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個人的な理解として。
経済はナラティブによって動く。経済学は結果論の寄せ集めで、結果はナラティブによって引き起こされると理解。
どう人を動かすかが観点なのか。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12711183257.html
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『ナラティブ経済学』ってナニ?
『物語の経済学』では、ダメなの?
『無形資産が経済を支配する』の中身に出てくる言葉もそうだけど
最近の山形浩生の翻訳はカタカナが多すぎ。
翻訳になってないよね?
人々が、しばしば通念や物語によって、不合理な経済行動をとることについての研究。
ある種の作り話が、人々を不合理な行動に駆り立て、それが、バブル経済や、大きな詐欺事件、その崩壊による不景気などを引き起こしてきた。
サブプライムローンや不動産バブルは、合理性を完全に無視した、もっともらしい作り話で、人々を経済行動に駆り立てるという行為が国家規模で行われた例だ。
ミクロ経済学では、人々が様々な物語を聞いて経済行動を変えることは、行動経済学の分野で、心理学的に研究されてきた。
本書は、マクロ経済学でも、様々な作り話とそれに影響された景気変動の間に、明確な因果関係があることを実証し、経済予測の新しい方法を模索している。
ただし、この試みは、まだ始まったばかりで完成形ではない。
本書では、単なる思いつきや、雑な議論、説得力のない実例が、あちこちに散見される。でも、オモシロかったよ。
narrative
物語、物語文学、説話、話術、語り口、(本の会話の部分に対して)語りの部分
nar‧ra‧tive /ˈnærətɪv/ ●○○ noun formal
1 [countable] a description of events in a story, especially in a novel
At several points in the narrative the two stories cross.
2 [uncountable] the process or skill of telling a story
6
ナラティブ経済学は、人気ある物語が時代を通じて変化し、経済的な結果に影響を与えることを実証する。そうした結果は、不景気や不況にとどまらない各種の重要な経済事象を含む。
10
伝統的な経済学アプローチは大規模な経済事象における世間の「信念」が果たす役割を検討できていない。つまりはナラティブを見ていないということだ。
10 (感想)
ケネス・E・ボールディングの名前が突然出てきて、軽く驚いた。
今頃になって、ボールディングの名前を聞くなんて、思っても無かったから。
シラーの恩師なんだって。
その、ボールディングの言葉
『経済学は人間の思考と理想を扱うのだから「道徳」科学と考えるべきだ』
まるで、アダム・スミスみたいなこと言ってんな。
でも、この考え方には、オレも賛同する。
11
ドイツは本当に賠償金を払う能力がなく、それをドイツ人に無理強いする危険性についてケインズの予測は正しかった。
ケインズの洞察はナラティブ経済学のお手本だ。というのも、それは、人々が経済条件の中でヴェルサイユ条約の物語をどう解釈するかに注目しているからだ。
18
第1章 ビットコインのナラティブ
ビットコインは、投機的な熱狂と、実際の商業利用ではなく市場価格から見て、史上最も驚くべき暗号通貨だ。それを取り巻く各種のナラティブは、ナラティブ経済学の基本的な疫学を議論するための直感的な基盤を提供してくれる。
ビットコインの物語は、成功��た経済ナラティブの一例だ。きわめて感染力が高く、世界の相当部分でかなりの経済的変化をもたらしたからだ。
22
ビットコインとアナキズム
プルードンは1840年にアナキズムを次のように説明している。
統治されるというのは監視され、操作され、スパイされ、指図され、法に動かされ、数字を振られ、規制され、徴兵され、強化され、説教され、制御され、チェックされ、推計され、価値評価され、検閲され、命令されるということだが、それを行う生き物どもは、そんなことをする権利もなければ、それだけの知恵もない。
23
