紙の本
面白く読めました!
2021/03/11 22:00
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
当初、「花粉症の歴史を知った上で、花粉症の予防策を伝授する1冊」と思って購入しましたが、花粉症予防についての記述は皆無でした。拍子抜けしました。
ですが、純粋に花粉症と人類の歴史を振り返る話が、こんなに面白いのか!と思え、教養書として楽しく読み進められました。満足しています。
紙幅も前振りと目次を除いてわずか162ページしかなく、1日あれば十分に読み切れる内容です。
紙の本
なんとかして欲しい
2021/06/10 13:48
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
スギ花粉症と診断されてからもう30年が過ぎた。アレルギー症状は年によって異なるが、毎年悩ませられる。
花粉症の歴史と人類との関係について世界史的に詳しく書かれていて参考になる。発祥地のイギリスの干し草やアメリカのブタクサ、日本のスギは3大花粉症として知られていたとは恐れ入る。
日本におけるスギ花粉症の歴史と経緯についても記されている。1980年代に爆発的に増加したとあるが、ちょうどその頃に花粉症になったようだ。今や国民の半数は花粉症の時代になってしまったという。
人類より長い歴史をもつ植物と闘っても勝ち目は薄い。コロナもそうらしいが、共存する道を探さねばならないと指摘している。対処療法はしっぺ返しを受けるだけだ。アメリカのブタクサ駆除作戦は除草剤耐性ブタクサ、スーパーウイードを生み出して世界中に拡散させてしまっているという。アレルギー反応抗原がスギ花粉だけに限らず、カモガヤ、ブタクサ、ハウスダストなどに増えていく。この先死ぬまでまだまだ苦しめられると思うと心底穏やかでない。
せめて、スギ花粉だけは著者等の活動によって減らしてもらいたい。
紙の本
あくまでも花粉症の文化人類学(医学的ではまったくありません)
2021/12/08 21:50
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投稿者:Fontana - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本によれば、日本で花粉症がポピュラーになったのは1980年代とかなり新しい(今となってはそうでもないか!?)。1980年にはまだ20代だった私の認識でも大学あたりまで花粉症という言葉自体あまり聞いたことがない。その後、聞くようになっても「なんか、かっこつけてるんじゃないの、鼻水たらしてるくせに」みたいな反応が一般的だった。それから40年経って、若年層の半数以上が花粉症だというから驚き(推定有病率61.6%)。迫ってくる花粉症の蔓延の波をギリギリ逃れた世代なのだと実感。
世界三大花粉症はイングランドの「牧草花粉症」、アメリカの「ブタクサ花粉症」、そして日本の「スギ花粉症」。原因が花粉という解明にはダーウィンもからんでいた。そしてなぜか文明化と花粉症がリンクしていることから花粉症の国=文明国みたいな優性思想も出現。アメリカでは、花粉が来ない場所に避暑ならぬ避花粉リゾートができた、ブタクサの除草剤の開発と除草剤耐性ブタクサのいたちごっこ・・など花粉症の歴史と文化人類学的考察が丁寧に語られる。それはそれで大変におもしろい。
ただし花粉症の人が、花粉症が良くなるヒントが書かれているのかなと思って読むと、そこはまったく書かれていません。著者は植物学者で、人間を翻弄する花粉の味方かもしれません・・・
電子書籍
周りは花粉症ばかり
2021/11/22 01:23
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
親子兄弟、親族はみな花粉症です。興味を持ったのは、花粉症予防ですが……。花粉症が生まれた背景や、その歴史は、詳しく書いてあります。しかし、花粉症への人類の対策はあまり書いてなかった……残念。
