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p43 研究論文 米国では出版から1年でオープンアクセス
p127 どんな技術にも「確率的な害」がある
ISO ある程度複雑になったシステムには「絶対安全は存在しない」という考え方がある
p129 巨大システムで事故が起こったときには、システムの問題点を洗い出し改善するために改善するために個人の責任は問わないほうがいい
絶対安全が何かの理由で既存されるから事故になるという思想が日本人の根本にあるからだ
p137 なぜ皆に判断に参加すべきかと言うと、国民みんなで判断したら正しい判断ができるからではない。どんなに精査しても「絶対正しい判断」というのはできない。だから誰か「偉い人」に任せればいいということでなく、皆での判断なら、その結果が悪くとも決めたこととして皆で感受するしかないーーそういう諦観が民主主義の本音であることだ
p139 確かな指針を求める人にとっては不安かもしれないが、結局すべての「正しさ」は、「0か1か」ではなく「程度の問題」だ。これをしていれば大丈夫という絶対安全はどのにもなく、状況に応じてリスクやコストのバランスで、全体としての安全の確率を上げることしかできないということだ
p140 どう判断しても、将来的には間違いとなるかもしれない。唯一言えることは、この複雑な問題に対し、極端だからこそ単純で魅力的なー「0か1か」の解答を求めることは絶対間違っているということだけなのだ
p155 「正しさ」を程度で判断するしかないハードな状況が続く。つい「0か1か」の解答を求める気持ちもわかる。しかし残念ながら、そんなものはないし、求めること自体が状況を悪くするなら、それは間違いというしかないのだ。
p195 繰り返しになるが、ベイズ推定の本質は「正しさは確率的で、絶対的なものではない」ということだ。そして、その有用性が前代のAIを支えている。そしてその「程度の問題」という諦観こそ、ベストエフォートに基づくシステムー社会を支える哲学なのである
p229 エストニアと比べ危機感のない日本のマインドセットの転換として、特に重要なのが「やめる勇気」だ。これまで日本のデジタル化では「こんな素晴らしいことが可能になります」というような「夢」は語られるが、そのために何かをやめるということは語られない
日本の戦略のほとんどが「足し算」ばかりだ。何かを「やめる」という「引き算」は既得権益陣営の抵抗が大きいから、大方針で明示したくないということなのだろうか。しかし、軍事なら常に「攻め」だけということなない。そして「引く」ときこそ、うまく戦略を考えないと戦線が崩壊する
もやは明確な断捨離戦略を書かべる時に日本はきている
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コロナ禍によって、日本のデジタル化が世界から遅れていることが明らかになったタイミングで、DX(デジタルトランスフォーメーション)について書かれている本書を読めてよかった。
取り上げられている話題は、AIやPCR検査から行政手続きまで幅広いが、著者が強調しているのは、社会それも日本社会が変わること。いつまで従来のやり方の日本に強烈な危機感を持っているのが分かる。
時に過激な言質も混じるが、コロナ禍を契機に日本が変われるかどうかの瀬戸際に立っているとの認識故だろう。
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個人的には第5章「オープンの哲学」から第6章「程度の問題の科学」が面白った。例えば「絶対安全」と「機能安全」の違い、「機能安全」を確保するための「プロセス認証」のアプローチ。「機能安全」はサイバーセキュリティでは「任務保障(mission assurance)」とも語られるコンセプトだと思う。この話からAIの話へと流れていくのがとても自然でわかりやすかった。
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例えば、紙でやっていたことをITで代行するのは、カイゼン。ITを利用して、考え方を根本から変えていくのがDX。
必要なのは、オープンとクラウド。その為には、全か無かの割り切りではなく、リスクと確率の考え方。そこからベイズ推定、感度、特異度の話にも展開する。
思ってたより全然面白かった。
TRONで有名な坂村先生で、昔の職場の仲間から、かなり強烈な方だと聞いていたののだが、極めて理論的で読み易い論を展開。
良かったわ。
