紙の本
コロナ禍が浮き彫りにした社会のゆがみ
2021/10/29 12:10
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
知っているつもりでいた日本の問題点の根源は、様々な格差であり、不透明化してしまっている分断だと気づかされる。10代の若者に向けたメッセージであろうが、爺の心にも、深く突き刺さる。日本社会の足元で起きている所得や職業、教育などの格差や、家庭や国籍なども含めた分断の問題にキチンと目を向けるべきである。そして何が原因でどういうことが起きているのかを学び、それを改善していかなくてはいけない。未来を背負わなくてはいけない若者が、地に足をつけて生きることで新しい価値観を示していかなくてはいけない。
紙の本
有効な解決策は見いだせない
2023/01/21 09:38
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
前書きで挙げられていた鍋からおでんを取って食べる方法がわからない少年がいるというのは衝撃的でした。格差と分断の具体例がたくさん挙げられていて本当のことなのだろうとは思いますが、少し見方が極端のように感じました。年収1000万円あれば裕福であるかのように記載されていましたが、その年収では税金もたくさん取られますし年収500万円の人と暮らしぶりはほとんど変わらないでしょう。
また、最後は若者に対して本当に自分のやりたいことを見つけて報酬の多寡にまどわされずに自分の幸せをみつけましょうという結びでしたが、きれいごとに聞こえて興ざめしました。世の中に低賃金できつい仕事があることに対しても解決策に何ら言及がありませんでしたし、全体的に問題点を列挙して理想を語っているだけで物足りない感じがしました。たいして時間も労力もかけずに就ける仕事と、小さい頃から一生けん命勉強して時間と労力をかけて資格を取得しなければならない職業で報酬額に違いが出るのは当たり前だと思いますが、著者はそのへんについてどうお考えなのでしょうね。低賃金できつい仕事の報酬を医者・裁判官等のレベルまで上げたら、一生懸命勉強しなくても同レベルの報酬が得られる方に流れる人が多いでしょうから、医者・裁判官等になろうとする若者は著しく減り、それはそれで国が衰退すると思います。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
格差というと、まず、日本の収入の格差を思いました。アメリカは、選挙でもそうなるのですね。単に、人種の格差ではなく、地方における格差や宗教などなど。日本もしかり。取材をしてのノンフィクションです。
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現代社会では自分と異なる境遇を生きている人との接点が無い、という著者の主張はとても納得いくものでした。
接点がないから他人がなぜ苦しんでいるのかが理解できない、理解できないから他人の苦しみの原因を本人の努力不足だと決めつけてしまう。
日本がこれから良くなっていくためには、様々な境遇を生きている人たちがお互いに分かり合って共生できる仕組みづくりが必要だという意見には共感できました。
著書で少し残念だった点が2つ。
1つは、主張の根拠として採用しているデータが今一つ客観性に欠ける点です。例えば「障碍を持つ人の割合は〇〇%であるという説もある」といったような曖昧な表現を使われており、せっかくの素晴らしい主張に水を差すデータの使い方をしているなと思った点です。
2つ目は、養育能力の無い親への対策に焦点を当てていない点です。著書で紹介されている貧困層や不遇な環境で育てられた子どもたちの例を見ると、多分に漏れず親の養育能力の無さに起因しています。イライラして暴力をふるう親、家にも帰らず不倫をする親、酒浸りで仕事もしない親など、同じく子を持つ僕からすると想像もできないような下劣な親の態度のせいで、子どもが不良になってしまっています。
そういう親の元に産まれた子どもたちには何の罪もなく社会が手助けをするべきだと思いますが、そもそもなぜそんな親が存在するのか、養育する気の無い大人からなぜ子どもが生まれるのか、親が正しく子どもに愛情を注いで養育するにはどうするべきなのか、といったこれから親になろうとする大人が親として機能するための教育や対策をすべきだと僕は思うのですが、そこに焦点を当てていない点が残念でした。
この2点が個人的にはどうしても引っかかった状態で読み続けたので批評的な読書になってしまいましたが、僕が知らなかった考え方がたくさんあり参考になりましたし、「シェア金沢」など具体的な取り組みについても学ぶことができて、得るものも多い読書でもありました。
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こういう本が今必要だなと思っていた。新書で同じような格差や能力主義の本が出版されているが、それらを読むのは意識の高い人だけになってしまう。専門書よりは裾野は広がるとはいえ、若者の手にまでなかなか届かない。
この本は16歳くらいの若者を対象としているが、大人も手に取れる体裁である。
格差がどうして起こるか、それがどのような弊害をもたらしているか、現在見られる現象と結びつけ、データも思い切ってわかりやすく編集しているところに、著書の本気度が伝わる。
これは本当にいい本だ。
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p69 人は、自分が理解できないものはすべてつねに否定しがちになるわけなのである パスカル
p120 成功の秘訣があるとすれば、それは常に相手の立場を理解しようと努め、相手の立場からものを考えようにすることです
p166 子供は劣悪な家庭環境で生まれ育つと、成長してから問題行動を起こすリスクが高まる
p171 少年院の子供たちにインタビューすると、スパルタ教育の家庭の出身の子が意外なほど多いことがわかる。これも僕の経験則になるけど、5-6割が虐待家庭であり、2割くらいがスパルタ教育家庭だ
p255 地域生活定着支援センター 2009から 国が受刑者における高齢者や障害者の占める割合の高さを課題視して設置
刑務所などから出た高齢者や障害者がその土地で支援を受けて生きていけるように福祉施設や福祉サービスとつなげる事業をしている
p274 シェア金沢
金沢市の郊外の大きな土地に町をつくり、そこに障害児たちを住まわせ、いろいろな人達と交流させている
