紙の本
ほとんど呪い
2021/12/17 14:37
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
仕方ないことだけど事件の結末は後味が良くない。
生まれながらの自分、自分で選び取ったわけではないもののせいで望みを断たれそうになった恨みの言葉はほとんど呪詛と化していた。
遠い場所へと漕ぎ出した犯人の行為は補陀落渡海を見るようだった。
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この時代に女性が表に出ていくということの大変さはわかるのだが、おいちに関しては恋も仕事も、それを支える周囲の人も悪いことがなくて、どうも物足りない。
次巻は新たな環境で話が展開していくことになるのだろうが、更においちに良いように話が進みそうな気がしてならない。
今回の事件に直接は関わりはなかったにしろ、明乃自身にはお咎めはないのだろうか?
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本所深川の長屋で町医者をしている養父を手伝いながら女医を目指している主人公・いち。長崎遊学から帰った実兄も養父の元で医者の修行を続けることになり、自身は長崎帰りの女医・石渡明乃の元で医術を学べることになる。そんな中、おいちがみた患者が失踪、行方をさがしていたが大川に浮かんでいるのが見つかる。他にも突然行方が分らなくなっている人がいることを知り、長崎での不審死との繋がりに行き着く。自身の不思議な能力もあり、事件に関わっていくおいち。その当時、女が外に出て働く、ましてや医者を目指すことの難しさ、今で言う薬の治験、目的を達成する使命は理解できるがやり方を間違えてしまった人の犯した罪。ラストの犯人とのやり取りは何とも言いようの無い気持ちになった。それでも未来に向かって進むおいちの強さ、回りの人々の優しさ、心の支え・新吉がいるって生きる力になる、欲張りな生き方だけど、人の幸せって一つに絞らなければいけない訳じゃない、明るい未来を目指して進んでほしいと願う。
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初出 2019〜20年「文蔵」
「おいち不思議がたり」シリーズ第5作
長屋住まいの町医者松庵の娘おいちは、父の往診中、荷車にはねられた老婆の手当をしたが、後日様子を見に行くと行方不明になっていた。おいちには助けを求める老婆の映像が見えた、目明かしの仙五郎親分の話だと3人の御薦さんも行方不明だという。そして、老婆は毒殺死体で見つかった。
似たような事件は長崎でも起きていた。ちょうどおいちが女医を育てようとする長崎帰りの医師の未亡人が油問屋の「新海屋」の離れで開く塾に入ろうとしており、老女も自分をはねた荷車の「新海屋」へ向かっていたことがわかり、仙五郎とおいちは「新海屋」に乗り込むが監禁されてしまう。
おいちと飾り職人の恋と言えないような関係が、伯母のお節介で急展開するのがちょっとうれしいし、おいちが医者を目指して、誰も通ったことのない道を切り開こうと決意するのが感動的でもある。あさのさんらしい爽やかなエンタメミステリー。
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今も変わらぬ女性の自立への偏見と厳しい現実。アダム以外の男は全て女から生まれているだろうに、女性蔑視はなくならない不思議。
著者の女性へのエールは変わらぬ気持ちと思いつつ、ミステリ的興趣を優先したかのような真相は、(だからこその根深さがあるのだという含みも合わせて)意外性がなく、残念。
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この物語、二つ話?が織りなして進む、医師見習いのおいちと新吉の仲と江戸市中での殺人事件。事件解決に向かって肩の凝らない文体で話が進む。最後はめでたしめでたしで終わる。シリーズ5冊目だとかほかの作品も読んでみたくなった!
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この時代の女性が学ぶというのは想像もつかないくらい障害が多かったのでしょうね。強欲だけど、貫いて欲しい。おうた伯母さん、好きです
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深川で行方不明者が続出する。その事件を気にかけつつ、おいちは医師になるため塾に通おうとするのだが……。待望のシリーズ第五弾!
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父の手伝いをしながら、
医師になることを目指すおいち。
結末には何となく納得がいかなかったけど、
あさのあつこさんの文章は、するすると読めるから
必ずおもしろい。
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あなたは負けました。誰でもない自分に負けてしまった。何のために医者になるのか、何のための医術なのか見失ったとき、あなたは敗れたのです。
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おいちが怪我を治療した老女が突然失踪する。それ以外にも界隈では物乞いが数名失踪しているらしい。いつものように仙五朗親分と事件を追うおいち。
一方で松庵の元に長崎帰りの実の兄が弟子入り。同じ時期に長崎の高名な医師の未亡人が江戸に来て女性のための医塾を開くという。兄・十斗の勧めで入塾することにしたおいちは女医になる目標を定める。更に新吉からの突然のプロポーズをあっさり受け,医術を学びながら所帯を持つ決心をする。
人生の転機を迎えつつ,事件の解決に奔走するおいちの話。
事件には江戸時代の女性の立場の難しさも関係していて。つくづくおいちは恵まれている。これからどうやって生きていくのか大方見当がついてしまったこのシリーズ,どこまで続いていくのやら。
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おいちシリーズ初読みにして思うに、レギュラー陣の面々そろって行儀がいい。剃刀の仙親分も、弥勒シリーズは木暮信次郎のごとき厭世観を強烈に漂わせることなく、凄腕であって謙虚さを備えている。松庵さんは貧しき庶民の味方で、赤ひげ先生ばりの名医なれど、なかなかどうして食えないですよ。常におとぼけで余裕をもってらっしゃる。おいちへの信頼が厚いとはいえ、医療現場は別として、こと事件における緊迫の場面には関わりませんからな。なんたってお気に入りはおうた伯母さん。口さがないやで利発にして頼もしい。遡ってシリーズを追います。
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信念、信条を持っている人の強さは計り知れないものがある。その強さがある上で、家族や周りの人たちの支援により生きていくことができる。また、自分の信念を達成するための努力をしている者には、周りの人たちも呼び寄せられるのが世の常である。
あなたは背負う覚悟がありますか?何かを棄てることができますか?と長崎帰りの女医の石渡明乃。
荒野に道を付け、王道を歩んで行くことの難しさ、そしてやりがいを示してくれている作品である。
おうたが尋ねる、良いお嫁さんってどんなんだい?と。おうたの考え方や思考はおいちだけでなく、読んでいるこちらにも投げかけられているように感じる。人は抽象的な表現をする時は、何も思案が及んでいない時である。
ミステリーは一つの話の流れに過ぎない。おいちの人生の岐路も話の流れの一つである。この作品には人の生き方が手引きされていて、それこそがあさのあつこさんが伝えたかった事のように思えた。
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この本を読んでいる最中に、バレーボール男子日本代表のセッターだった藤井直伸選手の訃報がありました。現代も昔も、医者たちは病気の人にどう寄り添うか、大変だったと思います。
また、おいちにとっては、医者を志すか、信吉と結婚するかの決断の回でした。やはり、決断は慎重になるかと思います。
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深川で行方不明者が出るが、それは「居なくなっても誰も気にしない」「拐かす理由もない」者たちで・・・という第3弾。
しかし前段を結構忘れている。
塾にはいり、医師になるための道を進み始めるおいちだが、新吉との仲も進展しそう。
先がきになる。