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どうも本筋とは違う話題に多くの紙幅がとられています。
科学に対するリテラシーの低さを、昨今のCOVID-19に関する街場の意見みたいなものがいかに愚かしいか、という例で解説されているのですが、「DXとは何か」を解説しようというより、DXなんてものに社会的に取り組んで行こうっていうなら皆さんもっと姿勢よく勉強しないとだめですよ、って主張に全力が傾けられているように感じました。
必要なパートではあると思いますが、COVID-19に関する私見も多く語られており、雑談めいた内容も散見されます。
ただでさえ短い新書の内容が、書名と異なるもので占められるのは読者として看過できないと思うのですがいかがでしょうか。
第一、定義も不明確なバズワードである「DX」を「とは何か」と解説することに無理があるような気がします。
よりキャッチーで売れそうなタイトルを付けなければならないということなのでしょうか。そこに破綻が見られたように思います。
せめて、コンピューティング、ロボティクスの現在地を解説した上で、今後応用が期待される分野とそれにあたっての(とりわけ我が国での)課題を外観するというのが、それこそ正しそうな語り方だと思うのですが、どうもそういう内容は少なかったようです。
ただ、「程度の問題」について力を込めている点や、AIの仕組みがわかりやすく解説されている点は良かったと思います。
新書ではなくて、たくさんのページをつかって、しっかりとした構成で著された別の本を手に取りたいと思います。
もしかすると、角川新書側に問題があるのかもしれません。
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「DX」日経新聞には毎日のようにこの言葉が載っているといっても過言ではないほど頻繁に目にするようになった。「デジタルトランスフォーメンション」の略だが、「え?じゃ、どうして”DT”じゃないの?」という素朴な疑問をもった私に、本書は回答を提示してくれた。スッキリ。さらに、DXは手段ではあり、目的ではないこと。やり方を変えるのは技術力ではなく、我々の意識改革であり、変える「勇気」であること。第1章から「勇気」が沸いてくる構成だ。
印象に残ったのは第5章のオープンの哲学。100%の安全を大前提としてしまう日本人気質に警鐘を鳴らしている。高品質を得意とする日本の技術力に対し、プロセス認証に基づく機能安全を主流とする欧米が”反撃”という構造。なるほど。安全に対する認識も大きく変わった。
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猫も杓子もDXで、そろそろ真面目に勉強しなければ…と大先生の新刊を手に取った。
『DXとは何か』が分かった!というほどでもないにしても、基本的な考え方は理解できた(ように思う)。学生時代にプログラミング(BASICとか)もかじっていて、最近の言語でプログラミングを始めようかと思っていたのだが、当時とは基本的な考え方が変わっているようだ(昔より、葉ハードルは低そうだ)。
ちょっと本題とはズレるが、「『選択と集中』が、こと科学技術の分野では望ましくない」「現在のデフレ傾向も、中間層の圧縮により、そこにかかっていたコストが消えたことが根底にある」とか、PCR検査に関する考察とか、さまざまな社会事象を分析したくだりに納得感があって、面白く読んだ。
「危機感のない日本のマインドセットの転換として、特に重要なのが『やめる勇気』だ」とは、今まさに多くの会社が直面している状況だろう。昔のカンバン事業にこだわっている会社の上層部にぜひ読んでほしい一冊。
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機会があり著者・坂村健先生のお話を聞くことがあった。
工学博士としては勿論、とても引き込まれるお話で是非とも著作を手に取ってみたいと思いあまり馴染みのない世界に足を踏み入れてみました。
なかなか聞きなれない単語もありながらも、解りやすい解説でボンヤリながら情報の世界の入り口が見えたような気がする。
DXが進まないのは、日本人の国民性も大きいのだということは根本的な所での躓きでこの国では世代交代が進まない限り抵抗が大きいのでは・・・。だいたい、国会があんなに密で行われているようではこの議論は国主体では絶対に進まないだろう。折角のデジタル庁が上手く進められることをきたいしよう。
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2章くらいまではなるほどと思って読んでいたが、その後話があちこち飛躍しすぎてあまり頭に入らなかった。6章は苦痛だった…
