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めちゃくちゃ面白かったです。
1000円を分ける話から始まり
「もしもコンピュータが判断したなら」
「チンパンジーなら」
「第三者に懲罰権を与えたら」
など、あらゆるバリエーションと、その結果について説明されています。
人間の行動の不合理なところや、合理的なところについて考えることが出来ました。
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かなり面白い!また、深い!!
ごく簡単な「ゲーム」の状況における実験でのヒトの振る舞いをとりあげ、その際の脳の反応はもちろん、他文化なら、少数民族なら、チンパンジーなら、赤ちゃんなら、動物なら…と次々に実験を拡張するのみならず、さらには、誰も見ていなければ、仲間ではない相手なら、懲罰権があったら、利害関係のない人だったら…、と様々な状況にも拡張し、「ヒトとはどのような生き物なのか?」と「私たちの生きる社会とは?」といった問題を、深く深くひたすら丁寧に掘り下げていく。
多くは実験である引用文献は、ざっと数えて約500本。これでもか!というほど圧倒的な数と丁寧な文献レビューを前提にした議論は、一種の迫力すら感じる。
文章はいたって読みやすく平易だが、限りない知的興奮の書と言える! アリエリーを読んで少しでも面白いと思ったことがある人は、ぜひこの本を読んでほしい。
最後通牒ゲームなどの「ゲーム」は、高校での新科目「公共」でも扱うこととなり、困っている先生も多いのではないか。そこでも、この本はうってつけと思われる。前提知識なしで、一気に研究の最前線まで味わえるばかりか、「ゲーム」が、社会の問題を一体どう考えさせてくれるのか、よくわかるようになる。教室の中で、自分たちが行う「実験」のアイデアすら浮かびそうだ。
そうそう、英語訳を出してほしい。海外の友人にぜひ紹介したい!
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ゲーム理論の応用から、人の適応合理性に至る。
確かに、経済学理論て、人間にはそのまま当てはまらないのね。ホモエコノミクスという、逆に言えば、経済学に当てはまる存在を想定しないと。
そこに最後通牒ゲームが破綻をもたらす。
さらに独裁者ゲームを紹介し、行動経済学などに基づいて考察を進めてく。
面白かった。
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人間が最後通牒ゲームでとる合理的ではない行動について、あらゆる角度から分析し説明してくれ、推理小説を読んでいるような感覚で面白かった。
根底にあるのは、他人の監視する目や不公平への怒り、共感など、石器時代から培われてきた感性が人間には根付いており、一見、合理的ではない行動に見えても、集団生活に適応していく上では合理的な行動であるというのはとても深いと思った。
コロナ禍で環境が変わると、自粛警察など不公平への怒りが強くなったりしているのを見ると、人間は適応能力が高い反面、環境に影響されやすいのだなと思った。一方で医療関係者は他人のために一生懸命働いてくれているのを見ると、利他性や共感性などの感性は大切にしていきたいと思った。
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行動ゲーム理論の入門書。平易な言葉で書かれているが、学術論文がベースで内容は本格的。
人間は確かに「合理的」ではないが、単に「不合理」な訳ではない。これが本書のキーワード「適応合理性」だ。面白かった。また読み返したい。
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最後通牒ゲームというゲーム理論における最も基本的な実験を題材として、ヒトの「適応合理性」に対して論じていくというのが本書のプロットかと。
数年前にノーベル経済学賞受賞したことで行動経済学に注目が集まり、そこにおけるキーワードは「不合理」や「ナッジ」が注目されてた。ヒトは時として経済学が想定していたエコンの行動原理からかけ離れた行動をとってしまうのだ、甚だ不合理なことであるといった風潮でした。
本書の結論では、ヒトは不合理な行動を確かにとるが、頭ごなしに不合理な生物であると定義するのではなく、一部ではエコンと合致する合理的な行動もとるものである。その判断の基準となる境界線、究極要因に関して現在様々な学問が解き明かしに邁進しているのだ、といったことです。現在大きな関心を受けている考え方は、ヒトしか持ち得ていないであろう「真の利他性」・協力性といったもの。コロナ禍のエッセンシャルワーカーの存在が非常に身に沁みて感じられる。
まず著者が学問に対して真摯に向き合い、日常との軋轢を何とか乗り越えながら日々研究しているのだなとそのバックボーンに感涙でございます。授乳中に寝落ちながら、かくれんぼの隠れながらなど・・・胸が熱くなります。
ポイントを備忘録として。
