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経営における目標設定とその管理の重要性を学べる本です。
最近では中小企業でも経営計画を立て、進捗管理をすることが増えてはきましたが、まだそこまで手が回っていないという企業も多いと思われます。
また、進捗を管理するまで手が回らず、計画を立ててはみたものの、そのままという場合も少なくありません。
目標を立てる重要性とともに、目標の立て方や組織づくり、ミーティングのあり方など、どう行動すべきかまでも紹介しています。
計画や目標を立てたいがどうしたらいいか悩む経営者の方、目標は立てたが達成できないことに悩む経営者の方などにとって、学びを得られる1冊ではないでしょうか。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「ビジョンを共有していない最大の理由は、従業員がそれを知らないから。疑問や意見が出ることを恐れない。問題が解決すれば浸透するし、改善のきっかけにもなる。説明を尽くしても理解できない人は、雇い続けると従業員全員に悪影響が出ることもある。」
「全員に数字目標を与えることで、コミュニケーションの視点の客観化、結果責任の意識、評価基準の明確化、透明性、健全な競争、成果、良好なチームワーク、素早い問題解決、といったメリットが生まれる。」
「経営者も含む全員がプロセス通りに業務を行うと、マネージャーは管理するのも、いざこざを解決するのも、問題を特定して解決するのも格段にやりやすく、会社の成長のために時間を使えるようになる。移譲できる権限も増える。顧客数、取引数、収益、従業員数が増えても業務が複雑化しない。」
→経営層が作った目標を共有し、達成のために各人がすべきことを数字を使って落とし込んでいく。目標達成のために、共通化が可能なプロセスは共有できるツールを作る。この本には、「共有」というキーワードがあると感じました。特に、全員が「Why(なぜやるのか)」を認識することが必要だと思います。
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・ビジョン、人、データ、課題、プロセス、トラクションの6つのモジュールを強化する。成功しているビジネスマンは、明確なビジョンを全員と共有しながら業務を行う。適切な人事配置をする。一握りの数字を毎週チェックすることで事業の状態を把握する。オープンで正直な環境の中で、課題をすばやく見つけて解決する。プロセスを文書化して、全員にそのプロセスを遵守させている。各従業員のために優先事項を定め、各チームの中で高い信頼性、コミュニケーション、結果責任を確保している。
・変化は怖いが、今までの考え方を変え、会社を自立させる。適切な「ビジョン」を明確にする、適切な構造をつくる、「正しい人」を「正しい席」に座らせるの3つができれば、会社は進化し潜在能力が開花する。本物の経営チーム作りと維持、天井にぶつかるのを避けない、経営システムを1つにする、オープンマインドで成長志向で弱みをさらけ出す、という4つの信条を持つ。
○ビジョン(従業員が経営者の言葉を理解しているか)
・ビジョンとは、組織が目指す場所、そこへたどり着く方法をは��きりと定義すること。目標は、チームの全員が同じ認識を持つこと。
・ビジョンを突き止めるには、①コア・バリューは何か、②コア・フォーカスは何か、③10年目標は、④マーケティング戦略は、⑤3年イメージは、⑥1年計画は、⑦四半期の石は、⑧課題は何か、の8つの質問の答えを考える。
・ビジョンを共有していない最大の理由は、従業員がそれを知らないから。疑問や意見が出ることを恐れない。問題が解決すれば浸透するし、改善のきっかけにもなる。説明を尽くしても理解できない人は、雇い続けると従業員全員に悪影響が出ることもある。
○人(経営者の周りを優れた人で囲む)
・会社のコア・バリューを共有する「正しい人」を、適切なポジションである「正しい席」に座らせる。正しい人は、企業風土に適応して成長し、職場を明るくし、会社をより良くしてくれる。
