紙の本
だから、今この時を謳歌しなくちゃ。勇気をもらえる本。
2023/10/01 16:21
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投稿者:みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初こそ、目の見えないとわちゃんと、お母さんとふたりだけの幸せなお話かと思ったら
とわちゃんに対する、お母さんの接し方が変わり始め、
お母さんは居なくなってしまいます。
それでも、お母さんを待ち続けたとわちゃん。
とわの庭という、自分だけの空間から
たくさんの人が居る世界への道のりは
とても恐ろしく、辛かったことでしょう
それでも、少しずつ世界との関係を取り戻していき
盲導犬のジョイや、近所のマリさんとの触れ合いで
目が見えないという障がいを持っていても
明るく前向きに生きていく姿を
つい応援したくなりました。
30歳になって、写真館で写真を撮ってもらう時に
"だから、今この時を謳歌しなくちゃ。"244頁
と思うことのできる、とわちゃんが
誰かに支えてもらいながらも
しっかりと自分の足で未来へと歩んでいこうとする。
昔の怖がりな自分から抜け出したのだな。と感じました。
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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
「とわの庭」というタイトルに庭いじりの好きな私は、内容を勝手に思い込んでしまいました。私も自分のお気に入りの庭を造りたいと思います。
紙の本
赦しと前進
2021/02/24 21:22
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投稿者:Chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る
盲目で、世間から隔離され、物事を何も知らずに育った主人公「とわ」は、ある日突然母親から放棄され、一人で生きて行くことに
混乱、悲しみ、飢えなど、過酷な環境の中でも小さなことに慰めを見つけながら、必死に前進し、生きようとする姿に(これからどうなるの?)と、読むのをやめられませんでした
稀有な人生で、とわが、知っていくこと、得たもの、手放したもの、そして赦すということ
それぞれに深い味わいがあり、また、多彩な登場人物たちにもいつもと同じく魅了されました
紙の本
一瞬ファンタジーのような佇まいだが、恐怖と驚きと希望が同居したような物語
2020/12/22 16:36
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭、清潔で美しい母子の生活が描かれていたもんだから油断した。その生活は、少しずつ破綻し、壊れたような日々になり、読者でいることが苦しい。それでも、主人公のとわは、ヒトというより野生動物のようにそこを生き延び保護される。
物語は後半、親に虐待された少女の再生の日々が描かれて、希望をもって終わる。
最初から最後まで、なにか息を詰めるように読んだことに読了後気づきました。タイトルにされた「とわの庭」に植えられた植物のことや、この作家がこだわって描いたのだろう暮らしぶりのことなどなど、もっと味わいながら読みたかったのだが、それは再読の時に取っておくことにした。
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小川糸さんの小説で一番好きだったかも。生きたいっていう力が強くて眩しかった。こんな話だと思ってなかったから、最初ほんわかしたやさしい気持ちで読んでいたのに、ところどころで嫌な予感を匂わせてきて、哀しいし、苦しい。死にそうになったことはたくさんあるけど死にたいと思ったことがないというとわの強さ。ワンピースの色は何色だったのかな、黄色だったのかな。写真館でのラスト泣けたなぁ。
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母と娘のほんわか物語かと思ったら、これがこれが、なんとも過酷な人生。母親が娘に向けていた愛は途中までは本物だっただろうか。保護されてから、あらゆる愛に囲まれて、変わって行く姿、良かった。親というものは、強くて弱い。
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小川糸さんの地に足が付いた生活感が好きだったのだけれど最近は何だかリアルなおとぎ話を読んでいるような気がしてならない。
ふわふわしているというか、とても個人的な空想を聞かされているような。
もちろん素敵で読んでいて気分の良い作品ではあるのだけれど、何だか惜しい。
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こんなにすごいお話は、未だかつて読んだことがありません。前半の怖くて暗いお話が、これからどうなるかと不安に思えてなりません。盲目の主人公「とわ」は母親がいてくれたおかげで生きている。「母さんはわたしの太陽だ。文字通り大地をあたたかく照らす太陽だ。」その家にある庭を「とわの庭」と名づけ、この庭がとわのことを元気づけてくれる永遠の庭ですね。とわにとってのオットさんの存在がきわだって見えました。後半の飢えとの戦い、そして光明が見えて助けられた時のうれしさ、そして盲導犬「ジョイ」との幸せな生活。ああなんと言う光ある生活。ラストこれからの希望ある生活が楽しみだなぁとつくづく感じました。最初はどうなるかと思いましたが、とても良い気分で読み終えました。読んであなたも興奮して下さい。涙して下さい。感動して下さい。
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本当に想像力だけでこの本のみ世界を書くことが出来るだろうか?!と思う。私にも目が見えない友人がいたが、本の内容があまりにもリアルだった。聞こえるものや匂い、触った質感、歩いた足の裏の感触、変わる空気感…すべてを組み合わせて「視て」いるのだ。そして、それぞれに幸せや苦しみなどの感情が結びついている。
「幸せ」って何だろう?
私たちが苦しみを訴えるこの世界の知覚は、本当に見えているだけがすべてなんだろうか?
もちろん創作の世界ではあるのだけれど、それを問い直さずに居られなかった。今の自分の環境や生活に不満を抱くのは簡単だけれど、それは本当に「不幸」なのか?
