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日本で見られる野鳥と、それに関連する草、木を題材とした梨木香歩さんのエッセイ。
ユカワアツコさんが鳥の絵を描かれており、キャンバスは木製の抽斗の中。それをまた、長島有里枝さんがさまざまなシーンに持ち込んで撮影している。
自然も時代と共に変化しており、その変化はあきらめざるを得ない事は承知しているが、どうしようもなくノスタルジーを感じることもある。
この本では、「昔は良かった」的な繰りごとは書かれていない。ただただ、作者と自然の出会いの記録である。
梨木さんは、いろんなところに住んだことがあるらしい。
自分も、自然の中に暮らしてみたいと思う。
身近に聞こえてくる鳥の声に耳を澄ませたいし、姿に目を凝らしたい。
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布張り、ケース付きの豪華な装丁!カラスや雀のような身近な鳥から、山で見られるらしいサンコウチョウという鳥まで、梨木さんが出会う鳥たち、そして草木の話。一つ一つは非常に短いけれど、梨木さんらしい生き物への愛、溺愛というのではなく、適切な距離を保ちつつ温かく見守るような、彼らの目線の風景や生き方に寄り添うようなまなざしに満ちたお話で、読んでいてすっとする。
それぞれについているユカワさんの絵、その「鳥」たちが溶け込んだ風景を写しとる長島さんの写真もとても良い。私たち読者の心に浮かんでいる梨木さんのお話のように、引出しの枠の中にいながらも鳥たちが生き生きと存在感を放っている。
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なんて素敵な本!
箱から出すと表紙はクロス張り、葦原に佇むコサギの紋様が金箔押しで描かれている。
見返しの紙も中扉の紙の色も質感も美しい。
梨木香歩さんの鳥と草木にまつわる随筆は良いのは勿論のこと、ユカワアツコさんが古い箪笥の引き出しに描いた鳥の絵がまた良いのだ。
その絵を雰囲気のある写真に仕上げているのは写真家の長島有里枝さん。
三人の女性が織り成す美しい世界にうっとりする。
梨木さんは「新しい形のバードウォッチング」という表現をしている。
コロナ禍でバードウォッチングに行けないとき、この本を開きたい。
鳥や草木が描かれた引き出しは、外へ広がる小窓、鳥が棲む森や水辺を双眼鏡で覗いているよう。と同時に自らの内にある鳥や草木の記憶を覗き込んでいるよう。
不思議な感覚のバードウォッチングを梨木さんに導かれながら楽しんだ。そんな贅沢な時間でした。
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雑誌「母の友」に連載していた鳥と植物のエッセイ。エッセイを彩る絵と写真が秀逸。古い箪笥の引き出しに描かれた鳥と鳥が止まっている木。どれも日本国内でなじみの鳥や木々。その引き出しがおかれているところは、古風な日本家屋の一角。場所のチョイスも素晴らしい。エッセイ、絵、写真が三位一体です。
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初読。図書館。”古い引き出しに描かれた鳥と木”×”絵が景色に馴染んだ写真”×”対象への愛に溢れるエッセイ”。贅沢な組み合わせを堪能した。鳥と植物の組み合わせをこのように提示されると、自分がこれまで単体としてしか見てこず、自然な組みあわせの存在に気が付かなかったことに恥じ入ってしまった。鳥や木の名前がすらすらと言える大人に憧れます。
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綺麗な絵と写真で癒された。
梨木さんの文章を読むと、まるでその場で鳥を見ているような感覚になる。
まさに、新しい形のバードウオッチングである。
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この本はエッセイであり写真集であり美術本でもある。今まで1番好きな本は家守綺譚だったけど同一一位に並びました。なんて素敵な本なんだ。
古い箪笥の引き出しに描かれた美しい絵に、梨木香歩お得意の鳥と植物に関する造詣の深い短ぬ美し文章が添えられている。絵を写真に収め、その撮影場所と絵のバランスも素晴らしい。
何度でも読み直したい本。買って良かった。
1番好きなのはサンコウチョウ。
月日星。三つの光で三光鳥。
見た目だけでなく囀りも名前も美しい。
どこを切り取っても好き。
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「これは新しい形のバードウォッチングではないかと思った。アウトドアとは無関係の、ごく個人的な内界を覗き込む形の」(梨木香歩)
作家・梨木香歩による四季の野鳥と植物をめぐるエッセイ集。梨木が綴った鳥と草木の姿を画家・ユカワアツコが古い抽斗の中に描く。その抽斗を写真家・長島有里枝が街に連れ出し、撮影した。言葉、絵、写真が織りなす三重奏です。
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箪笥の引き出しの底、坂戸に描かれた鳥。
日本家屋にポンと置かれ、
撮られた世界が、鳥の声の聞こえる
昔懐かしい記憶が蘇りそうな世界。
写真を眺めているだけでも
どこにもない、美しい図鑑のような。
鳥のこと。木のこと。
その文章も、ほぅ! と思ったり、
その景色を読み眺めるような想いに浸り。
美しい世界に、しっとりと馴染むような
読書時間だった。
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エッセイと抽斗の底に描かれた鳥たち、その抽斗がひっそり佇む日常を切り取った写真。三つが縒り合わされた作品集は、見つめていると深淵に吸い込まれるような心地がする。
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大変趣向を凝らした粋な本だなぁと。箪笥に描かれた鳥の美しいこと。
ゆっくり鳥の図鑑とか傍らにおいて生態とかも学びながら読めばどんなに理解が深まるか…図書館で借りているから返却日を気にしながらのもったいない読み方をしてしまった。
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これは美しくて、手もとに置いておきたい本だ。梨木さんの本が好きなのだけれど、鳥の名前はなかなか覚えられないので、絵と写真が添えられているのはありがたい。というか、九州出身の梨木さんと、北海道出身の私では、なじんできた植物や鳥が違うんだろうな。
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(大人の)両手に拡げて しっくり
その重さも 心地よく
なんといっても
梨木さんの「文」もさることながら
ユカワアツコさんの「絵」
長島有里枝さんの「写真」
生島もと子さんの装丁
のそれぞれが
自己を主張することなく
しっくりなじんで
それぞれがそれぞれに優しい
極上の本
まさにこの言葉に尽きます
福音館書店の編集者さんに感謝
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梨木香歩さんの鳥と草木についてのエッセイ、ユカワアツコさんが抽斗の底に描いた美しい鳥の絵を長島有理枝さんが撮った写真で作られた素敵な本。
背景によって抽斗に描かれた鳥の絵がまるでそこに自然にたたずんでいるかのようだった。梨木さんのエッセイも、鳥に対する愛情が感じられた。ページをめくる度に、鳥のさえずりを聴いて癒されたくなった。
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母の友2017年4月から2020年3月連載分を単行本化。目次がまた印象的な、鳥に関する梨木香歩さんのエッセイと、その鳥を古い箪笥の引き出しに細かく描写したユカワアツコさんの絵を、長島有里枝さんが様々な本当に美しい背景の中写真に収めている。それぞれのプロフェッショナルの本気度がぶつかり合っていてページをめくるたびにめまいがするような感動。
本物の鳥の写真よりもインパクトがある。私自身、鳥の区別がつかなくて名前も全く詳しくなく、それぞれにエピソードがあるのにも驚かされる。あとがきでは、この企画を考えた編集者の仕掛け、勘案の見事さについて、梨木さんも賞賛している。
猫丸センパイ、こちらの本教えてくださってありがとうございます。