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読んだことも作者の名前を知らなかったが、心しておきたいことばかり。全ては理解至らなかったが、言わんとすることはわかる。
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『群衆心理』では、(心理的)群衆を「特定の心理作用を起こした人々」のことを指すようです。「特定の心理作用」とは、「意識的個性の消滅」、「感情や観念の同一方向への転換」のことをいい、まとめると、「(心理的)群衆」=「同じ考えの人たち(少数でも、多数でもok)が自己の個性を殺して、共通の目標を持って流れることをいう」と考えているようです。
このような群衆がなぜ発生するのか?を、フランス革命を参考に考察しています。
群衆が形成される要件として、「断言・反復・感染」の3つを示しています。
これは、SNSが世論を形成する現代において、世論を自己分析する上で非常に参考になると思います。
『群衆心理』は、「あのヒトラーが読んだ!」などと喧伝されることが多いのですが、ヒトラーだけでなく、国民の世論形成の土台づくりの教科書として現代の色々な政治家が読んでいると思います笑。(ヒトラーのように悪用している可能性も...?)
そのため、世論を政治家の手で操作され、僕らも知らずにその操作された世論を支持する群衆の中に入っているかもしれないと思った方がいいと感じました。
以上のように、ル・ボンの群衆に対する評価が酷いのですが、群衆を形成することが必ずしも悪いわけではないとも言っています。
群衆はいい方向へのエネルギーを持てば、その群衆は良いものだと評価しており、群衆が絶対悪というわけではないようです。しかし、ほとんどは暴徒化すると考えられるので、群衆=悪というイメージがル・ボンの中ではあるのかなと感じました。
ル・ボンは「単純化」されたものが大衆を操作するといった主張もし、“あるもの”を抽象化・単純化し、わかりやすく伝えるものに危機感を感じると主張します。その点、本書にも記述がありましたが、本書のような要約本であったり、お昼のワイドショーなんかは、自分で“あるもの”について深く考察せずに、知った気になってしまう危機感を僕らも持つべきだと改めて感じました。
また、本書では度々政権批判のような記述が多くあり、そこら辺も一歩引いて、中立的な立場から書いて欲しかったと思います。
筆者の考えもわからなくはないけれど、筆者自身が反政権・反自民(の群衆に入って批判している時点で滑稽だが)立場で例示がされている点など、ル・ボンの『群衆心理』の要約がわかりやすかった分、余計な点が目立った本だと思います。
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1人より30人のほうが騙しやすい。
分母が増えると誰が決定したのか、なぜこうなったのかが追いにくくなる
議論を閉じる方向の「わかりやすさ」
わかりやすさ、要約は、議論の入口であるべき。
人々が良い事をしている場合、自身も良き方向に進む 例:いつもトイレを綺麗に使って頂きありがとうございます。
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本屋で一目見て買おうと思った本。
日本社会といえば同調圧力、全体主義。
この本はフランスの社会心理学者が130年前に書いたものだが、驚くほど現在に通じるものがある。
群衆は衝動的な自動人形、単純さを好み、本能的に隷属する。
群衆だけでなく一般大衆は正しく推理する力を持たず、心象で物事を把握する。陰謀論やキャッチコピーなど、わかりやすいものが大好き。
群衆を動かすには、信仰を用意すること。断言と反復と感染。論証のない言葉も、100回断言すれば真実になる。単純な幻想と支配に群衆は吸い寄せられていく。
この書はヒトラーも活用し、「広報の父」エドワード・バーネイズという人も学んだ、裏ハウツー本。
私たち大衆はこれを読み、大衆をバカな群衆に仕立てる権力者(政府とマスコミですよね)の手口を学び、回避したい。そして、問題意識をきちんと持った「連帯」を広げること。これは政府ではなく大衆からしか起こらない。
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第3回65ページ「いつの時代も、仕事帰りの酒場には、酔った勢いの断言が溢れ、同じ話を反復する酔客の姿があります。私もかつて、会社員として働いていた頃は、そういう場に参加していたのでよくわかるのですが、様々な意見が好き勝手に放り込まれているようでいて、結局、職場の権力構造に沿った展開に行き着きます。「今日は無礼講で」なんていいながら、しっかりと空気を読み合う場になっているのです。」これ名言だと思った!「断言・反復・感染」によって群衆は操作される!
