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3代目の氏康の途中から、氏康、そして最後の当主、氏直での北条家滅亡までのに軌跡を描く下巻。火坂雅志氏の筆を引き継いだ伊東潤氏の筆によるが、2.5世代分の歴史の流れを忠実に詳しく書いているので、かなり詰め込まれた印象を受けるが、物語を未完で終わらせず、完結させた伊東潤氏の漢気に拍手。
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冨樫倫太郎の「北条早雲」を読んで、北条一族に興味を持ちました。この本をいち早く手にしたのも、そのためです。
三英傑を中心に見ていた戦国時代も、関東から見ると、違う風景が見えます。北条は、生き残るには、大きすぎたような気がします。氏直も、氏政も、決して凡庸な大名ではなかったのですが、京から遠い関東の地と歴史の流れが、味方してくれなかった。
民を大事にする北条の内政は、他の戦国大名に引けを取らない理想的なものだ。
大河ドラマで、北条五代を取り上げてほしい。
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初代早雲が理想とした「祿壽應穩」(ろくじゅおうおん)、領民の財産も命も穏やかであるべし、という戦国時代のなかで、これほど民政に心を砕き、民に慕われた武将はなかった。
氏綱もまた、義に違いては、たとえ一国二国を切り取る事ができても、後代の恥辱になる。たとえ滅亡しても
義を違えていなければ、後世の人から後ろ指を指されることはない、義を守っての滅亡と、義を捨てての栄華とは天地ほどの開きがある。
この小説により、今まで知らなかった北条5代の事がわかりました、北条五代を素晴らしく、彼らを誇りに思いますね。
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今年最初の小説読了本。三代氏康から五代氏直まで。
氏康は、やはりやり手なイメージ。しかし、そんな氏康でも、全てが順風満帆だった訳ではない。
氏政はそんな父と比べると、やはり凡庸な感は否めない。そして、時代の大きな波に飲まれてしまったのであろう。安定期であれば、そつの無い良き君主になれたであろう。
氏直は、頭も良く、先が見え、自分の立場も良くわきまえていて、本当に良い青年であったと思う。降伏後、若くして亡くなってしまったのは、本当に悔やまれる。
歴史小説というと一代物が多いが、こうして一族の歴史を読むのも面白い。それぞれの人物に個性があるし、底辺を流れる初代からの理念・存念がある。それも、時代と共に変化していく。不易流行。
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後半はちょっと難しく感じました。
色んな人たちの、色んな思惑があったりして、戦って奪い取るしかなかったのかと、みんな、安寧の世を求めているのに戦国の悲しさを感じました。
北条の作った、民が潤う暮らしは、どうだったのか、民の目線は、北条をどう見ていたのか知りたいと思いました。
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氏康、氏政、氏直と北条滅亡までを描く下巻。宗瑞からの『祿壽應穩』であったり氏綱からの義守る事を第一とすべきか、家の存続かと苦悩する場面は特に印象的で読み応えがあった。
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氏政・氏直と話は続いていくが、天下を巡って周りが大きく動く中、翻弄されていくことになる。
今まで積み重なったものが、最後の一章であっという間に崩れていく。まさに「太虚に帰す」という五代の終幕だった。ただ最後の氏政と氏直の会話、「誰も上に頂かず滅亡する」の言葉で救われた気がした。
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最後の方は滅亡へまっしぐらのあらすじを読んでいるようで、北条早雲の野望や思いが失われていくのが残念だった。
物語の中での話だが、政略結婚で結ばれた二人がみんな心の通った夫婦になっているのが救いだ。
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戦国時代を駆け抜けた北条家の五代にわたる栄枯盛衰を描いた作品。火坂雅志の志半ばとなった作品を伊東潤が感性させた。謎とされていた北条家の創設から五代氏直の時代までを、丁寧に分かりやすく描いている。物語としても面白く、五代の各当主のキャラクターも深掘りされていて現実感がある。ただ、ラスト数十ページの展開、頂点からの転落が、急展開すぎた感が否めない。
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後北条5代を描く歴史小説の下巻。
下巻は全編伊東さんの作品で氏康から氏政に主人公が移り、後半は氏直になります。
特に氏政の活躍と隠居、小田原合戦に至るまでの氏直の苦悩が良くわかりました。
何かと小田原評定で馬鹿にされやすい氏政、氏直親子ですが、北条視点からは物語が全く変わりますね。
氏政は隠居前後では別人のようになってしまったのがちょっと残念ですが、その最期は見事といえるかもしれません。
小田原合戦だけでも双方の群像劇にすれば長編歴史小説になりそうなので、端折った感は否めませんが結構勉強になりました。
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北条氏は関東を平定し、3代氏康が引退し、軍事に専念する形で、お館様は氏政へ承継。その頃、上杉謙信(長尾政虎から輝虎に改名)が北関東に侵入し、死闘が続く。武田信玄の応援も頼む中で、政虎との対決。この本では完全に政虎が自らの義を叫びつつ、民の苦しみを顧みない悪役である。真田昌幸、豊臣秀吉もまた。4代氏政、5代氏直と徐々に織田・豊臣の圧力が強まる中での武田・今川・上杉との同盟・対決の繰返しは目まぐるしく戦国の生残り戦には驚くばかり。4,5代の親子に至るまで、早雲・氏綱からの家訓として民の平和を掲げ、「小田原評定」の議論(4代氏政のこれまた優秀な弟たち氏照、氏邦、氏規たち)を通してもそれを貫き、最後は滅びていかざるを得なかった北条氏という爽やかなストーリー!下巻も火坂調が違和感なく伊藤に引き継がれていた。
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面白かった。本当の義を貫いた北条。今までのイメージと違った。どれがホントかわからないけど。
火坂さんの後を引き継いだ伊東さんも凄いと思う。
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火坂氏から受け継ぎ、完結。北条家最後の秀吉との攻防がいい。あっさりとしつこくなく、それでいて涙を誘う文章が素晴らしい。
『上に誰も頂かないからこそ、北条家だったのだ』
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火坂氏の遺稿を伊藤氏が引き継ぐ形で書き上げられた珍しい作品です。素人のわたしにもその文体の違いが分かる気がします。
関東の基盤を造った北条氏ですが、「(正)義」を理想に掲げ、地道に関東の統一を図る一方、小説後半の加速度的な環境変化(織田体制→豊臣体制)にはついて行かれず、歴史的な役割は終焉。ただ、その理想やシステムは次の徳川体制に引継がれていったようにも思われます。
個人的には初代早雲から3代氏康の波乱万丈期が好きです。今年のNHK大河ドラマでも出てくるでしょう。
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面白かった。
秀吉、家康、信玄などを呼んできて、北条側の視点からその時代を眺めると、新たな面白さがあった。