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第7世代がどんな存在であるかをあまり考えずにぼんやりバラエティを見てた者なので、西森路代さんの指摘をはしめ、彼らが相対化したエンタメ業界の問題点などを俯瞰する一冊になった。ドラマの章は見ておくべき作品のリストが充実したのと、楽しみ方、見るときの視点を得られたのでまぁまぁ満足。
点数低めなのは、リアルタイム性を意識したためか、各々のフィールドから語るのみにとどまってしまっている印象があるゆえで、とても良いことを書いてるので、わかりにくく、伝わりにくいものをもっと伝える努力があってもよいような、と思ったからである。わかりにくいものはわかりにくく、文脈も複雑なのは承知の上で。
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以下は散漫的に思ったことを。
バラエティについて。何がホモソーシャル的な振る舞いなのかを、敏感に感じ取って、なんとなく受け流される空気に違和感を残しながら生きるのではなく、スッと冷静になりたいものだと思う話しだった。
女性芸人のキャリアの話も興味深い。the Wをようやくまともに観た昨年、女性のお笑いキャリアをどんなふうに見ればいいものかいろいろ考えたが、女優ほど異世界に住む人ではない、自分たちの世代のロールモデルということばが結構しっくりきた。自分が吉住をみてちょっと元気が出たり、渡辺直美やプルゾンちえみの海外展開へのエネルギッシュな姿を見てまたそれはそれて心が元気になるのもそういうことなのかもしれない。
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ドラマの批評では、「身近な共生している恋人や家族による知らずしらずの加害性と、そこからのいきづらさ」についての章が個人的な関心の真ん中だった。リアルな社会はどちらかというとそっち側(自分も実親による「オンナの人生」の固定観念と日々静かに戦っている)なので、ドラマが逆に辛くて見られないとか、深く共感する人々がSNSでハッシュタグを介して思いを吐露する姿に繋がる。
そして最後の章、周縁化された人々、マイノリティの物語のリプレゼンテーション(再現前性)というのは自分に足りない視点だなと内省する。この本に登場される方々の地道な批評活動と、視聴者がその視点を内在化することの繰り返しが、コンテンツ側を変えていくのだろうか、視聴者側として努力を絶やさないようにしなければ。
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気になるドラマが立て続けに始まり、社会人になってから今1番テレビを観ているので気になって購入しました。
テレビを観る人が年々減ってきているなか、特にジェンダー意識に焦点を当てて今のテレビの問題点を洗い出していくという内容。
テレビが面白くなくなったのは、言いたいことが言えなくなったからではなく、時代の変化に合わせず昔は良かった精神で価値観をアップデートしないからなのではないかと書かれています。概ね賛同ですが、お笑い第7世代の台頭やテレビドラマではジェンダー意識が洗練されたものも増えつつあり希望も微かにあるということです。話題に上がる作品や番組を観ていなくても勉強になり、むしろ観るきっかけになるかと思います。これを読んでからだとテレビの見方が変わりそうです。
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若い人がテレビを見ないと言われて久しい。それでもテレビの影響力は少なくない。
男女平等やジェンダーに関して社会が大きく変わる中、男性中心のテレビづくりや番組の現状と問題を指摘する。
特にフェミニズムとドラマは、恋愛中心のドラマに見える変化を分かりやすくまとめている。
テレビの見方が変わるはず。
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最近のテレビ番組をフェミニズムやジェンダーの観点から批評した一冊。ドラマ編は膨大な作品群を基に考察されておりとても勉強になった。ただ、バラエティ編はそれに比べると物足りない。P.71に「女性同士のゆったりした時間のなかで生まれるたわいない会話を楽しみたいというファンもいる」と書かれているということは男女で笑いの感性に違いがあることは認める立場に立っているわけで、それであるならばもっと根本的に男性的な笑いや女性的な笑いといった笑いのメカニズム・暴力性から論じないとフェアではないだろう。また「ほとんどテレビを見ない」と自ら宣言する人がこのテーマで書くのはさすがに無理があるのではないか。桃山商事は好きなので尚更残念だった。個人的にはフェミニズムにも濃淡や流派のようなものが生まれてきており、一括りで論じるには主語が大きすぎるようになってきたと感じる。
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最近のテレビドラマやバラエティにおいてのフェミニズムやジェンダーについて考えていくとても面白い内容。
テレビ離れしている若者が増えている、とは報道されるものの、細かくなんで?ということはあまり説明されていない。もちろんYouTubeやNetflixのように自由な時間に観れるコンテンツが増えたからと推測されるが、最近のテレビが時代に追いつけていなくて若い人たちが違和感を感じて離れていってしまっているのではないのかと話している。
