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岩倉源太夫の軍鶏侍シリーズは、源太夫が、若くに隠居願いをし、道場を開く夢を描き、その腕を買われて、藩のために上誅することになり、その遺児を我が子に。
剣豪が剣豪樽にその道のりと悩み、出来事を追っている物語。
これはその新シリーズで、源太夫の夢が時間はかかったが、藩士の剣の腕上達のための道場として開くことができてからのお話。
道場にやってくる少年、青年の悩みや事情に、寄り添い力になってゆくのだが、前シリーズに軍鶏が必須なキーワードとして重要な時に必ずヒントを与える。
軍鶏の戦いから秘剣を編み出した源太夫。
軍鶏を育てる知恵を技を持つ、下男の権助。
そのミステリアスなほどの知識の豊富さで、源太夫すら学ぶことが多かった。
そんな知恵者を脇役とし、魅力たっぷりの脇役を豊富に揃えたこのシリーズは、読んでいて、毎回学ぶことが多い。
今回は実子である次男の幸司(元服して、三太夫)が成長をする物語になっている。
何度も読みたい数少ないシリーズ。
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タイトル通り、万難を排し万全を期して岩倉道場が親から子へ継承されようとしている。シリーズ長期化の宿命か、ここのところ無難に物語が進んでいるように思える。
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初めて、野口卓氏の「軍鶏侍」を読んだ時に、何て面白いと、思って読み始めたのが、このシリーズである。
「新・軍鶏侍」になり、「軍鶏外伝」も、この軍鶏侍になる話も楽しく読んだ。
少し複雑な家庭環境でありながら、岩倉源太夫とみつ夫婦。
そしてその実子の幸司が、元服して三太夫になる。
九頭目鶴丸と稽古仲間に鶏合わせ(闘鶏)の楽しみを教えた。
鶴丸は、他にも軍鶏を飼いたくて、元服した幸司 三太夫に相談。
そして、老舗の隠居惣兵衛の軍鶏を購入しに行く。
何と、若いのに、見極めというか、品定めを的確に良いものをを選出するし、次席家老の嫡男でありながら、金銭の事もわきまえている所が、良い。
そして、三太夫が、この鶴丸と親し気に、名前を言い合える上下無く、仲の友達になれている事に、読みながら、微笑んでしまう。
鶴丸の元服名 一鶴!と、呼ぶことが出来るのであろうか?と。
源太夫の妻みつが、奉公人のサトと亀吉の仲を取り持つ役を請け負う姿も、素敵である。
武士の妻女が、そこまで、優しくかかわることに、息子の三太夫も、優しい気持ちの持ち主になる事と察する。
剣の稽古で、三太夫と佐一郎との優劣の差を、皮肉も込めて、瀬釣りの話で、鮠のの釣り方を佐一郎に口伝する。
それは、2人の火花が散ったにも関わらず、無心になれ、悶々とした思いを2人抱いていた事に、2人共同時察して、笑い合え、そして、これからも、研磨していくだろうと、推測される話であった。
最後の、三太夫の許嫁について、やはり、いろんな所からの申し出をどのように断れば良いか?と、父親同士は、悩んでおり、どちらの妻女たちは、子供を理解していると思う良い話であった。
なぜか、時代小説ながら、ホッとするような話で、読み易く、アッという間に読んでしまった。