Bitcoin.orgのウェブサイトでは、2016年付でアナキスト、スターリン・ルジャンの一節を引用している。
ビットコインは平和的なアナーキーと自由のきっかけとなる。
これは、腐敗した政府や金融機関に対する反動として構築された。単に金融技術を改善するために創られたのではない。だが一部の人は、この真実を薄めてしまおうとする。現実には、ビットコインは金融兵器として機能するはずのものであり、権威当局を無力化するための暗号通貨なのだ。
26
ビットコインの価格が最初に上がり始めたのは、2011年ウォール街占領「私たちは99%」抗議運動の頃だった。
29
古臭い紙幣は、通常はその国の歴史上の有名人の古い肖像が描かれていて、古臭いナショナリズムを示唆する。これは負け犬のためのものだ。
ビットコインウォレットを持つと、その人は世界市民になり、ある意味で、心理的に伝統的なつながりから開放される。
44
金銀複本位制とビットコインは、どちらも金融標準を一変させる過激なアイデアの代表であり、どちらも経済に奇跡的な便益をもたらすと称されている。
49
ケインズは実質的に第二次世界大戦を予言した1919年のベストセラー『平和の経済的帰結』で有名だった。これに対して、IS-LMモデルを最初に発表したジョン・ヒックスは、そんなに華やかな人物ではなかった。
50
ケインズの著書『雇用、利子、お金の一般理論』1936年、が、完全に機械的な感染という発想を、感染という用語を使わずに述べていることは特筆に値する。
51
ケインズ理論をいじって投資力学を追加することもできるだろう。これは、ポール・サミュエルソンが1939年に定数アクセラレータモデルで示したことだ。
93
バイラル【viral】
1 ウイルス性であること。「バイラルインフェクション(=ウイルス感染)」
2 口コミによるもの。「バイラルメディア」「バイラルマーケティング」
108
現代の経済学者たちは因果性にはとても注意を払うが、一般的には新しいナラティヴの発明を因果的にまったく重要視しない。私はここで、因果性が存在するというだけでなく、それが双方向なのだというとこも論じたい。新しい感染性のナラティヴは経済事象を引き起こし、経済事象はナラティヴを変える。
125
ナラティヴの歴史を見ると「フェイクニュース」が目新しいものではないことがわかる。
これは都市伝説などで顕著だ。
191
ミルトン・フリードマンとアンナ・J・シュウォーツは『米国金融史』で、大恐���は連邦準備制度FRBと彼らのマネーサプライ制御のせいだとしている。だが、アイエケングリーンとテミンは、アメリカのマネーサプライ低下は主に経済によるもので、FRBのせいではないとしている。マネーサプライの低下は、大恐慌を作り出したのと同じフィードバックによる銀行取り付け騒ぎで生じた部分もある。フリードマンとシュウォーツは実質的に、FRBはそうした低下分を相殺できたらもっと成果を上げたはずだと論じている。テミンはまた、フリードマンとシュウォーツが、銀行取り付け騒ぎと経済活動指標との間に本質的な対応をまったく示していないことを指摘している。
231
19世紀の金銀複本位制への熱狂は、近年に見られるビットコインへの熱狂と似ているようだ。
ビットコインのナラティヴは秘密の暗号と関連している。
247
ケインズなど有力な経済学者の助言により、イギリスは、1931年に金本位制を禁止した。金本位制の最後は、1971年にリチャード・ニクソンが変動ドルに切り替えたことでアメリカで生じた。世間は金本位制の終わりを受け入れ、経済的な混乱はほとんどなかった。
403 訳者あとがき
本書は、シラーがここしばらく、同じくノーベル経済学賞受賞者ジョージ・アカロフと追求してきたテーマの発展形といえる。
人々が通年や物語により不合理な経済行動を採ることを指摘してきた。
人々を経済行動へと駆り立てるやる気は、合理的な理由だけでなく、そのときに流行っている物語や通年に大きく影響される。
サブプライム問題や不動産バブルは、それが国家規模で行われたに等しい。
シラーがノーベル経済学賞を受賞したのは、株式市場が持つ不合理性を実証的に示したためだ。
本書はもちろん、決してナラティヴ経済学の完成形を示すものでないというのは、著者自身も述べていることではある。
404
最近ではツイッターやSNSなどで、各種のナラティヴの普及の様子を細かく追えるようになっている。これを使えば、各種の文化や概念的な流行と経済変動との関係を定量的に分析できるのではないか?