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田渕引退の原因が花粉症であったとは・・・私自身はちょうど30年前、転職を機に花粉症を発症した。あまりのつらさに、精神的にも追い込まれ、1ヶ月余りで新しく勤め始めた会社を辞めてしまった。(結果的にはそのおかげでいまの妻と出会っているので、良かったと言えば良かったのだが。)さて、それから30回目の花粉症の季節を迎えている。とは言え、年齢を経るにしたがって、あるいはその年の花粉の飛散状況に応じて、症状は変わってきている。一番ひどかった時期は、夜ベッドに横になると鼻がつまり息ができなくなって目が覚める、その繰り返しだった。点鼻薬を使うと少しは改善されるが、それでも寝不足になるのは変わらない。そのころ、所属していた現代風俗研究会で「不健康の悦楽・健康の憂鬱」という特集に「カフン症な私」というタイトルでエッセイを書いた。花粉症の歴史についても調べた。しかし、それは日本での60年代ころからの話が中心だった。本書によって初めて花粉症リゾートなることばを知った。ヘミングウェイの家族も、花粉から避難するために、一定の期間花粉の飛ばない地域のホテルで過ごしたりしていたそうだ。そう言えば、花粉症のひどい高校の先生も春に修学旅行で沖縄に行くと症状が消えると言っていた。先のエッセイ執筆時には自分のくしゃみの回数も数えた。それがストレスになって症状が悪化するのではないかとも言われた。意外と意識していると、そんな回数を覚えていたりもする。それがちょっと新鮮であった。ここ数年は目のかゆみが本当に不快である。花粉症を始めとしたアレルギー症状などは、清潔志向が強くなった現代の疫病だとも言われる。そうすると、このコロナ禍、消毒のし過ぎがどういう結果につながっていくのか不安だ。死者数が減っているとは言うが。そしてまた私は、最近「現代病」の一つとも言われる胃食道逆流症と診断された。最先端を追いかけているのだろうか。喜ばしくはないけれど。本書の著者らは花粉の飛散を押さえる取り組みを続けておられるとのこと。成果が出てくることを期待したい。ところで、スギという名前は「まっすぐの木」から「すぎの木」になったのだとか。なるほどなあ。
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花粉症研究の歴史がほとんどであり、期待していた発生のしくみや、治療薬・治療方法などについては、触れられていなかった。
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今日ブックカフェで読んだ。私は花粉症ではないのであまりわからないのだが、最近弟が花粉を感じているらしく昼間は窓を開けないようにしている。ほかの家族も薬を飲んだり、目がかゆいなど言っている様子を見ると、自分は花粉症でなくてよかったとつくづく思う。
この本では歴史の中の花粉症について語っていた。花粉症がそんなに昔からあるとは意外だった。母が自分の子供のころは花粉症にかかる人がここまで多くなかったと言っていたので、現代に特有の病気なのかと思っていた。
また日本では花粉といえばスギ花粉を思い浮かべるけれど、国によって植物の種類が違うらしい。(言われてみれば当たり前だが)
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「私たちは、病気を根絶させるのではなく、病気と共存し、病気から学ぶことを考えたほうがよい」花粉症は共生の大切さを教えてくれる。
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3月24日新着図書:【1819年にイギリスでひっそりと産声を上げた花粉症が1961年に日本国内で花粉症患者が出現したまでの花粉症と人類の歴史を読んで見ましょう。】
タイトル:花粉症と人類
請求記号:イワナミ490:Ko
URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28180544
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日本でスギ花粉症が叫ばれるようになったのは1980年代の記憶だったが、なんと花粉が実に長い人類史の中で人々に愛されてきた存在であったことも改めて知る。約5,6万年前のネアンデルタール人の墓から見つかったという大量の単一種の花粉粒の発見を通して、彼らが花を愛でた人たちだったと推論されることから話が始まり、人類との親しい交わりを想像させる。花粉症との闘いはギリシャ時代に既に始まっていた?!ヘロドトスに出てくるアテネのヒッピアスのクシャミと咳の記録。そして古代には奇病として記録が登場する。2世紀のアラビア語の詩。そして19世紀、英国のビクトリア王朝時代にも多くの記録が。貴族など上流階級の病気で、ステータスシンボルだったとは、日本で頭の良い人にしかかからないと言われた頃もあった!。米国はブタクサ花粉症。
花粉症の研究に自らを「犠牲」にした科学者ブラックレイのことも、興味深い本だった。トドメは柿本人麻呂の歌「いにしへの人の植ゑけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし」への興味。彼の時代には花粉症はどうだったのか?