とわは、あまりに素直でまっさらで、そして何があっても生きていく幸せを噛み締めていこうとしている。
今は、今しかない。たった今辛くても、明日は?来週は?来月は?来年は?誰にも分からない。自分が作り出していけるのだから。
私もとわのように、今を生きていきたい。
今は辛くても。そう思った。
小川糸さん、すごい。
一見逆境で最悪な人生に見えるところに、光明を見出していける、自然に。それはまるで本当に起きた人生の日記を垣間見るようだった。
こんな小説見たことない、確かに!
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ぶっちゃけ最初は海外のおとぎ話的感じなファンタジーかと思っていた。
読んでいくうちに主人公のトワは目が見えない事が分かっていく。
目が見えないから周りの状況も全く分からない。
トワと一緒に本当に手探りの中世界が見えなくても『見よう』とする努力と勇気。
段々と見えてくるトワの周りの異質な世界。
ただ怖がっていただけのトワが勇気を出して外の世界に踏み出して、そこからどんな事を経験して行くのかと思うと気になって気になって読むのを止められなかった。
糸さん独特の素敵な登場人物達にも癒される。
この本だけで終わらせるのでなく続きももっと読みたいと思った。
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読み始めたら世界に引き込まれて先が気になりすぐに読み終えました。とわは、見えている人よりも色々な物が見えている感じがしました。辛いシーンはありましたが、それでも前向きに生きている所はこちらも勇気づけられました。私も日常の風景の中で小さくても美しい物に気付ける豊かな生活をしていきたいなと思いました。
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刊行前から予約して、ずっと楽しみにしていました。
今、読み終えて、感動に浸っています。少し興奮気味なので感想を書くには適していないのだけれど、少しでも早くこの感動を誰かに伝えたくて、敢えて。
作品の前半は衝撃的でしたが、後半は救われて、読後感は爽快。
一言で言うなら、せっかく生きているんだから自分を楽しまないともったいないって、自然と思えてきた。個性の時代って言われる反面、何となく今の風潮ってものもある。でも、大事なことは自分の感覚(五感)だから。
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主人公であるとわちゃんの生命力、一歩踏み出す勇気、すべてを受け入れ自立する姿に、大変勇気をもらいまさした。そして、どんな状況でも希望を持って生きるんだと、とわちゃんにおしえてもらいました。
前半は、最初はお母さんに愛情を持って育てられたとわちゃんが、時に暴力をふるわれるようになり、育児放棄され、一人取り残される姿が描かれており、映像なら目を覆いたくなるようなことが描かれていますが、そこは小川糸さんの優しいタッチの描写もあり、「途中で読むのをやめたい」なんて思うこともなく、「どうなるのだろう?」と、どっぷり小説の話の中に引き込まれながら読み進めました。
後半は、とわちゃんが外の世界に順応し、自立していく姿が大変爽やかに描かれていて、微笑ましくて楽しく一気に読み終えました。
母親に捨てられて、悪臭漂うゴミ屋敷と化した家に一人残され、母親に言われていた「誰が来てもドアをあけちゃいけない」という約束を、数年もの間、頑なに守り、餓死寸前の盲目のとわちゃんが、勇気を出して外に足を踏み出した姿に心を打たれ、涙がでてきました。とても印象的な場面でした。
ようやく助けられ、事実を受け入れ、自立していく姿には、素晴らしいものがありました。
自分が孤独で最悪の状況に陥った時、とわちゃんのようにできるかどうか自信がないけれど、とにかく希望は捨てないように、目の前の事を頑張って頑張って生きていける人間になりたい。
小川糸さんの作品は、優しい描写ながら伝えたいことがしっかりと伝わってきて、凄く素敵だなって思います。
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タイトルと表紙から、癒し系のほっこりなお話かなぁと思い読み進めていった。
途中から胸がざわざわし始め、この幸せが続いてくれと願いつつ、とわの目が見えていないので、この状況を自分も完全に把握できないことに「本当はどうなっているの?」と不安を覚える。小説なのだから、そもそも文章でしか判断できないのだけれど。もどかしさを感じながらも、自分もいろんな感覚を研ぎ澄ませて想像して読み耽ってしまった。
生き延びるために、もちろん食料や水も必要だけれど、その人にとっての「光」があるかどうかで違ってくる。とわちゃんは、それを見出すのが上手だ。
母に対する気持ちは、どうしていいのかわからないだろう。世間ではかわいそうな子、ひどい母親と言われるだろうけど、本人たちにとってはいい思い出だってたくさんあった。それを肯定してあげるような証拠を、母のためににそっと心の中に貯めていく様子は、なんて健気なんだろう。
きっと、とわちゃんは運がいい。それは、自分の力でちゃんと引き寄せているのだ。
憎しみはどんどん膨れ上がり、また憎しみを生むけれど、とわちゃんの光によって、運がどんどん引き寄せられている気がした。
ああ、天丼と牛丼が食べたいなぁ。
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母親による虐待を受けた盲目の少女の話。途中救いがない状況に読むのが辛くなったが、きっと最後には光が見えるだろうと読了。
人は他人との比較で幸せかどうか判断しているのだろう。目の見える人は、見える自分と比較して見てない人を可哀想だと考える。けれど、最初から見てない人は比較する対象がないからそれを不幸だとは思わない。それが=幸せかというとわからないけれど。