・左の列に名前、上の段に会社のコア・バリューを書いた表を作り、各人をそれぞれ3段階で評価する。最低限のラインのおすすめは、コア・バリュー5つの場合に、最高が3つ、真ん中を2つ、最低を0にすること。基準をクリアできてない人は、評価を伝え、30日間の改善のチャンスを2度まで与えてみる。
・まず組織の構造をつくり、それから席を設定する順番にしないと会社はレベルアップしない。営業・マーケティング、オペレーション、バックオフィスの3つの主要機能が揃っていることが大事。責任の所在を明らかにするため、各機能の責任者は1人にする。それから、それらを統括するインテグレーターを考え、さらにその上に、組織の成長に必要なアイデアを生み出すビジョナリーがいるとうまくいく。
・正しい席に正しい人を座らせる基準は、業務の理解度、業務に対するやる気、業務遂行能力の3つを評価基準として考える。
○データ(数値で冷静さを取り戻す)
・ほとんどの企業には、会社の状況を定期的に把握するための活動基準の数字がない。損益計算書は遅行指標。スコアカードを作る。週単位で把握すべき数字(5〜15個)、各項目の責任者、各項目の目標、週ごとのチェック日、記入する担当者を決め、毎週使う。
・項目は、営業プロセスを遡って検証し、どのプロセスが重要を見極めて決める。財務諸表を四半期ごとにチェックする。達成できなかった目標は、カテゴリーが不調になる危険信号としてとらえ、数字を意識し、週次ミーティングで緊急性の高い問題として扱う。
・全員に数字目標を与えることで、コミュニケーションの視点の客観化、結果責任の意識、評価基準の明確化、透明性、健全な競争、成果、良好なチームワーク、素早い問題解決、といったメリットが生まれる。
○課題(決める)
・課題リストを作る。オープンで正直な組織では、課題をすべて公にして一ヶ所にまとめる規律を生み出すツールとなる。90日以上保留できる優先度の低い課題、経営チームが週次ミーティングで扱う緊急性の高い課題、各部署が週次ミーティングで扱う緊急性の高い課題の三種類を作る。
・まず課題リストを並べ、優先順位の高い課題をすばやく3つ選ぶ。優先度の高い問題を解決すると、派生的な問題も同時に解決する可能性がある。原因を追求し、(全社最適な)解決策を議論し、結論を出す。
・全員一致である必要はない。弱気にならず、決断力を発揮する。又聞きの情報はあてにしない。短期的な苦痛を選ぶ意識を持ち、最も厄介な課題から解決する。解決方法は、我慢するか、終わらせるか、変えるか、の3つの選択肢しかない。
○プロセス(会社の流儀を見つける)
・最初にコア・プロセスを特定しておくと、多くの時間と労力を節約できる。あまり細かく文書化せず、結果の80%を生み出す20%の手順を文書化し、投資した時間に対する最高のリターンを得る。完成したら、社員が社内で一貫性を持って効率的に働くための基本的な目安とする。
・経営者も含む全員がプロセス通りに業務を行うと、マネージャーは管理するのも、いざこざを解決するのも、問題を特定して解決するのも格段にやりやすく、会社の成長のために時間を使えるようになる。移譲できる権限も増える。顧客数、取引数、収益、従業員数が増えても業務が複雑化しない。
○トラクション(実行力、アイデアを行動に移す)
・明確で長期的なビジョンを設定したら、90日以内にやるべき、達成のためのすぐに行うべき3〜7の優先事項を決め、ビジョンを細分化すると、心理的負担が減る。人間が目標に集中し続けられるのは90日間。四半期ごとに方向性を調整しないと、ビジョンを見失う。
・必要な時間をかけ、間違った方向に進まないようにする。プロセスを学ぶのに半年(二度の四半期)かけ、ミスから学んでいく。四半期ごとに、全員が全力で打ち込んでいるか確認する。従業員には3つ以上の優先事項を持たせない。四半期ミーティングはオフサイトで行う方が効果的。
・四半期の優先順位を設定したら、集中力を維持し、課題を解決し、コミュニケーションをはかるために週単位でミーティングを設定する。その週が順調に進めば、その四半期も順調となり、その四半期が順調なら、一年も順調に進む。10点満点評価が効果的。毎週同じ曜日、時間、アジェンダでやるとリズムが出る。開始も終了もオンタイム中にする。