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植物生理学者の著者による、花粉症の文化史といった内容の一冊です。
医学書とは違い、花粉症に関する逸話や歴史が綴られています。
地域によって花粉症の原因となる植物は異なりますが、欧米では庶民よりも富裕層が罹る“貴族病”として扱われてきました。
かつての日本では貴族病である花粉症の罹患率が圧倒的に低かったのですが、植林政策によって晴れてスギ花粉症を大衆が手にすることになります。
大変、光栄なことですね。
著者は花粉症にも色々あって愛でることもできることを知ってほしくて執筆したようです。
花粉症患者の一人ですが、寄り添ってくれるスギ花粉を愛せるかどうか不安です。
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春は何の季節?
桃、桜、新緑、せせらぎ。
いやいや、花粉症に苦しむ人にとっては、何といっても花粉の季節だろう。
気候もよくなり、外で過ごすのにぴったりな季節のはずなのに、マスクは手放せない。今年はいずれにしろ、コロナ禍でマスク姿の人も多いが、例年、春先にマスクをしていたら、それはほぼ間違いなく花粉症の人である。
目はしょぼしょぼ、鼻はずるずる。
夫婦とも花粉症なので、洗濯物も布団も、我が家はこの季節、外干しを避ける。
春の爽やかな風を思いきり吸い込みたいところだが、そうはいかないわけなのである。
さて本書。「花粉症と人類」とはなかなか壮大なタイトルである。
実際、内容も花粉症の人類史といった趣でおもしろい。
人類はいつ花粉症と出会ったのか。
ヴィクトリア朝では貴族の病気だった?
花粉症の原因特定までの道のり。
イギリス・アメリカ・日本各国の花粉症。
興味深い話題が続く。
花粉症の歴史はどこまでさかのぼるか。
聖書や古代エジプトの記録の中にも、あるいはこれが花粉症かと思われる記述はあるが、確実とは言えない。歴史のロマンとしては深読みできて楽しいところではある。
ペルシャの医師、ラーゼス(865-923)がバラ風邪として記録しているのが、季節性アレルギー鼻炎の初めての記述と思われる。
ヴィクトリア朝期には、「夏カタル」として知られた。季節性であることはわかっていたが、原因は暑熱であると考えられた。
花粉が症状を引き起こすことを突き止めたのはチャールズ・ハリソン・ブラックレイ(1820-1900)で、彼はこれを「実験的研究」によって立証する。実験はすさまじく、80種類以上の花粉を集めて、自分の鼻孔や軟口蓋に塗り込んだり、結膜に点眼したり、傷つけた皮膚に擦り込んだりした。一方、花粉以外の物質が原因でないことを立証しようと、花や草の香気成分を蒸発させて浴びたり、カビやペニシリン、オゾンを吸入したりした。花粉以外のものでは、なるほど「夏カタル」の症状は出なかったが、吐き気やめまいなど相当の副作用があったようである。
ブラックレイは、スライドグラスにグリセリンを塗って空中の花粉量を調べてもいる。凧を上げて上空の花粉数も調べることに成功した。
ブラックレイと同時代に生きたチャールズ・ダーウィンは、彼の実験を賞賛し、励ましやアドバイスを記した手紙を送っている。天才は天才を知るというところか。
ここでダーウィンが助言の中に記していることの1つが、虫媒植物と風媒植物の違いである。植物は大まかに、粘着質の花粉を持つものと非粘着質の花粉を持つものに分けられ、前者は昆虫によって受粉する虫媒植物、後者は風によって受粉する風媒植物となる。花粉症を引き起こす植物は、イネ科にしろ、カヤツリグサ科にしろ、イラクサ科にしろ、風媒植物なのである。なるほど、虫媒植物であれば、花粉を空中に飛ばす必要はないため、花粉症の原因になる可能性は低い。