障害児入所施設、サービス付き高齢者向け住宅、学生向け住宅、レストラン、温泉
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いまの日本は階層ごとに断ち切られている状態
かつては学力がなくても手に職を身に付ければ稼げる時代だったが、オートメーション化が進み、シャッター街は潰れ、大型店の雇われ社員になり、給与が抑えられた。大型店の小売やサービス業は価格争いの最前線で、
重要なのは自ら望んでその生活をしているかどうかということ。選択の余地がない中で、現状に苦しんでいるのであれば、それは「貧困」と呼ぶべきものである
貧困の連鎖というのは、教育格差と自己否定感が両輪になって引き起こされる
職業格差は待遇の差だけでなく、特定の職業に対する軽視や差別のようなものを生んでいる。格差の下位に位置づけられる職業であればあるほど精神的な負担は大きくなるいまの日本にはインドのカースト制度、江戸時代の身分制度のような目に見える形での差別制度は存在しないが。
コロナ禍において女性の自殺率が顕著であるにもかかわらず、男性の自殺は前年比減である
職業や職務によって男女の性差ができてしまっていること。それを男女の職業分離と呼ぶ。
少年院にいる子どもの5割が虐待経験、2割がスパルタ教育経験がある
些細な行動が、相手にはとても温かく伝わるものなのだ
豊かな社会というのは、そんな温かさがどれだけあるかということだ
日本の法律では外国人は義務教育の対象外
子どもは真実を映し出す鏡である。彼らにはおごりも、敵意も、偽善もない。もし思いやりに欠け、嘘つきで乱暴な子供がいたなら、罪はその子にあるのではなく、両親や教師や社会にあるのだ。
子供が虐待を受けると、脳に甚大な影響が及ぶことが明らかになっている。脳の海馬や扁桃体などが萎縮し、さまざまな機能が低下する恐れが生じる。
行動障害とは、障害ゆえに社会的に相応しくない言動をとってしまうことだ。
ホームレスの62%に何かしらの障害があることが明らかになった
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「格差社会」と言われて久しいです。
しかしその格差を身を以て体験していない人
にとっては、格差とは収入の差なのだろうな
ぐらいにしか思っていないはずです。
しかし今は収入の格差どころではないのです。
米国社会で起きているような「分断」が日本
でも起きつつあるのです。
しかも収入の差だけではなく、職業間、男女
間、世代間などで分断が起きつつあるのです。
その内容を徹底した取材に基づいて、リアル
に表現したのが本書です。
「え?日本って今こうなっているの?」とい
う不都合な真実を皆が知って、そこから乗り
越えるべき道筋を説く一冊です。
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小学生でも分かる様に書かれてると思う。
内容がスッと頭に入ってきてとても読みやすかった。
格差と今まで言われてきたものが、今回は分断という言葉も使われていることが気になった。
そろそろやばいのか。
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これは若者に向けて書かれた本だが、とても良い本だと感じた。所得格差、職業格差、男女格差、家庭格差、国籍格差、福祉格差、世代格差と具体的な例を取り上げて説明してくれる。基本的に同じことを言っているのだが、ある世界にどっぷり浸かっている人間は、それ以外の世界にいる人を理解しないというか理解できない。それゆえに教育の欠落や心無い周りの態度で、多くの犯罪が生まれている中、ただ対象に理解のない非難の言葉を発するのみ。そういう人たちの偏見が、社会により深刻な闇を作り出している。若者に今、日本で何が起きているのかを知ってもらえることに、この本は注力していく。
最後に若者に3つの提案をする。
1.新しい仕事を自分自身でつくる。
2.グローバルな世界へ打って出る。
3.新しい生き方を見つける。
不透明な未来だが、それを良い未来にできるのは若者たちのパワーだと思う。政治家や企業経営者などの利権に汲々とするオヤジたちには、そんな力はない。
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これから社会福祉、児童教育を学びたいと言っている20歳のムスメに読んで欲しい本。ダイニングテーブルに置いておいたが…。
格差の問題は、その格差のある層に分断があるため、分断された先に生きる相手の立場を想像する力があれば、解決する。
教育を通して、未踏の地を一人でも歩んでいける力を養うことが、全ての解決策になるとすれば、全ての人に学ぶ場を与えることがやはり、重要。
人を憎まず、罪を憎む。バッシングする前に、その状況を理解することにまずは努める、想像力が解決策。
「成功の秘訣があるとすれば、常に相手の立場を理解しようと努め、相手の立場から物を考えるようにすることです。」ヘンリー・フォード
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16歳に向けて書かれているけど、大人でも知らない現実が次々に出てきて驚きの連続。
かなり興味深い内容だった。
これからも日本を含め世界の格差は広がり続けると言われているけれど、自分だけ助かればいいという考えのままではよくないことがわかる。
社会が分断されてしまうと、対立は避けられない。
「平和を守るために、自分には何ができるだろう」と、一人一人が考えなければいけない。
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『格差をつくる、困窮する人を放置するということは、巡りにめぐって富める人が狙われる社会を生み出すことになる。』
↑こちらの一文を読んでハッとした。
貧困化している日本は皆心の余裕がなくなっているように感じる。
格差は自分には関係ないと思わずに、今起きていることを直視することが大切だと思った。
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★★★★
今月1冊目
これは深く考えさせられた本。
あらゆる貧困世界などに足を入れてきた石井さんならではの本。
犯罪を犯したからそいつが悪いのではなくその背景などを考えようってね。
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