回のパンデミックでも役に立つ。みんなが知ったかをしゃべっているが、過去の教訓は重い言葉ばかりだ。そして、師の速水融氏の研究についても触れられている。この人の本は(『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』)などは読まねばならないだろう。
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古文書を見かけると際限なく追っかける磯田さんだけあって、史料を例示しながらの説明は説得力があります。現在進行形のCOVID-19に対する指摘は同じものが繰り返し出てきますが、元々雑誌に連載していたものを集めたものなので仕方ないかと。あと、最終章は、磯田さんの原点を見るようで、個人的にはここが一番面白かったです。
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スペイン風邪のことは新型コロナが出てくるまでは、聞いたことがある程度だった。
ずっと100年前はどう対処してたのか興味があったので、拝読した。
昭和天皇も罹ってらしたとは知らなかった。
先人に学ぶことは沢山あるな……と。
そして徹底して文字の人であった永井荷風もすごい。寝込んでいても一行でも日記書くんだ……。
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新型コロナウイルスが大流行している今を生きる自分たちは、「あと何ヶ月でワクチンができ、収束するのだろうか」や「今週は三連休だったので2週間後には感染者が増えているだろう」など、未来のことについて目を向けがちだ。しかし、未来を考えてもなるようにしかならない。そんな時は、歴史的にどんな感染症が流行り、そして自分たちの祖先たちはどのように乗り越えてきたのか、について知ることが大切だと思う。そんな私たちに、たくさんの感染症の前例、それに対する良い対策と悪い対策、などたくさんのことを教えてくれる一冊。さほど文量も多くなく読みやすかった。
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過去の感染症からコロナとどう向き合うか、どう防御するかを読み解いています。
今のような科学がなくとも、隔離だったりゾーニングをしているところがすごいなぁと思いました。
そして領主は懐が深いというか、領民に対して手厚く保護していました。
上杉鷹山はその中でも素晴らしい施策をした方だったんですね。
どこかの国の首相も、お読みになったそうですから、ぜひ良い所を真似していただければ良いのですが。
過去から学ぶ大切さ、とは言ってもこのように本にして説明して頂けたのは良かったです。
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2020/10/18
感染症の世界史の本を読んでから、いつか日本史バージョンも出るんだろうなーと思っていたら、やっぱりこの人の本が出てきたので読みました。
新型コロナウイルスが猛威を振るっている最中ではありますが、感染症の世界史の中でも、人類は感染症と常に戦ってきて、現在を生きている人々はその感染症に打ち勝ってきた人々の子孫であると言うことを念頭において、じゃあ日本はどうだったんだろうかと、考えることができました。
皇室や軍隊でも昔から、同じように感染症の脅威が存在し、どのように対策を取っていたのか、現在と共通する部分、相違な部分、使えるところ、反省すべきところなどがこれを読むことで見えてくるのではないかと思います。
大正時代にスペイン風邪=インフルエンザが流行ったときに一般の人々はどのように行動していたのかという部分においてはまさに、現在の我々が学ぶべきところです。
当時の政治も感染症に大きく左右され、出来事が変わった背景には感染症の脅威が実はあったのだということは歴史を勉強する上で人間の行動を大きく変えることである以上もっと知っておくべきかなとも思います。
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文章が好き ◯
作品全体の雰囲気が好き ◯
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい
その他 ◯
学び直したいなあ。
学生時代の受験勉強が面白くなかったけれど、今いろいろ興味をもつことができるのは、あの無味乾燥な受験勉強があったおかげなのか。
「歴史」ってこんなにも面白いものなのか。コロナ禍での皮肉な気づき。
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「賢者は歴史に学ぶ」
まさにそれを地でいくのが今回のコロナ禍では
ないでしょうか。
スペイン風邪をはじめとして、人類の歴史は感
染症との戦いなのです。
過去の文献を紐解くと、現在のコロナ禍と同じ
状況がいくらでも出て来ます。
特に今回スウェーデンが実施しようとした「集
団免疫」を行うべき、と言う議論は過去にも同
様にあったようです。
しかし「免疫」にはまだまだ謎が多く、集団免
疫は必ずしも効果があると判断できない経緯が
あったようです。これは現代でも同様です。
さらに昔の日本人の生活習慣にも目を引くもの
があります。
昔の高級布団には片側の隅に「フサ」が付いて
いました。これは頭の方の印だそうです。日本
人は昔から「ゾーニング」の観点で清潔を心が
けていたことが分かります。
まさに「答えは歴史にの中にある」と納得させ
られる一冊です。
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100年に1度はパンデミックがあって、今年はその年にあたるってことかなぁ。
100年前はスペイン風邪で、日本だけで45万人が亡くなったという。
コロナ騒動の初期(2020/4)において、
「接触8割減の徹底を」 北大教授、最大40万人超死亡
って、シミュレーションって格好つけてるけど、この数字じゃね?
いずれにせよ、100年前や、もっと前の多くの記録が残っているようだが、本書を読むまで、全く知らされていなかった、、、というのは何が問題なんだろう?