・ヒトは意図的な不公平が嫌いで、コストのかかる第二罰(不公平な相手に対して、自分が不利益を被っても罰を与える)を行う。共感の定義としては、相手への報復による痛みも分かち合ってしまうと思われるが、寧ろ意図的な不公平な相手に対しては、脳の報酬系が反応し喜びなどポジティブな感覚になる。
・ゴシップは、悪い人を取り締まる「警官」であり、悪行いとは何かを人々に教える「教師」の役割をもっている。ゴシップを伝え合った相手とは、高い共有感をもち、親密度が上がる。また、ゴシップは「オキシトシン」が増え、ストレスホルモンである「コルチゾール」が減るという研究結果もある。
→これは実感として激しく同意。飲み会や職場での些細な会話でも、あの人がどうこう(主にネガティブな話)がメインになってるところがある。ヒトの性なのだな。
・自己犠牲な協力行動の要因として推測されるものに、「間接的互恵主義」がある。これは、誰かを助けるとまわりまわって別の誰かに助けてもらえるという考え方である。このシステムを支えるのは、「評判」となる。
→これは昔読んだ「Give&Take」にあったGiverがまわりまわって有利に得をする、という考え方と共鳴しているな。周りからの評判を上げる行いが、最終的に自分にメリットとして還元される、胸にとどめておきたい。
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最後通牒ゲームは大学時代に学んでいた時に本当に謎だった。こんな納得できないような結論が教科書に載っていること。そして、それをなんの不思議な顔もせず教えている教授の姿に。
そんな違和感に真摯に向き合う著者の姿にこそ、人間の凄みを感じました。
内容はどれもさまざまな実験から導き出された人間の本質を深く洞察したものになっていて納得できるものばかり。個人的には、集団から外れた個人は誰かと誰かが仲良くしているさまを見ていると、自分が空腹状態で他人が何かのご馳走を食事している時に反応する脳の部位と同じ部分が反応するという記述。なるほど。確かにYouTuberが人気になるわけです。
食と同じくらい人間にとっては集団や社会に属すということは大事なことなんでしょう。命に直結するぐらいに。
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ゲーム理論における有名な実験である「最後通牒ゲーム」ではホモ・エコノミクスを前提とすると一見不合理と思える結果が生ずるが、それはなぜかという「謎」を、行動経済学と進化心理学という道具を用いて深掘りして解いていき、最終的には「ヒトのもつ合理性とはなにか」という問いや、「そもそもヒトとは、どのような生き物なのか」という問いをも考察する。
非常に知的刺激に満ちた本で、高度な内容なのだが、とてもわかりやすく書かれており、ぐいぐい読み進められる。「目」のポスターであっても、他者から悪く思われないように行動するインセンティブがもたらされるという知見など、本書の内容には政策的含意も多いと感じた。
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非常に面白い。
最後通牒ゲームというゲーム理論の一種を発端に、様々な研究、実験に基づいてヒトの行動の合理性について紐解いていく。
「政治経済学の基礎、そしてすべての社会科学一般の基礎は、明らかに心理学にある。
我々が社会科学の諸法則を心理学の原理から演繹できるようになる、そんな日がきっとやってくるだろう。」
ほんともうすぐそこにある。
動物占いのようにヒトはいくつかのカテゴリーに分類できて、ヒトがそれに基づいた合理的な行動をすると考えると、行動を先読みするのは意外と簡単で、ともするとコントロールすることも可能なんだなって
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独裁者ゲームは、もっとも不可思議な結果の一つ、と言われている。
エコンはいない。
「20%の希望」独裁者であっても見知らない人にも20%を提供する。利他性か。匿名性があると数値は減る。
誰かが見ているという効果は、ニセモノの目、鏡に映った自分であっても効果がある。
不公平を嫌う不公平回避理論。不公平そのものより、不公平にしようとする意図に対して反発する。=損をしてでも罰したい。利他罰。
フリーライダーへの怒り。
動物の世界でも共感を感じている。
コストがかかっても罰したいという傾向は、ネットバッシングに繋がる。
ダンバー数 150人くらい。人間が集団で暮らせる限界。
罰を与えると喜びを感じる。相手が反省するとより満足を感じる。一方で、罰を与えると悪い気分になる場合もある。
4枚カード問題
母音の裏には偶数、を確かめるよりアルコール問題のほうが易しいのはなぜか。=裏切者検知のほうが馴染みがあって理解しやすい。
人間は意図的な裏切りに非常に敏感。
裏切者は、立場が違うと変わる=年金受給者の問題では、経営者と労働組合では、選ぶカードが違う。
裏切者は覚えられ広げられる=裏切りはコストが高い=周囲の他人にも一定の配慮を示すほうが得、と考え有れる。
エラーは、偽陰性と擬陽性。擬陽性は、損をしたで済むが、偽陰性は命取りになる可能性がある(敵が近くにいることを見逃す場合)偽陰性を見逃さないほうが、擬陽性がたくさんあっても有利=見知らぬ人、と思っても親切にしておいた方が万が一仲間だった場合、有利に働く=敏感な煙感知器になったほうが有利。
