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1000年以上前の貴族の日記
2023/03/17 19:41
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
能書家としても知られる藤原行成の残した
日記が、この「権記」です。
読めば著者が藤原道長と仲良しだったこと
などが分かります。
それにしても、平安時代の公家の日記が
解説と現代語訳付きで読めるとヮ、
有り難い限り。
この分野を専門とする研究者、倉本氏による
編集なので安心して読めます。
紙の本
興味深く、読みやすい
2022/12/05 14:06
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
永井路子「この世をば」、田辺聖子「むかしあけぼの」にも登場し、とにかく仕事が出来る男という印象の藤原行成。とにかく激務でいつ休んでいたのか心配になるほどでした。昔も今も、有能な人に仕事が集中してしまうものなのでしょうか。行成本人の家族については何も知らなかったのでとても興味深かったです。難しいかと思いましたが、わかりやすくて面白く読みました
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もともと全文が揃っているわけではないが残っているすべてを掲載されているわけでもない。解説も飛び飛びで全体像はわかり難い。貴族の行事の参考にする内容である。が藤原行成家族の記述もあり。解説者の個人的感慨は蛇足だろう。
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さまざまな小説等で「働き者の平安貴族」というイメージがあったので、読んでみた。想像以上に激務でびっくり。
何より驚いたのは、藤原道長と同日に亡くなっていたこと。
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摂政藤原伊尹を祖父とし、母方を四代さかのぼれば醍醐天皇に至る。
父義孝が早世しなければ…ときっと思っていたに違いない。
それが藤原道長と同時代に生きたばかりに、官吏としては不本意なポジションしか得られなかったのが行成。
とはいえ、能力の高い人である。
早いうちに道長に尽くすことで、自分の生きる道を切り開く。
権記は彼の残した日記であり、日次の記録である。
それほど彼の内面を克明に記すものではない。
歴史家にとっては、一級の史料だが、自分など一般人は、それこそ『蜻蛉日記』のように、彼の内面を読もうとしてしまう。
それは間違っている、とは思うけれど…。
やはり一条天皇に、敦成親王の立太子を決断させたり、妻子の死去を記したりしているところは、つい身を乗り出すように読んでしまう。
編者倉本一宏さんは、学芸文庫から全文訳も出している。
全文訳は、訳とはいえ、読み通す自信がなく、まずこちらを読んでみた。
ビギナーズクラシックの抜粋版を読んでいて、語釈が欲しいなあ、と思う部分もある。
例えば「重日の忌み日」など。
解説文にも、やはり紙数の限りがあるせいか、事細かな語句については触れていない。
全文訳には、こうした部分は手当されているのだろうか?
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倉本一宏先生の「平安貴族とは何か」を読んでから、藤原行成が書いた日記である「権記」も読んでみたいと思い手に取った。面白かった!
三蹟の一人に数えられるほど能筆の藤原行成の日記が綴られている。奈良のお寺にお参りに行って観光したこと、ピクニックに行って藤原公任のかの有名な「滝の音は耐えて久しくなりぬれど名こそ流れてなお聞こえけれ」の和歌が詠まれたその場に立ち会ったことから、一条天皇に一帝二后を迫り、一条天皇の臨終に合わせて「皇后定子が産んだ敦康親王ではなく中宮彰子が産んだ敦成親王を東宮に」と進言するところまで、とても勤勉に記録が残されている。
一条天皇が定子を失った悲しみを理解していても、自分の家を守るために時の権力者藤原道長について行かなければならない忸怩たる思いも少しずつ見えてくる。一条天皇の辞世の句は彰子ではなく定子に捧げられたものであるとすら書く彼一個人のゆれる気持ちが表されていた。
藤原行成といえばその能書ぶりと佐倉にある歴史博物館の展示の「ブラックすぎる務め方」のイメージだったのだが、歳をとって出世していくたびにおやすみももらえるようになったようでそこにほっとした。
また、十代から連れ添った妻をお産で亡くした時の悲しみも身に迫る。大変に有能なんだれけども人間らしいところがある人なんだなと。
平安貴族は喧嘩もする。結構殴り合うし怒るとボコボコにする。行成も燭台で同僚の顔を殴る夢を見ており、喧嘩相手のことを「甚だ愚か」とか書き残しちゃう。夢の中とはいえ結構行成も喧嘩っ早い方なのかもしれない。
人の日記を読むのは面白いし、それが千年以上残っているのもロマンがある。
ビギナーズクラシックスの例に漏れず現代語訳、書き下し文、漢文がそれぞれ収録され、そこに倉本先生が解説を加えるという構成。漢文、古文それぞれの読み方がわかるので勉強にもなる。
倉本先生は「権記」を全て現代語訳しているらしい。そっちも読みたくなってきた。
ここまで自分の子孫のために詳細に日記を残した行成だが、息子たちが問題ばかり起こすので結局その家系は没落してしまったという結末が何とも言えず切ない。しかし倉本先生に「こいつ」呼ばわりされてしまう行成の息子たちは確かに「こいつ」呼ばわりされても仕方がないかな……という不祥事ばかり起こしている。そうした背景について解説されているコラムも面白かった。