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めちゃくちゃ良かった。
すうっーと13歳になれた。
汗まで甘ったるい、でも心にちっちゃいトゲがいっぱいだったあの頃を思い出して胸がぎゅっとなりました。
そういう"いま"を生きている、あのこやあのこのことも思って。
薄いグラシン紙に包まれたお菓子みたいな装丁が、脆くて優しくてちょっとめんどくさい少女そのもので。
ずっとそばに置いて、何度も開くことでしょう。
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三角みづ紀さんの詩集はレビューはしていませんが、以前に何冊か図書館で借りて拝読したことがあります。
以前に読んだのは、なんてヒリヒリするような、繊細な心が描かれているんだろうと思うものが多く、若さゆえに、生きづらさを感じているのかもしれないと思いました。
この「どこにでもあるケーキ」は38歳になった、三角みづ紀さんが、13歳の三角みづ紀さんになって詩を書こうとしたものだそうです。
「13歳のわたしは繊細で、ひどく図太くて、ひどく鋭敏だった。38歳のわたしが13歳になって詩を書こうとしたら、同じく繊細で、ひどく図太くて、ひどく鋭敏だったので、驚いた。ひとってそんなに変わらない」
とあとがきで述べられていますが、今、以前の詩集は手元にないので、はっきりとは言えませんが、この詩集には、明るさとか、優しさ、おおらかさなどが加わったような気が私はしました。
読んでいて気持ちがやわらぐような詩が多かった気がします。
巻頭詩の「森の生活」は、この詩集を読む前日に、ヘンリー・D・ソローの『森の生活』を読んでいたので、そこからとったのかと思ったりしましたが、内容は全く関係なさそうです。
「森の生活」
ひとりでは
三つ編みが結えなくて
母にゆだねている日々を
あたらしい制服は大きい
すぐにぴったりになると
皆が口をそろえて言った
膨らんでいく身体は
焼きあがるのを待つ、
どこにでもあるケーキ。
ほっといても、
育っていくヒヤシンス。
でも わたしはそんなに簡単じゃない
でも わたしはそんなに複雑でもなくて
わたしが貼りつく名前を
剥がしてみたら
なにものでもなくなって
三つ編みを揺らして
ひとりで俯いて
学校へ向かう
濃い緑のスカートを震わせて
三つ編みを揺らして
とてもよく晴れた日に
一本の木になって
森の中にまぎれこんでいくのだ
「春と獣」「光を放つものたち」「アイボリー」「春分の日」「ソワレ」もよかったです。
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三角みづ紀さんの物語のような連詩。
少し尖った、感情の揺れやすい女の子を描いている。詩の特別さは、青くさいまだ幼い女の子の感情の部分だけを掬い取ってみせてくれる。感情の動きだけで、その知らない女の子の1年間の様子を想像する。
放っておいても、どんどんと成長していく年齢、日々は止まってくれないし、覚えることも増えていく。いろんな感情を知ることになる。
彼女がこれを書いていたというホテルヌプカはいつか行きたいホテルのひとつだ。北海道のどこまでも広がる景色は、13歳の女の子の小さく淡い悩みや尖った感情を優しく包み込んでくれているような気がする。
そこからみえる景色をみたら、またこの本を読み返してみたい。
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するすると読めた。三角さんの詩は、「よいひかり」のころからどんどん読みやすく、誰にも書けない透明感をたたえたものになってきている気がする。なぜ読んでいてこんなに爽やかな気分になるのだろう。
本のたたずまいも愛らしい。
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子どもの頃のシンプルな心の動きを思い出した。
大人になるにつれて、どうも複雑に考えすぎる。
初心に帰る意味でここに戻ってくるのもいいかもしれない。