405
ミクロ経済学の方面では、人々が様々な物語などを聞いて、プライミングされ、経済行動を変える話が行動経済学で大量に実証的に示されている。
マクロで同じことができるだろうか?著者はできると述べて、様々な物語とそれに影響された景気変動の例をあげ、ナラティヴ経済的なアプローチの重要性を指摘するとともに、今後のナラティヴ経済学発展に向けた方向性について述べる。
408
本書で触れられていないのが不思議ではあるが、実はマクロ経済学の分野で、これに近いアプローチがいますでに使われている重要な例はある。GDPなどのナウキャストというものだ。
GDPなど各種のマクロ経済指標は集計に時間がかかる。
もっと素早く、現状を把握する方法はないだろうか?
この要望に応えて登場したのが、ナウキャストだ。
409
こうしたナウキャストは、各種ナラティヴや言葉の出現頻度を見ることで経済状況を推定する、という意味では本書で述べられているナラティヴ経済学と同じ方向性を持つ。
今後ナウキャスト的な分析が進み、実体経済と���ラティヴとの相関がもう少し明確になってきたところで、ひょっとしたら、本書のシラー的なナラティヴ経済学の考え方が重要性を持ってくる可能性もあるのかもしれない。
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priming とは
プライミングは、「prime」という英単語から来ており、日本語だと「第一の」と訳されます。
心理学では、先に与えられた情報のことを「プライマー」、それによって影響を受ける刺激を「ターゲット」と呼びます。
プライミング効果は、先に与えられた刺激(プライマー)によって、後の刺激(ターゲット)の処理の仕方に無意識のうちに影響が出る現象を指します。
一般的に考えれば、自らの意思や判断はすべて意識的に決めているように思われます。
しかし、「意識のうち9割は無意識である」と言われるように、実際は顕在意識が働かないところで意思が決定されています。
そのため、気づかないうちに自らの意思が決定されるということが起きるのです。
https://ferret-plus.com/4760
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山形浩生の最近の日本語訳には、なぜか、日本語になっていないカタカナ英語が、アレコレ出てきて、なんで日本語にしねーの?ってイラつく。
ナラティヴを、物語、作り話、って訳したらダメなの?
ヴァイラルを、感染の、ウィルス感染の、口コミの、などと訳したダメなの?
プライミングは、この文脈だと、先行する刺激(プライマー)の処理が後の刺激(ターゲット)の処理を促進または抑制すること、と訳したらダメなの?
英語をカタカナにしただけじゃ、ナンの翻訳にもなってねーだろ?
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タイトルを馴染みやすく意訳すると「口コミ経済学」ということころか。過去何度も繰り返されてきたバブル崩壊、〇〇ブーム、恐慌や熱狂などの原因が、人々が物語、ストーリー、口コミに乗せられ、行動を変えてしまうことではないかとする主張。今で言うバイラルとかリファラルなんかもそうなんだろう。これを科学的に分析できて応用できればブームを作り出せるわけで、こんな強力な武器はない。ただ、本書においてもそこまで行っているわけではなく、事例を後から分析して当てはまるとするものばかり。また、日本のバブル崩壊後の長い不景気が、当時はやった良寛の「清貧の思想」に因る、と言われても、今ひとつピンとこない。やはり実証は難しいのだろう。マクロな経済予測までは行かないのは残念だが安全神話など、これは物語になっていないかと省みるには参考になる。
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経済ナラティブというのは、人々が経済的判断をするやり方を変えそうな、感染性の物語を指す。経済的判断とは、労働者を雇うか好機を待ち続けるか、事業でリスクを負うか慎重になるか、事業を立ち上げるか、変動の激しい投機的資産に投資するかといった判断だ。経済ナラティブは通常、流通している中で最も有力なものではないし、それを見極めるには、それが経済的行動を変える潜在力を見る必要がある。ビットコインの物語は成功した経済ナラティブの一例だ。きわめて感染性が高く、世界の相当部分でかなりの経済的変化をもたらしたからだ。本当の起業家的な情熱をもたらしただけではない。少なくともしばらくは、事業の安心感を茂樹したのだ。
■経済ナラティブ 7つの主張
1.流行は速度も規模も様々。流行の時間軸や規模には大きなばらつきがある。
