投稿元:
レビューを見る
大正期~昭和初期に活躍した作家の探偵小説を纏めた《探偵くらぶ》シリーズ刊行開始、ということで第一弾は谷崎潤一郎です。
似たような方向性の文庫シリーズに、ちくまの『怪奇探偵小説傑作選集』があったのですが、とうの昔に品切れになり、古本価格も高騰している中、こういったシリーズの新規刊行は嬉しい限り。
谷崎はミステリ色の強い作品が活動初期の作品内に多いですが、今回のこの文庫も500ページ近いボリュームで読み応えバッチリ。探偵小説好きとしてもとても満足な一冊でした。どれも面白いのですが、やはりタイトルにもなった「白昼鬼語」が良いですね。
投稿元:
レビューを見る
探偵くらぶと題しているが、犯罪心理を扱った話や怪奇譚を集めたアンソロジー。
以前に読んだことのある「秘密」「人面疽」「途上」以外で面白かったのは、
劇中劇が入り組む「呪われた戯曲」
同じ寮に暮らす同級生から窃盗を疑われる「私」
殺人現場をのぞき見る「白昼鬼語」
銭湯で奇妙なものと出くわす「柳湯の事件」
日英で類似した事件を紹介する「日本に於けるクリップン事件」。
犯罪心理については、生まれついての性質や失陥(そしてそれを自覚している)を扱うものが多い。
投稿元:
レビューを見る
大満足でした。
芥川龍之介に引き続き、手に取ったけれど日下三蔵氏の編集はとても好きですね。
妖しくて刺激的。
マゾヒストが罪人や悪に染まるタイプの小説が谷崎の中で個人的に好きなのですが、全く理解出来ない展開でしたが「日本に於けるクリップン事件」を読んで合点がいきました。
実に谷崎らしく、グレーの一番ハラハラする展開の描写の技量がとてもスリリングで読ませる感じ、良いですね。
「人面疽」なんて不気味で怖い、もはやホラー。
「刺青」を読んで以来、谷崎文学の大ファンになりましたが、こんなものも書いていたのかと驚いたしますます好きになりました。
期待以上の一冊です。