お笑い界でここ2年くらいで出てきた「第7世代」やフェミニズム観点で見たバラエティやドラマ、「愛の不時着」「梨泰院クラス」をはじめとする自粛期間でとても人気になった韓国ドラマのジェンダーロール、BLのドラマ、など数多くの視点で考察されている。
とても充実した内容だったので、もっと深掘りしてほしいくらい物足りなさを感じた。
最近芸人さんのYouTubeにハマっているため比較的周りよりバラエティ番組を観ることが多いと思うが、ジェンダーなどからは切り離して観ていることが多いため、受け入れてしまっているものもあるかもしれないと反省した。もっと注意して見ていかなければならないと感じた。
本の中で繰り返し紹介されていた「問題のあるレストラン」をまず観るところから始めたいと思う。
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武田砂鉄さんの文章が読みたくて手に取った。
フェミニズム、ジェンダーって女性でも難しい。
常に感じてしまうのは、子供を産んで育ててないと女としてダメなのかとか、異性に選んでもらえるようにしないと、という地下の強迫観念。家族という概念が多様化しつつある現代だが、育ってきた環境がそう思わせないのか。自立して独立して生きていけるはずなのに、なぜそんな文脈を持ち続けないといけないのか。とはいえ、ちやほやされることは快である。この矛盾。
お笑いや、ワイドショーはホモソーシャル感が強いのは昔から変わらない。
その構造追従は認めるが議論は認めない、そして自分の周りには通常してくれる女がいるだから議論をする女は困る。要するに自分の意見を言えるしかしその場の意見が固まってきたときにはそちらに合わせることができる女が出演している。
ワイドショーは基本的に追従の連鎖。差配する男性の優位性がとにかく強く保たれている。追従Aと追従Bと追従Cを並べ、どの追従が最も納得できますか?という構造になっている。
え?何?そんなに真剣に怒っちゃってるの?と生真面目さを茶化すことで、議論を本格化させずに済ます。
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執筆者8人が13の章をそれぞれ担当しているため人によって読み応えの差が激しい。
その中でも鈴木みのりさんが担当する最終章だけは群を抜いている。問いかけや指摘が耳に痛い。
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若者のテレビ離れが進んでいる。しかし全年代で見れば最も視聴する動画・映像は今のところテレビとのことだった。影響力の大きいテレビがなぜ見られなくなってきたのか、またフェミニズムやジェンダーという視点でテレビに問題はないのか、テレビの問題点や可能性を検証した図書。
好きなところを読む。テレビの問題点として、フェミニズムを茶化したり、セクハラ発言、LGBTの無理解などがあるよう。またワイドショーでは予定調和で、司会を乱さない追従する仕組みで成り立っており、改善が難しい。
改善が難しいテレビを感じつつも、ドラマなどでジェンダーなどの問題点を浮かび上がらせる良い面もある。
テレビは持たなくなってしまったけど、それでも生きやすい社会の実現にテレビが関わってほしい。
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お笑い、バラエティー、ワイドショー、ドラマの中でのジェンダー問題を西森路代さんをはじめとした著者の方々が解説してくれる本。今まで漠然と触れてはいたがここまでまとまっているのは貴重。
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第一部の第六章
「なぜワイドショーはずっとああいう感じなのか」
だけが、読みたくて図書館にてお借りした本
なるほどねぇ
と いつものごとく うならせられる
そのあと
他の人の書かれた「章」にもざっと目を通してみたけれど、TVに出ている「芸能人」たちの固有名詞が
まったくと言っていいぐらいわからないので
ー読むこと能はず
の状態でした
武田砂鉄さんが
「本書の数ある原稿の中で、本章はおそらく読み飛ばされる確率が高いと思っている」と書かれているけれども
、私の場合は 全くその逆のことになってしまいました。
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45
ホモソーシャル
→恋愛または性的な意味を持たない、
同性間の結びつきや関係性を意味する
社会学の用語。
52
サクセスストーリーの「語られていないこと」や
「描かれていないこと」
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なんとなく嫌な予感がして、手に取っていなかった本書。しかし、週末猛烈に『問題のあるレストラン』に関する批評が読みたくて、ついに読んだ。
予感は確かに当たっていて、「個人的な見解をまとめてみたい。(清田隆之)」p53に留まっているように思うエッセイもあった。
が、ラストの鈴木みのりさんの章でがつん。とやられた。がつん。
これを載せたことが、全てですね。
(あ、それでも、シスターフッドの話とか、わきまえない女たち、は、楽しんで読んでましたけど。。。)
#テレビは見ないというけれど #読書記録 #鈴木みのり #西森路代 #武田砂鉄 #岩根彰子