2.重要な経済ナラティブは世間的な話題のごく一部でしかないこともある。ナラティブはあまり耳に入らなくても、経済的に重要かもしれない。
3.ナラティブ群は単独ナラティブのどれよりも影響が強い。群れが重要だ。
4.ナラティブの経済的な影響力は変化するかもしれない。ナラティブが時間とともに発達する中で変わる細部が重要だ。
5.虚偽のナラティブを止めるには、真実だけでは不十分。真実は重要ではあるが、それは本当に有無を言わせないくらい明らかなときだけ。
6.経済ナラティブの感染は反復機会を利用する。強化が重要。
7.ナラティブはつながりで栄える:人間的興味、アイデンティティ、愛国心が重要。
■繰り返さない経済ナラティブ
1.反復と変異
2.パニックと不安
3.倹約VS顕示的消費
4.金本位制VS金銀本位制
5.労働節約機械が多くの職を奪う
6.オートメーションと人口知能がほとんどの職を奪う
7.不動産バブルとその崩壊
8.株式市場バブル
9.ボイコット、不当利益、邪悪な企業
10.賃金物価スパイラルと邪悪な労働組合
本書で私は、一段落丸ごともある引用を異様なほど多用している。それは読者に、影響力を持ち、同じ言葉で繰り返されたら再び影響力を持ちそうな過去のナラティブについて、歴史的な感覚を示したかったからだ。ジョークや歌と同じで、効果的なナラティブは、単語とその語り口がちょうどよくなければいけない。
■訳者あとがき
…人々の経済行動を操る物語をどのようにして考えるべきか?特にミクロ経済レベルで個人がだまされたというレベルにとどまらず、マクロ経済的な景気循環にまでそうしたナラティブは影響しているのではないか?すると、社会全体に流通するナラティブの興亡をたどることで、その後の経済変動について示唆が得られるのではないか?特に現在、ニュースや新聞記事、書籍内の用語登場頻度の検索を通じて、世間的なナラティブの普及や流通について計測しやすくなっている。最近ではツイッターやSNSなどで、各種のナラティブの普及の様子を細かく追えるようになっている。これを使えば、各種の文化や概念的な流行と経済変動との関係を定量的に分析できるのではないか?
ミクロ経済学の方面では、人が様々な物語などを聞いてプライミングされ、経済行動を変える話が行動経済学で大量に実証的に示されている。数字の上ではまったく同じ利得の選択でも、それをどういう文脈で、どういう言い方で提示するかにより、人々の選択は変わる。そしてそれを政策的にどう活かすかについても、…、各種の「ナッジ」戦略などが提起され、人々の健康保険加入や給与天引き式の年金貯金の促進など、具体的な成果も上がっている。
マクロでも同じことができるだろうか?著者はできると述べて、様々なナラティブとそれに影響された(と称する)景気変動の例を挙げ、ナラティブ経済学的なアプローチの重要性を指摘するとともに、今後のナラティブ経済学発展に向けた方向性について述べる。
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まだ未完成の領域ながら、経済指標だけで経済予測しようなんてのが不十分なのはその通りだと思う。世間の気分を検索ワードで数値化したら疫病感染と同じような曲線になって、、、、それが実際の経済にどう影響するかの因果関係の説明が雑で、例を挙げているけど、複雑すぎて実態把握は不可能かもしれないが。
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▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/322131
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ノーベル賞学者、ロバートシラー教授の本なので、期待して読んでみた。
ナラティブ経済学、物語経済学による「全く新しい経済予測の考え方」ということだったが、、、
グーグルNグラムという過去の文献のテキストマイニングデータを使った、経済史とキーワードの振り返りが主で、少し冗長だった。
あれ?経済予測は??補遺の数式を解けってこと??
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20230324-0503 ノーベル経済学賞受賞者で、恐怖指数など様々な経済分析の手法を
提唱しているロバート・シラー教授による新たな経済分析手法についての紹介本、といえばよいのだろうか。人々の語る「物語」=ナラティブに人々は魅了され、熱狂し、経済を動かし時にはバブルも生じさせるということか。訳はこなれていて読みやすいが、自分の読書速度が著しく遅いので大変時間がかかってしまった。筆者の提言にすべて納得できるわけではないが、日本のバブル経済の熱気を思えばそうなのかもしれない。