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1960年代前後に発表された短編14本を収録。
遠藤氏がこの後も書き続けたテーマの、「遠藤周作らしい」作品群と言える。
子供の頃を過ごした大連での思い出、女性というものの描写、他人には計り知れない人間の心の闇。深い苦しみ。
探偵小説読みすぎ?な女子学生が遭遇した事件。
女優さんがお好きな一面と、鼻の下伸ばした男のコミカルな話。
道を外した宗教者たちの人生。
フランスへの留学、異国での旅愁、リヨンの街のイメージの暗さ。
信仰の悩みの深さなど。
信仰に関しては汲み取れない部分もあり、解説のお世話になった。
風景の描写が美しく、また、通信手段の限られた時代が舞台なので、人づてに手紙を渡すという行為に懐かしさと風情を感じた。
アカシヤの花の下/さすらい人/女優たち/海の見えるヴェランダ/サボアの秋/小さな恋びとたち/ふるい遠い愛の物語/チュウリップ/赤い帽子/黒い十字架/秋のカテドラル/デニーズ嬢/生きていたコリンヌ/ネコのリンゴの木
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装丁が美しいですね。本書に収められている同名の短編の中に出てくる大教会の写真だそう。
どの短編も時代をあまり感じないです。自分は、と言うことですが。
女優のはなしや、別の短編に出てくる女性の言葉使いなど今日的ではない箇所がたくさんあるのでその意味では古い時代の話なのですが、描こうとするものの有り様が当時と今とでもさほどに違いはない、五十年経っても人間の心の中にあるものにそう差異はないということなのかもしれません。
そして自然描写や建物の描写の端的で分かりやすいこと。遠藤先生の文を没後25年経ってまたこのように読めることの有りがたさをつくづく感じました。
佐藤愛子先生のことは他でも書かれていていましたが、初恋の人の話は胸をつかれました。
留学中の体の不調や孤独感と共に綴られた異国での話も、これまで様々読んできましたがやはり染みました。どの短編も遠藤エッセンスとでも呼びたくなるような先生独自の味わいが出ており、遠藤文学を読み続けていた自分の若い頃のことも思い出しました。
この本を出してくださった文学館関係者、出版社の方々、その他の関係者の皆様に感謝です。
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遠藤周作の秋のカテドラルを読みました。
半分読んだところで挫折。
短編集で前半はエッセイが書かれており、エッセイの方は面白かったです。
筆者の若い頃の幼い想いとかが書いてありました。
電車で観た憧れの美人が佐藤愛子だったとか
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最初の2作品読んで断念。
どちらも女性が登場してくる話で、2作品目は特に、男性ってこういうところあるよね…女性もこういう既婚者いるよね…みたいな軽い内容で、少し冷めてしまった。
もっと人の精神面(生きるとか苦しみとか悲しみとか喜びとか…)の深い話を期待していたので、2作品に関してはそれとは違った。
サラッと読めるので軽く読みたい時はおすすめかも。
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大好きな遠藤周作先生。
新作を今読めるとは思わなかったし、出会いも知らず知らずで。
前半後半のみならず、エッセイだなと思うところもあれば、あれ?フィクションかな?と思ったり。
短編集なので、とても読みやすかった。
オチが明確なことがあ〜!って思ったり。
ん?と考えさせるオチもあったり。
遠藤周作のユーモアを感じさせる楽しい作品たちでした。