紙の本
一人のキャリアウーマンの心の葛藤を見事に描いた傑作です!
2020/12/07 09:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『天使の卵―エンジェルス・エッグ』、『星々の舟』、『ダブル・ファンタジー』などの名作を次々に発表しておられる村山由佳氏の作品です。同書は、ライフ・スタイリストという職業の傍らラジオ番組を持ち、多忙な日々を送る帆奈美が主人公として繰り広げられる物語です。夫と猫との静かな暮らしは、同級生だったカメラマン・澤田炯との再会を機に崩れてゆきます。想いを抑える帆奈美を逆にけしかけ、大抜擢する女優の瑤子にも苦しめられます。輝きを増してゆく妻を、しかし夫は束縛し始めていきます。自由と自尊心を賭けた帆奈美の闘いがこれから始まろうとしています。一体、どんな結末が用意されているのでしょうか。ぜひ、多くの方に読んでいただきたい村山氏の傑作です!
紙の本
燃える波のまま物語は終わる
2020/12/03 17:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
村山ワールドにどっぷり浸かり長編なのに一気読みしてしまった。打ち寄せては引き、また打ち寄せる波は本当に燃えているので。この物語のKEYはやっぱり白猫「おむすび」!!顔は何となくもみちゃんかな??むーちゃんの出番が待ち遠しかった!!
紙の本
燃える波
2020/10/30 11:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
すれ違う夫との夫婦関係に悩むスタイリストでありDJの帆奈美。女優・澤田瑤子のスタイリングの仕事で同級生でカメラマンの沢田と再会する。再会した二人は・・・。
中江有里さんの解説も素敵でした。自分とは全く違う観点をお持ちで参考になりました。もう一度中江さんの視点で読み直そうと思います。
投稿元:
レビューを見る
人生のクローゼットは無限に大きくはない。何かを選び取るには何かを捨てなければならない……登場人物たちとは何一つ似たところは無いし別世界のお話だぁと読みましたが、読後感は全く悪くなかったです。
帆奈美さんのラジオは村山さんがパーソナリティーされてるラジオみたいで村山さんの声で再生されてたし、モラハラ夫って村山さんの元夫もそうだった気が…と思って帆奈美さん=村山由佳さんに思えて仕方なかったです。
元夫が身勝手過ぎて寒気がするくらいでしたが、一旦壊れるところまで壊れるとスッキリするのかな。
誰も彼も、良い方向に進むとよいです。わたしもわたしの出来る範囲でがんばろうと、なんだか思えました。
投稿元:
レビューを見る
今は惚れ惚れする人にも若くて未熟な時があって、こんな男と一緒になって…と思い、「こんな男に誰がした」みたいな彼の言い訳にはあんたも一役買っているんだよと言いたくなってしまう。
周りに助けられながら出来ることを膨らませて道を選び切り拓いていく。
憧れる一つの生き方がここにもある。
投稿元:
レビューを見る
ライフ・スタイリストを自称し、衣食住のスタイリングのほか、エッセイを書いたり、ラジオのパーソナリティを務めたりとフリーに活動する帆奈美。
夫の隆一との間に子どもはいない。それなのに家を留守にすることに後ろめたさを覚え、夫の顔色を伺いながら暮らす日々。
そんな時、大女優の水原瑤子に抜擢され、大きな仕事が舞い込む‥。
経済的に自立し、能力を認められながらも自信を持てず小さく生きていた帆奈美を、瑤子が新しい世界へとぐいぐい引き込む。
そこには澤田炯という抗い難い魅力をもった男の存在もあった。
初めは帆奈美の目線による物事の見方が鼻についてまるで隆一目線で読んでしまったが、隆一と対峙するシーンや瑤子に振り回されるシーンなど後半になるにつれて胸のすく思いで読むことができた。
ただ、帯にうたわれているような恋愛小説とはやや違うような。
投稿元:
レビューを見る
ライフスタイリスト、全然知らない世界
なのに、不思議と物語の中に入り込める。
村上由佳さんが同世代だからなのかもしれない。