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「TORON」の開発者の人のDX論
単に企業の組織論に終始せず、「新しいものを恐れる」日本の抱える足枷についても掘り下げてあって読み応えがあった
1番最初にRPAはDXではなく制度改革こそが本質と言い切るところに小気味のよさを感じる
オープンデータ、アジャイルといったエンジニアにはお馴染みの話題から、「正しさ」とはデジタルではなくアナログな指標といった哲学的な話題まで隙なく揃えている印象
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DXを進めるにあたってのマインド、心の持ち様を示してくれています。オープン、アジャイル、程度の比較、ベストエフォートなど、DXを進めていく上で必ず突き当たる課題と考え方、変えていく勇気が大事であることを理解できました。
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DXの解説から掘り下げ、新型コロナ渦における事例も引きながら、何故、DXが進まないかまで考察する。技術ではなく、考え方や制度の問題だと。例えば、台湾はオードリータンが仕組みを作り、マスクの転売を防ぎ、必要な数を国民に配分した。しかし、同じ仕組みを適用しようとも、日本は国民がマイナンバーカードなどのデジタルツールの活用が普及していない。これは国民の意識の問題だと言う。また、DX化の人減らしの側面は、労働組合とも衝突しかねない。この本では、綺麗事ではないDX化における「リアル」が語られている。
だからこそ、破壊を伴う革命、革新の精神で臨まなければならないという事。必要なのは意識、覚悟か。
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DXを基本的に理解するに最適な内容。
このような本を多くの人が読んでおくことが今の日本に必要でしょう。
(DXの技術的な面での解説は少ない。仕事でDXを担当する人はこの本では不足でしょう。)
現今の大きな問題点を取りあえげて根源的な問題解決への道を説いている。
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DXが単なる情報化と違うのは「構造改革」という意味を本質的に持っている点、と。
また、「変わることへのモチベージョン」が大事という指摘もなるほどと思った。
エストニアのように、先進国を追い越すために、多くの国民が納得してこそ、行政手続き含めて「国のやり方を変える」ことこそDX、
―そうだとすれば、社会インフラも経済も成熟した先進国よりもカエル跳び(Leapfrogging)が起こり易い途上国のほうが有利なんだよな、本質的に。
フランス北部のスーパーで、自作のセルフスキャンレジを備えたという事例も、「やり方を変える」ことの説得力がある。クレジットカードやメアドのない客や、不正入力や間違いは、せいぜい1%前後だとして気にしないという姿勢が本質なのだろう。
北欧のトラムでも感じたように、「客を信用する」ことで、「ほめられた気になり裏切らない」ということになるのだな。
それにひきかえ、確かに本書のいうとおり日本のスーパーのセルフレジの精密さたるや。。
こういう、いわば「性善説」的な受け止め・仕組みがないと社会は変容しないよな。マイナンバーへの食わず嫌い(?)な、厳しい反応や拒否感も然り。
「考え方を考える」ためには、旧来から染まっている価値観を相対化して改める努力が必要、、、
そういうことなのだとすれば、海外(とくに感度高い途上国)の施策に学ぶことも不可欠なのだろう。
※但し、序盤とラスト以外は本論から外れていてDXの理解とは程遠く、内容が薄い本であった。
言いたいこと→(関係ない話)→言いたいこと(再掲)、という文章構造。。
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DX デジタルトランスフォーメーション ITを社会のプラットフォームとしてDXによる新しい民主主義社会を築こうと坂村先生は提唱している。非常にバランス感覚のあるウィングの広い見識を持った先生だ。文科系の知識も兼ね備えた先生が執筆した、非常に奥深い内容ある本だった。
今までの役所の仕事のあり方セットアップして、新しい仕組みを作ろうと言っている。僕はフェーストーフェースも大事だと思うけど、DXはコロナによって必然の社会になるのだろう。