手懸りが少ないときは同調的行動を取りやすい。無難な行動。エラーのコストが少ない。
市場化が進んでいる社会のほうが、最後通牒ゲームの提案金額は高い=市場化によって、協調が有利になる場面が増えた。
自粛警察、ゴシップがはやる理由=罰を与えるコストが少ない。直接罰するのは仕返しが怖いなど精神的ハードルが高い。
これらは、エコンの合理性とは違うが、人間が社会に適応するにあたって合理的なので、適応合理性と呼ぶ。=深い合理性と同じ。利他性のパラドックス。
人間は人の目がないときは、エコンに近づく。その間を揺れ動く行動を取る。
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最後通牒ゲームというのは知っていたが、こんなに奥深いものとは。人間の意思決定に興味があるのでとても参考になった。人間は「合理的な生き物」ではなく「非合理」でもない。「徹底的に合理的」である、ということを様々な実験・心理ゲームで解明していく。あなたは千円を受け取り、その一部または全部をパートナーに渡す。パートナーが納得すれば両者その金額を受け取れるが、拒否されたらどちらも権利を失う。さて、いくら渡すのかというゲーム。合理的な人間であれば、自分に千円、相手に0円であっても、相手は損をしないという点で合理的に合意ができるはずだが、実際はそうはいかない。この拒否権を無くした「独裁者ゲーム」であっても、世界平均で2割は相手に渡すという結果になっている。人の行動や意思決定というのは面白い。この2割を「希望の2割」と言う人もいて、とても興味深い。
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うちの大学の教授の本。普段の授業が分かりやすいだけあって本当に分かりやすく面白く書いてある。誰でも読める行動経済学の本なのでぜひ!!
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初心者にわかりやすいよう、噛み砕いた表現にとても力を入れているのがわかる。例も豊富でわかりやすく、時事ネタも入れてある。ありがたい。
ただ簡単にしただけではなく、内容も落としていないように思う。本文に添えられたコラムや補足説明は詳細かつ分量が多く、こっちが本体なんじゃないかと思うくらい。
ホモ・エコノミクス(経済人)の想定結果と実験との差異は、埋め方がわからず、ずっと「気持ち悪いな」と思っていたところ、とても合理的な説明となっていて、なかなか感動的だった。
一方で、この分野も掘れば掘るほど多くて深い謎が見つかるというお裾分けもいただき、お腹いっぱい。
進化心理学、神経経済学といった道具・機械を使っていままでと違ったアプローチと説明ができるようになった。切り開いてきた人たちに感謝。
新型コロナウイルスでの自粛警察など「○○警察」に至る説明も、なるほどとうなった。
「短い時間で直感的に判断をしなければいけなくなると、寄付の金額が増えたり、「より公平な」提案をしたりする」という点については、「大道芸のおひねりでは、最後にお願いするのがよいのではないか」と思ったり。
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とても読みやすく、かつ知りたいことを教えてくれる素晴らしい本。
個人的には経済学はほんのさわりくらいしか学んだことがないけど、そこで仮定される合理的な行動には違和感を感じていた。もっと人間は不合理でランダムな存在なのではないかと。
この疑問に著者は生物の脳科学にも基づいた心理的進化の観点から遺伝的な習い性とでもいうような生存戦略からくる戦略的非合理=長期的な合理性をさまざまな事例をあげて説く。確かに、なるほどそうかも、と思わせられるところが多い。
それではなぜそこから逸脱する人、つまり遺伝的な習い性を超えて、規範からの逸脱に対してシビアな罰が待っているとは知りながらも、長期的にも短期的にも非合理なことをしてしまう人が常に存在するのか、といった疑問は尽きない。
しかしそんな疑問もそれぞれの人が帰属する社会の多重性を考えると理解できるのかもしれない。そんな可能性を感じさせてくれる。
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「経済学とは、人を幸せにするにはどうしたらよいのかを、バカみたいに真剣に考える学問だ!」(第6章P230;著者の大先輩の先生が大学での講演会でふるった熱弁)
「経済学で、”革命”が起きている」(「おわりに」P240)
心理学、生物学、動物行動学、脳神経科学にも関わっていく行動経済学の拡がりを感じました。
なぜ、人は「エコン(=ホモ・エコノミクス=(合理的)経済人;by Thaler)」と同じ振る舞いをしないのか?
という問いに対する考察を、めちゃめちゃ懇切丁寧に、誰でも読めるように、噛み砕いて噛み砕いて書かれている本。
一方で出典や参考図書も書かれているので、自ら確認考察したい人はそれらにあたって勉強することもできそうです。