紙の本
文春の流儀
2021/06/22 01:37
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨今では「文春砲」と呼ばれるスクープで有名だが、著者はそうやってもてはやされる風潮をよしとはしないらしい。もちろん公人である政治家についてはきびしく報じるが、スクープばかり狙っていても毎週の連載を楽しみにしている固定の読者への配慮も大切で、という経験者だからこその意見だと感じた。また、スクープを狙う記者たちの努力についても記されていてとても面白かった。記者たちが現在それなりの立場にいることから、やはり偉い人は現場に居た頃から違うのかな、と思ったり、最後の社長の話でそうじゃないのかな、と思ったりした。
和歌山毒物カレー事件、オウム真理教事件などの事件に対する報道から、松本清張、石原慎太郎、司馬遼太郎などの文豪たちの面白い裏話など幅広く収録されている。
これらを読んだ上で、最後の文藝春秋社内の問題は読んでいて悲しくなった。
紙の本
仕事を辞めたら自身の仕事史を書いてみよう
2021/06/17 16:12
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人生100年時代といわれ、さらには少子化による労働人口の低下もあり、この4月から「高年齢者雇用安定法」が施行されました。
これによって、企業は定年を70歳まで引き上げたり、70歳までの継続雇用制度の導入が求められます。
働く側からすれば、多くの人はこれによって半世紀近い歳月を企業内で過ごすことになります。
つまりは、人生のほとんどということになります。
かつて定年退職した人たちが、それまでの自身の半生を省みて「自分史」を綴ることが流行りましたが、これからは自身の職務経歴を文章で残す人が増えてくるかもしれません。
出版社の文藝春秋一筋、「週刊文春」や「文藝春秋」の編集長を務め、常務取締役を最後に退社した木俣正剛さんが書いたこの本も、そういう点では自身の仕事史を綴った著作です。
読み手の興味を引くのは、文春砲と呼ばれる週刊誌であったり芥川賞直木賞の選考会の司会といった、あまり普通の人が体験しない仕事のことが綴られているからです。
出版業界の人の仕事史は、裏話がふんだんにあって面白いのも事実で、この本にも松本清張さんの話とかオウム事件のような世間を驚かせた大きな事件の裏事情が書かれていて、それは週刊誌の面白さに似ています。
最後には後輩社員たちへのエールや文藝春秋への応援が記されているのも、長年そこで仕事をされてきた人だからこそ書ける思いではないでしょうか。
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「文春砲」などと言われるより昔のハナシ多し
2023/02/11 21:55
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投稿者:sakuraんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『週刊朝日』の休刊が話題をさらっているいま読むと、なお趣がある。
『働きマン』でも週刊誌という存在について考える場面があったけれど、本書にもそれがある。新聞ほどの速報性もなく、書籍ほどの専門性もない。しかし週刊誌のスタンスでこそ書ける記事や連載がある。
スキャンダル専門誌のように扱われることもあるが、本書を読むとそうあれも、これも文春がスクープしたなぁと思い出すこともあり、けっこうリーダビリティのある一冊でした。
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『週刊文春』や『文藝春秋』の元編集長が向き合った人物や事件! 多くの成功と失敗からはマスコミが担うべき役割も見えてくる。
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読み易いが、骨太な話が多かった。戦争の話は、今まで避けてきたけど、これからは読んでみようと思った。
ありがとうございます。
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最近、さらに威力増している「文春砲」の舞台裏に期待したが、どうしても単なる自慢話に。芥川賞の選考舞台裏も興味深いが、石原の件などマユツバの裏ドリは?松井社長の件も歯切れ悪すぎ。でも頑張ってほしい雑誌ではある。
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筆者は文藝春秋、週刊文春の編集長を経験し、今は大学の副学長をしている。若かりし頃から携わった記事や取材対象となった著名人達との濃いエピソードが紹介されている。
編集方針は「権力を監視する」というものがあり、今でも「文春砲」という名前で権力者の不正を暴き、権力者の監視役としての役割は果たしているようだ。しかし一方で下世話なスキャンダルや「盛った話」で大袈裟に書いたり、事実と異なることを書くこともある。実際、数多くの訴訟を起こされて敗訴しているものも多い。
