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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
まったく知らない話でしたが、読んでいくうちに引き付けられて、一気の読み終えました。歴史小説というのは、やはり面白いと思いました。作者には、ぜひ次回作も歴史小説に挑戦してもらいたいです。
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今野センセ初(たぶん)の歴史小説。
スゴイお人がいたもんだ。
墨と筆と漢数字で、どうやってムズカシイ計算ができたのだろう。算数嫌いなワタシからみれば神である。
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主人公の小野は幕末版竜崎といったところでしょうか。得意の算術を武器に目の前の任務に全力を尽くす、大きなことも小さいことの積み重ねから、という姿勢には感銘を受けました。著者得意の警察小説で刑事たちが細かな物証を積み上げ犯人にたどり着くプロセスと相通じるものがありますね。
物語全体としては、同じく時代ものである「サーベル警視庁」とは異なり捜査色はなく、幕末の激動・混乱のさなか、自らのおかれた任務を全うしようとする小野友五郎の半生をつづったもの、ということができるでしょう。
ただ、事件解明という”柱”がない点、今野作品としてはちょっと物足りないかな、と感じまして、星の数も標準てきなものといたしました。
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今野敏さんが歴史小説を書くとは驚きだ。参考にされた 「成臨丸航海長小野友五郎の生涯」や小野友五郎につい てもこの作品を読んで初めて知った。福沢諭吉について はどちらかと言うとマイナスイメージを感じた。慶應大 学関係者は憤りを感じたのではないだろか。 小野友五郎が周囲の意見に流されずこの時代を生きたことに感銘した。
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ついに今野さんも時代モノに進出!最後は、みんな書きたくなるのかなぁ?幕末の海防、江川英龍を想起した。それにしても、一般には、ヒーローの勝海舟と福沢諭吉をこうまで悪し様に描いていることで歴史小説としては信頼性高めているが、事実はどうだったのだろう?
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咸臨丸の測量方兼運用方、幕臣、小野友五郎の生涯。
渡米1回目。測量の正確さで米国士官が驚嘆。
帰国後、笠間牧野家かた公儀へ。
造船所と砲台の設計。日本初の軍艦設計。
計算能力をいかし、事務方として出世。勝海舟からブリと言われた。
薩長との戦の最中に2回目の渡米。軍艦と武器の調達。
福沢諭吉に頼まれた翻訳役として乗船させる。
大政奉還。官軍の狼煙の薩長と戦。負けるが、50万両を江戸に運ぶ。
その船は新撰組が乗り、北に向かう。捕縛されるが開放。
海軍の仕事は断る。鉄道の仕事につく。
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面白かった。
勝海舟、福沢諭吉がダメな人だったんだ!wそれが1番面白かった。
最初の渡米での勝負のことに何か裏があるのかな?ってずっと気になってたが……。
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幕末の遅咲きテクノクラートである小野友五郎の存在は知らなかった。
勝麟太郎や福沢諭吉への見方は意外なほど厳しい。
官軍史観から明治維新は歴史の必然のように思われているが、幕府にも当然有能な人材はいたわけで、維新が起きなくてもこの国の近代化はなっただろうし、その後の歴史もだいぶ違ったことだろう
著者初の時代物。
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アルキメデスの大戦を想起させる主人公。大学教授のような。幕末でなければ変人扱いだったかも。現実的かつ、実直に実践していき、緻密に考え行動する。恐れを知らない。
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咸臨丸が浦賀港からサンフランシスコを目指して出航。
航海中、アメリカ人を相手に互角の算術、測量術を披露する小野友五郎。
帰国後の動乱の中で公儀に仕え、得意の算術や測量を使い、時には交渉も行い、奔走します。
幕末の英雄物語です。
幕末のものはかなり読みましたが、小野友五郎は知りませんでした。
このような人が多くおり、近代日本の礎となったのでしょう。
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江戸時代後期の小野友五郎の半生を描いた作品。竜崎署長の江戸時代版かと思ってしまうほど考え方が似ていたのが印象的だった。今作を読むまでは合理的=効率的と考えていたが『理』に合っていた先に『効率』があるのだなと理解するようになった。
それにしても福沢諭吉と勝海舟を否定的に描写する作品、論評を読んだことがなかったので、ある意味痛快だった。本当にこんなポンコツだったとしたなら当時の上役はよっぽど見る目がなかったんだな。今作を読むと、明治維新も薩長の私怨によって起こったクーデターとしか思わないし、江戸幕府が続いていたほうがより日本にあった文明開化を成し遂げられたのではと思わなくもない。
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小野友五郎の実務処理の優秀さと合理的な思考に感心した,幕末をまた違った視点で見て勝麟太郎や福沢諭吉に違った評価をしているところが非常に面白かった.
