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R-18文学でデビューと聞いて、官能小説家なのかな?と思いながらも、
立ち読みしたぎょらんに魅せられ(はやく文庫化してください)、書下ろし小説のコンビニ兄弟でほのぼのながらもはっとする切り口の文章に魅せられ、
気になる作家さんに躍り出た町田そのこ。
R-18文学デビューかぁと倦厭した自分をぶっ飛ばしたい。
引き込まれる冒頭一文、大団円なハッピーエンドではないほろ苦さを感じる終わり、美しい表現、生き悩む登場人物たち。すべてが魅力的で、大好きな話でした。
余談ですが、小説家になった経緯がおもしろかった。
もともとのポテンシャルが高かった人だろうけど、
とんとん拍子で小説家ってなれるものなんだなあと感心した。
本屋大賞2021もおめでとうございます。
早く文庫化してください。
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町田さんの作品って生きていて苦しいところや目を背けたくなるようなところを敢えて忠実に描いていてこの作品もそう。泥水の中でもがき苦しんでいるように、こちらまで苦しくなる。もがいてもがいて、それでも前に進もうとする姿に少しずつ、水が透き通っていく感覚。泳ぎきって海に辿り着くまでの道のりは遠いけど必ず繋がっているのだと。そう最後に見せてくれる。
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ものすごく良かった。
話が全て繋がっている。この感覚。
町田さんが氷室冴子のファンだと知って納得。
氷室さんのいろいろな人が主人公になり話を描いていくのが好きだった。それを思い出した
5話とも切ない話だけど、なんか希望があるなあ。
やっぱり素敵な作家さんです。町田さんは。
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なんだろう…この感覚。
1つ1つの話もいいんだけど、この5つのお話が掛け合わさったときの美しさ。
仕掛けや繋がりにも「あっ」となるんだけれど、もっと浸される…みたいな…
何度でも読みたい。
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最初、重い話で短編かぁ〜と思ってたけど、どの話にも繋がりがあって、本当に伝えたい内容は重い話という言葉だけでおさまらない深い意味があった。
表面では、最悪な人ありえないって思っても深く知れば、いろいろある。
啓太、晴子、高橋さん、芙美さん、沙世、唯子、宇崎くん、桜子、清音、みんな生きるために決心して戦ってる
辛いことがあっても自分にあった生き方をしてる。そういうところが良かった。
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2021.4.23
よかった。最初から最後まで。
ぐんぐん物語に引き込まれていった。
大人だって子どもだって、いろいろ考えて悩んで生きている。その当たり前だけど忘れがちなことを、やわらかく丁寧に描かれていた。
世界を俯瞰してみれるような、心が優しくなる作品でした。
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本書はそれぞれが完成度の高い独立した短編からなる連作短編集である。それぞれの短編には異なる構成や味付けが施されているのだが、全体を通して読了後に感じる暖かい人間味に一貫性がある。
また、読み進めるとそれぞれの作品の中で登場人物が重複していることに気付く仕掛けが施されている。その仕掛けが絶妙で心憎い。
本書が著者のデビュー作だとは驚きを隠せない。
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一つの街にとどまる生きづらさを水槽の魚に例え、さまざまな人のストーリーを詰め込んだ短編集。
少しずつストーリーが繋がっている、というか、登場人物が繋がっていて、次は誰の話になるんだろうか、とわくわくできた。
個人的には、どの話も少し痛々しくてしんどくて、今辛い悩みを抱えていない自分には正直刺さらない…自分も頑張ろうとは思えてなかった。
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「52ヘルツのクジラたち」よりこちらの作品の方が好みでした。
この物語を包んでいる雰囲気は決して明るいものではないけど、刺さる言葉がたくさんありました。
"この水槽の向こうにはもっとたくさんの水槽があるんだよね。水槽どころか、池も川も、海だってある。いちいち怖がってたら、生きていけない。
あたしたちはこの広い世界を泳がなきゃいけない。
おばあちゃんはもう助けてくれない。お父さんはあたしと暮らすのは無理だって言う。それならあたしは、どこでも泳いでいく覚悟をしなくちゃいけないじゃない。"
"嫌だよ。怖いよ。でも、あたしは考え方を変えるの。啓太くんがここを離れても生きていく覚悟を持って泳いでいるのを見たら、あたしもやれるはずだって思ったの。あたしだって、できる。泳いでいける。"
この覚悟って大人になっても必要だなと思いました。私は特に慣れたところから飛び出すのが怖くて同じところに立ち止まってばかりいるけど、このセリフのような覚悟をもってどこでも泳いでいけるようになりたい。
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すごい連作短編小説でした。
短編小説とは思えないぐらい1つ1つのお話が濃くて、深くてびっくりします。
はっとさせられる繋がりや展開があって、何回も「うわあ!」ってなりました。こないだ吉本ばななさんを読んだときみたいな、登場人物の思考の動きもすごく鮮やかで、暗くて静かで深いお話と思いつつ、ちゃんと光が見える、とてもとても不思議な小説で驚きと感動でいっぱいです。
つぎは、買っておいたクジラの本も読むぞ。
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5篇からなる連作短編集。
暴力、いじめ、ネグレクト、トランスジェンダー、不倫、放浪癖、DV。
誰もが生き辛さを感じていて、悩み、苦しみながら、それでも少しでも楽に息が出来るよう、生き方を模索し、生きていこうとする姿に、胸を打たれた。
そして、とても優しい。
誰かは誰かを想い、想われて、その先に光が見えることが希望につながる。
これがデビュー作だなんて衝撃。
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これがデビュー作‼︎と驚愕する作品。良い意味で、デビュー作ならではの荒々しさがなく、洗練されていました。文章がとても綺麗で、構成も素晴らしい!それぞれの短編からつながりを見つけると、あぁここで繋がっていたのか、と少し幸せな気持ちになる。
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5つの話からなる短編集。
5つの作品は登場人物が少しずつ重なっていて、色々な角度から物語を楽しめる。
どの話も、それぞれ登場人物たちが抱える問題は大きなテーマを背負っていて、時々目を瞑りたくなるようなものだけれど、作者の描く人物はそれに立ち向かう強さと周りに助けを求められる優しさに満ちている。
ここで生きていく人と、ここではないどこかで生きていく人。自分の生きやすい場所で、自分の居場所で、生きていけばいいんだと思う。
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著者の名前に親近感を抱き、表紙と題名がキレイで手に取った一冊。淡々と平穏だな、それが第一印象。でもどれも穏やかなまま気づいたら坂道上って、息ついてキレイな景色に出会える、描写そのもの。
日曜の昼間に読んで良かった。
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うーわー。
とても良かった。
水みたいなさらさらとキラキラした文章に隠れてるので忘れがちだけど、内容はそこそこヘビーだ。
それでも筆力のせいか、重さを感じさず読みやすい。なんだかとても綺麗な世界を見たような気にさせれる。
またどの作品もタイトルがいい。
「カメルーンの青い魚」は、こーゆー展開?でハッとさせられる。一番好きだと思った「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」は前作の啓太が主役。
タイトルがやっぱりいい。
「晴子が孵化した」なんて文章出てこないよー。
「波間に浮かぶイエロー」もとても良かった。環はなんなんだと思ったけど、ひたすら傷ついて子供のようで不防備で傲慢で、鼻持ちならないけどたしかに嫌いになれない。芙美さんもまたいい。
他の作品も読みたいな