取材方法、取材対象との生々しいやり取りは興味深く読めたが、正当とは言えない記事に関する反省の箇所はどこか逃げの論調になっている。あまり好感は持てない本だった。
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これは文句なく面白い。ジャーナリストの矜持と苦言も含めて文藝春秋社への愛に満ちたエピソードが非常に面白かった。
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週刊文春や文藝春秋の元編集長が語る文藝春秋社の社風。ジャーナリズムの矜恃。
文春砲ばかりが注目される昨今ではあるが、週刊新潮と共に週刊誌ジャーナリズムの優等生の週刊文春。取材や編集にまつわるエピソード。編集長としてのポリシーなど。
おそらく定年まで勤めた文藝春秋社に仁義を切ったのか、出版社が中央公論社ナノが面白い。中央公論社を退職し河出書房新社から処女作「時刻表2万キロ」を上梓した宮脇俊三を思い出した。
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「文春砲」という激しい光の裏側に、これだけの歴史や積み重ねた取材が
あるということを知った。
そして、スクープだけではない週刊誌の役割に気づかされる内容です。
元編集長だから書けた一冊だと思います。
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故あって、著者が東京新聞の夕刊に連載しておられた本書のもとを拝読していた。もちろん地元では同紙は売られておらず、複写を取り寄せてだが、お目こぼしのほどを。さらに先だっての講演も拝聴しており、改めて愉しく思い返した。と、失礼ながら『週刊文春』を一度も購入したことがなく、病院やら銀行やらの待ち合いでめくった程度だ。もちろん「文春砲」なる言葉は耳にするが、さして興味もない。ただただ、ジャーナリストの苦労はもとより、やはり苦手に思うその生態系をここに確認する。おべっか使いの悪い上司○○さん、よぉく存じております。
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「文春」に対する先入観が良い意味で裏切られた本。
文春といえば、いまや「文春砲」、有名人のスクープ記事を書いてボロ儲けしている攻撃的なイメージが強く、私自身も、本書を読むまで、恥ずかしながら、その印象しかなかった。
「週刊誌」と聞くと、どうしても、「人の嘘や秘密を暴いてニヤニヤ楽しんでいる記者」が思い浮かんでしまうのは現代においては仕方がないことなのではないだろうか。
しかし、本書を通じ、文春が、政治、経済、文化、芸能、歴史、皇室etc…と幅広い分野に人脈を広げ、徹底的に取材し議論し、「常識」とは何かを読者に常に問いかけているのだということ、大手メディアにはない「雑誌ジャーナリズム」に誇りとプライドを持って記事を作ってきたのだということを知ることができた。
まさに、本書に記載されていたとおり、雑誌は、「いつも人を裏切り、人を傷つける」だけではなく、「人を助ける」こともあれば、「一緒に悪事と戦って成果を得ることもある」のだと、認識を改めることができた。
他方、本書を通じて改めた文春への上記の認識が本当に正しいかをちゃんと確かめる必要がある。今週、初めて、「週刊文春」を(これまで巻頭のスクープ記事ばかり読んでいたが)端から端まで読んでみたいと思う。
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文春砲という言葉が言われるようになって久しいが、週刊文春、文藝春秋の編集長を経験してこられた著者の裏話の数々が楽しい。その昔、「田中角栄の研究」(立花隆)、「三浦和義・疑惑の銃弾」、山崎拓の不倫事件、「貴花田・宮沢りえの破断の真相」、酒鬼薔薇聖斗などが懐かしく思い出される。文春がライバル新潮社に大きく後れを取っている中で、特長ある週刊誌の路線を取りそれが成功してきたわけである。著者と作家たちの交渉の逸話の数々も愉しい。松本清張、石原慎太郎、山崎豊子、司馬遼太郎、宮部みゆき、林真理子、阿川弘之・佐和子たち。特に司馬遼から「木俣秋水さんの縁戚ですか?」と京都新聞記者だった父の名を出され、その文章を褒められた時の逸話は感動ものだったと思う。
この他、浅利慶太、磯田一郎、鈴木敏夫(ジブリ)などとの接点の記事も面白い。
三笠宮崇仁親王の「日中不戦の誓い」の分析文を紹介していたが、これには天皇の弟親王の凄さを改めて感じた。
タイトルにあるように文春という会社も含め、著者のジャーナリストとしてのモラル観、矜持を感じた。
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「文春の流儀」は、文春社員によって違い、十人十色だと思う。
文春砲をOBとしてどう見ているのか、その内容が興味深かった。