イギリスでは干し草、アメリカではブタクサが主因となった一方、日本で花粉症の原因として問題となったのは、初期には特にスギだった。
あまり古くはなく、最初に論述されたのは1964年のことである。この後、緩やかに広がりを見せ、1984年には、プロ野球の田淵幸一選手が花粉症を理由に引退を表明している。厚生省(当時)が動き始めるのもこの頃。
今や、ほぼ2人に1人が花粉症と言われる(2016年調査で東京都の推定有病率が48.8%)。
著者が大学院に進学したのは1990年で、各省庁がスギ花粉研究を推奨していたころだった。学会発表にあたり、スギ花粉が猛烈に飛散している写真を撮ろうとしたが、なかなかうまくいかない。ついには後輩に木に登ってもらい、枝を揺すらせた。写真は素晴らしく撮れたものの、後輩と著者は大量に花粉を浴び、帰り道の温泉で洗い流したが、結局花粉症になってしまったという。
笑ってよいやら泣いてよいやら、強烈なエピソードである。
全体にそこはかとないユーモアがあり、なかなか楽しい1冊である。
花粉症の治療についてはまったく触れられていないので、本書を読んでも症状は軽減されないが。
ちなみに、私自身の発症のきっかけは、かれこれ20年ほど前、子供を連れて行った高尾山。
ここは中腹にサル園があるのだが、何と、サルも花粉症になるのだ、とその時知った。周りはスギだらけ。さぞ辛かろう。大変だねぇと苦笑していたら、その帰途、くしゃみが止まらず、涙がぼろぼろ。何のことはない、自分が花粉症になってしまったのだった。他人(他動物)の不幸をわらうまじ。
ともあれ、今年のスギ花粉はほぼ終わり。ヒノキがあと少しである。
同士の皆さま、がんばりましょうw
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イングランドの牧草花粉症、アメリカのブタクサ花粉症、日本のスキ花粉症が世界3大花粉症だそうだ.前の2つは前世紀の話だが、両方とも上流階級の人の患者が多かった由.スギは誰でも容赦しない.花粉の発見から話が始まるが、多くの科学者が研究してきた歴史を知ることができた.ネアンデルタール人が花粉症にかかったどうかは確認できないものの、花粉のことは知っていたようだ.ブタクサに関してアメリカが除草剤で処理を試みたが、ブタクサ自体が除草剤抵抗性を持った話は特に面白かった.アメリカのやりそうなことだ.所々に出てくる何気ない独白、例えばp34の"花を育てる庭もなく、花を買う金もない、..... 私には、シャニダール洞窟の花粉の訴えが聞こえてくるような気がするのである。" このようなセリフが固い内容を見事に和らげてくれていると感じた.
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花粉症が、昔は貴族だけしかならず、なったら励まし、讃えあっていたのが面白かった。
また、高山地では発生しないことから、花粉症バケーションがあったことも面白かった。
残念ながら、日本人のスギ花粉は誰でもなるし、私も花粉症になるので悲しいが、花粉がないタイプのスギや花粉を絡め取る農薬が開発されていて、嬉しい気持ちになった!
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古代エジプトの時代から人類は花粉症に悩まされていた可能性があるらしい。現代病かと思ってた。
日本の書物で初めて花粉が登場したのは1829年、シーボルト門下で西洋植物学を学んだ伊藤圭介の「泰西本草名疏」とのこと。
スウェーデンのプラックレイがやった自分自身の人体実験はイヤだなあ。80種の花粉を鼻やノドに塗り込むとかウヘェ。
都会人、教養人、紳士がなりやすいってことでステータスシンボルだったこともあるらしいが、イヤだね。