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ギュスターヴ・ル・ボンの『群衆心理』を武田砂鉄が解説。ー群衆は意識的ではなく無意識的に群れている
ー群衆は単純化・わかりやすい言説に惹かれる、あるいはわかりやすい言説が群衆を作る
ー断言・反復・感染が群衆を作る
ー自分も群衆に巻き込まれている可能性に自覚的であるために、立ち止まり本当に自分の意見なのかを考える
近代化以降、群衆という無意識的存在が誕生し、多くの歴史的事件を引き起こしてきた。近代とは群衆・大衆の時代といってもよく、オルテガの大衆の叛逆、バークの著作などはその辺りの問題意識に基づいたものだろうし、フロイトの一連の著作も大衆論と関連づけて読むこともできるだろう。そして、コミュニティが存在しない都市であるが故の殺人事件を解決する探偵小説が誕生した。そして、マルチチュードもそのような群衆を良い方向で使おうとする試みだと思う。SNSの発達によって、地域的に限定的だった群衆の動きが地域を超えて広がるようになったのが現代であり、日本は幸い日本語圏に閉じた話題になっているが、アメリカなどは世界的なムーブメントになってしまうところがまた難しさを孕んでいる。
ところで、単純化・わかりやすさを求める傾向は人間が生きていく上では必要なスキルの一つでもあるので、これを止めることはできないのも事実。問題は単純化に抗うのではなく、著者も述べているように、漏れているものはないかと振り返ることだろう。要は一つの意見に根拠なく凝り固まるのが問題であり、その点を克服するための視点をいかに確保するのかという点が問われているのだと思う。
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【1回目】群衆へと堕してしまう危険性と、高邁さを持つ可能性のどちらとも持っているのが人間であり、片方のみを強調するのは、フェアでないし、賢いとも言えない。この本は、そのうちの、愚かさへと堕してしまう危険性を強く訴えていて、善性を発揮しなければならないとして済ませようとしているかと思っていたが、そうではなかったのがよかった。わかりやすさに身を委ねないことが、抗う拠点になるのではないかという意見を尊重したい。
【21/09/30】noteを書きましたので、URLを貼付します。
https://note.com/bookforest2022/n/n105e7dc10a1e
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「ル・ボン『群衆心理』」武田砂鉄著、NHK出版、2021.09.01
97p ¥600 C9411 (2021.10.15読了)(2021.08.26購入)
『群衆心理』は、1999年12月に読んでいますが、理解はできなかったように思います。
今回のように読み解いてもらうと、そういうことが書いてあったのかとちょっとわかったような気になります。もう一回ル・ボンの本を読むといいのでしょうが、さて、どこへやったかな?
【目次】
【はじめに】現代社会を動かす群衆
第1回 群衆心理のメカニズム
第2回 「単純化」が社会を覆う
第3回 操られる群衆心理
第4回 群衆心理の暴走は止められるか
☆関連図書(既読)
「群衆心理」ギュスターヴ・ル・ボン著・桜井成夫訳、角川文庫、1956.03.05
「群衆-モンスターの誕生」今村仁司著、ちくま新書、1996.01.20
「オルテガ『大衆の反逆』」中島岳志著、NHK出版、2019.02.01
(アマゾンより)
善良な個人が狂暴化するとき
人びとが無個性化した「群衆」と化す過程を辿り、その特性や功罪を考察した社会心理学の名著。なぜ群衆は合理性のない極論を受け入れるのか? 指導者やメディアはいかに群衆心理を煽動するのか? 気鋭のライターが政治のあり方からネット炎上までを俎上にあげ、現代にはびこる群衆心理の問題をあぶり出す。
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テレビで見てから読む。テレビの方がショッキングな内容の紹介で、本の方がよりメッセージ性が強い。時間を作って抜粋されていない方を読む必要のある本であることは間違いない
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ル・ボンを、ここでは単なる素材とした武田砂鉄のラジオでも聞かれる名調子が考え方論調共に炸裂していてとても面白く読めた。
直後に番組も見たが、いつもとは違い、むしろこのテキストの感想戦といえるものであった。興味深かったのはこの本でも元来の武田砂鉄でも主張されている、攻撃すべきメディア、その代表格としての伊集院光とのギリギリの攻防が見られること。テキストの批判を理解はしているが決して納得しないそれぞれのスタンスのぶつかり合いがとても面白かった。
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「群衆心理」本編を読みたくなりました! これを読んでいる最中、授業中に黙ることができない1人の子どもによって、学級が崩壊していく様子を耳にしたのですが、「群衆心理に近いなぁ」と思ったりしました。個は消えやすく、自分も簡単に群衆の一部になる危険性を抱えていることを、胸に刻みます。
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かなり偏りのある解説書。
抽象的思考を記した書を都合よく切り取り、自身の思想の盾に利用しているようだった。
また、原文からの論理では考えられないような思考の飛躍が各所に見られる。
例)コミュニケーション能力は重要かというアンケートの問いに対する回答は、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」が全体の9割を超えるそうだ。
著者はこの結果一つを捉えて「自分の意見と他人の意見が同じかどうかを過剰に意識する社会」であると断定している。
まさに著者自身が何かの思想を「断言、反復」によって「感染」させようとしているかのようだった。
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原著の予習として。『100分de名著』で紹介されたことにより原著の存在を知り、このテキストや番組での武田砂鉄さんの解説を見聞きしながら、SNSやその他ぼんやりと疑問に思っていたことに対して言葉が当てられていき、原著への興味がすごく湧いた。
原著は1895年の刊行で、手元の日本語訳版も第一刷が1993年である。このテキストを読む意義は、現代社会の構造や出来事に合わせた例えや指摘があることだと思った。
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1年間積んでたましたが、やっと読みました。
武田砂鉄はやはり最高です。コロナ禍の大SNS時代の我々現代人に刺さる痛烈かつ的確な至言の数々にきっと唸らされることと思います。
『わかりやすさの罪』と併せて、非常に強くおすすめします。