私もずっと仕事をしてきた
奥さんをしながら、お母さんをしながら
仕事の優先順位が下にあるのが残念に思った事も多々あった。
だから、色々な出会いの中で
特に遥子さんと出会って仕事が広がっていく様子は良いなあと素直な気持ち。
見下されていると浮気に走る旦那は所詮そこまでの人。
澤田くんなら対等に生きていける。
良かったねナミちゃん。
カッコいい女の人も本当は寂しくてぎゅっと抱きしめてもらいたい時もある
「燃える波」ラジオから聴こえてくるような素敵な物語でした。
投稿元:
レビューを見る
ライフスタイリストとして活躍する妻と雑誌編集者の夫。裕福で満たされているように見える夫婦だが、夫の浮気をきっかけに自らの仕事や生き方を見直す女性の話。
カメラマンの澤田が後々、自分も元夫のようなことをしてしまうかもしれないし、言ってしまうかもしれない。だから些細なことでも話し合っていきたいってお願いするシーンは妙に刺さった。
夫の言ってることは本の中では違和感のあるメチャクチャな論理だが、自分も言ってしまうかもしれないし、言わなくても思ってしまうかもしれない。それがどんな意味を持つのか改めて自分に問いかけることになった小説だった。
ライフスタイリストって職業も、カメラマン、雑誌編集者、女優、ラジオ番組のプロデューサーって人たちがあまりにも周りにいなさすぎて天空の世界の物語のようだ。でも、辛い思いはするし、恋もして、肌を触れ合いたいと願う。当たり前のことだが、そんな人間としての営みの大事さを感じた。とても前向きな終わり方だったので読後感はなかなかいい。
3.5に近い4点。
投稿元:
レビューを見る
各章のタイトルとなっている曲を知っていれば、楽しめるかもしれません。
残念ながらほとんど知っている曲はなかったが、物語は楽しめました。
夫婦の話や大女優との話は良いとして、中学時代の同級生との話は私には全くピンときませんでした。でも世の中あるんでしょうね。
あとがきにもありましたが、いろいろな「ナミ」ですね。読んだ後にそんな感想をいだく恋愛小説でした。
投稿元:
レビューを見る
この人の書く旦那さんはどーしよーもなくて、愛人はそれを補って余りあるパターンが多いのね。人は失敗しないと学べないってことなのか。
投稿元:
レビューを見る
友人のような夫と、野性的な魅力を持つ中学時代の同級生。婚外恋愛がひとりの女性にもたらした激しい変化は――。著者渾身の恋愛長篇。〈解説〉中江有里
投稿元:
レビューを見る
3.5性と愛の物語。女性の裏側を見ているようで、ドキドキする。理想の関係は、お互いの努力の上に成り立つ。肉体関係が終わっていくのは、切ないことです。
投稿元:
レビューを見る
ここまでのクズ男もなかなかいなかろう!!!…でも実際にいそう…ってなった。その人間のクズの心理が描かれてるのはよかった。全く共感はできなかったけど。その共感のできなさには、自分に対して安心しても良いと思った。
投稿元:
レビューを見る
そろそろこの人の本飽きてきたというか…才能と仕事に恵まれていてねこがいて、めちゃくちゃ愛してくれる男がいて、うらやましいですわあ
投稿元:
レビューを見る
最後のフレーズ「おやすみなさい」は、徹頭徹尾正しい一文だと思った。
帆奈美は、運命の波をさ迷って自分の幸福を見つけられないであろう人ーー元夫·隆一ーーに、さよならではなく、おやすみなさい、と言いたいのだ。電波/音波に乗せて、その過去の魂を鎮魂したい思いなのだろう。
作者は、躍起になっていると思う、「優等生な自分自身」の殻を破ろう、と。ただ、私は思う、無理はしなくとも、向こうからその瞬間はやってくる。しかし、帆奈美には待たせることなどさせなかった。つまり、帆奈美の運命/人生こそが、タイトルの言うところの「燃える波」なのだろう。帆奈美には待てないほどの抜き差しならぬ情熱があり、それが己から殻を破る瞬間となる。
波、とは、運命/人生/心のそれのことだ、月並みな言い方だが。それが身を焼く情熱で燃えるように照らされていて、「燃える波」となったのだ。
秀でた一文というものはなかった気がするものの、全体的に調和の取れた「普通」の文章が読みやすかった。