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小野友五郎という、数学、測量の達人が咸臨丸でアメリカに向かう場面から始まり、大政奉還までの出来事を友五郎視点で書いてある。
この小説では勝海舟は口先だけ、福沢諭吉は英語もろくにできないサイコパスとして描かれている。この小説の描き方の方にリアリティがある。
龍馬が行くで勝海舟と龍馬はヒーローとして誇張されている。
また、幕末の徳川家臣には優秀な人材がいたのに、明治政府は切り捨て、事実を改竄している。
友五郎の足し算の考え方に感心した。
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幕末、咸臨丸の測量方を務めた小野友五郎にスポットライトをあてた一作。歴史に埋もれた技術者視点からの幕末。勝麟太郎、福沢諭吉が悪役のところが良い。
筆者は警察関係の著作が多く、本書が初の時代小説だという。
長崎海軍伝習所1期生、あの勝麟太郎同期。笠間牧野家家臣の小野友五郎の視点から見た幕末。中浜万次郎、木村摂津守、小栗上野介がストーリーの中心人物。勝麟太郎と福沢諭吉が単なるお調子者的な自己保身ばかりのキャラに描かれる視点が実に面白い。
本書の主要な人物はあくまでも技術者。歴史の流れ、時勢にとらわれずあくまで己を磨き続ける姿には感銘を受ける。
歴史に名を残した偉人の影で後世の人には知られない努力を重ねた人物が多くいた。それは現代の社会でも同様。地位も名誉もなくとも所与の環境で精一杯努力している大多数の人たち。そんな方々へ、本書は筆者からの最大限の賛辞、エールであろう。
小説として、また評伝としていずれの面でもやや中途半端な作品にも思えるが、それ以上に筆者のメッセージが読者に伝わる感動作品でした。
自分もまだまだ頑張ろう、プロジェクトX的な作品でした。
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警察物小説の大家が歴史小説を上梓しました。
咸臨丸は、1857年にオランダから購入した3本マストを備えた蒸気機関船で、1860年に日米修好通商条約批准で渡米する米軍艦の随伴艦として太平洋を渡る偉業を成し遂げた。
木村摂津守、勝海舟、福沢諭吉、ジョン万次郎等が乗船していた。また本作の主人公小野友五郎は測量方として任務に当たった。
同乗するアメリカ兵等11人の指導もあって太平洋を37日間で横断し無事サンフランシスコ湾に着いた。現地では造船所の見学と習得や外国文化の吸収に努めた。
帰国後、友五郎は軍艦製造と東京湾防衛の台場設置を目指して行動していた。
1861年海上防衛の要衝として小笠原諸島への領土保全と測量に咸臨丸で再び出港した。
小栗豊後守忠順、木村摂津守等と江戸末期の日本近代化を急いだ彼等の共通した認識は我々がメディアや書籍等で馴染みの有る明治維新表舞台の重要人物等を斜めに観て評価している所は、なかなか面白い。切り口が変われば常識と思われた行動もまた違った風に捉えられる。
この時代は諸外国軍艦の脅威が相次ぎ国内では尊皇攘夷や佐幕、歴史に名を連ねる吉田松陰が禁門の変を画策した狼藉者。長州毛利家はその首謀者であり、薩摩島津家は英国武器商人のグラバーから武器を購入し毛利家に横流しする。その間を取り持ったのが坂本龍馬で勝海舟の弟子だ。勝海舟は咸臨丸艦長や神戸海軍操練所等、海軍の重鎮であるのごとき振る舞いだか軍事は素人、ただ声が大きいだけの交渉人、政治家だと言う。坂本龍馬は薩長の裏方で胡散臭い。福沢諭吉は公費で外国の書籍を買い集め私物とする自分の利ばかりを考える利己的な人間。西郷隆盛は大政奉還を導いた。彼等の共通点は混乱の国内で自分達は上手く立ち回った事。
決して歴史で名前の上がる人物では無い。本作で存在を知りました。彼の勤勉さ愚直に生きる姿は気持ちが良い。反対に明治維新のヒーローと言われる人達には悪寒を覚えた。大変面白いです。