紙の本
コロナ禍では会話が大事
2021/12/06 20:31
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投稿者:しゅうろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「P70 単一のメディアで一番長時間、それも連続でハマっていたのはやはり電話だと思ったんです。…それだけ人と対話する、しかもうまくシンクロナイズできると、長時間でもハマってしまう。」という言葉の通り、コロナ禍の減った出会いを電話で解消。話したい、声を聴きたい、が大事だと認識させてくれました。
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いろいろな業界でDXをどうとらえてビジネスの未来を描くか議論されているところかと思うが、本書はテクノロジーのみならず合意形成の歴史的な背景や宗教観など、つながりというキーワードを深掘りして鼎談の形をとっているところが読みやすい。
つながりの本質を、遠くとつなぐことと多様なことを最適につなぐこととし、レイヤー構造や多元的な社会契約を基本とする世界を最初に示している。
また、セーフティネットに対する経済学のリスク意識との関連をボラティリティやブラックショールズ方程式まで持ち出して、金融とつながりのデザインには短期投資のゼロサム的な振る舞いではなく、基本は長期投資型で信用資産が価値として認められ、貨幣経済に置き換わらない豊かさへ言及している。
貨幣価値化されなくても、幸福論的には、自分の信念で興味のあることを楽観的に進めて報酬を得ることができれば幸せな社会を思い描く。
つながりかたを選ぶ権利の行使こそが重要。
以下、キーワード抜粋一部加筆
共有価値の可視化
辛い状況だからこそお互い学ぶ行為が連鎖
国や地域に複数のライフプランを実装する
複数所属の一般化と移住や観光のカタチ
共有とは時間と空間の軸を広げて考えること
民主主義の一回性の課題、リセット
あえてテキストにしない、テキストの呪術化
SNSのシャーマニズム
社会基盤とチャーチ時代との関係性
信用資産の蓄積と複利的な効果
努力が報われる社会構造のデザイン
Facebookの利用法、着想の預けどころ
つながりのデザインと社会契約のセットメニュー
社会の数値化から可視化へ、そしてダッシュボード
マスタープランの同質化に対するダッシュボード的編集
問題解決集積はインフラでセンスメイキング集積は文化
多様な環境下で感知したものを解釈し多義性を減じて行動することで環境に働きかけるふるまい
スマートシティというよりもスマートコミュニティかスマートエリアを意識すべき。
設計図から解放された創造手法を考える。
ダイレクトにつながることを踏まえて尖った価値観をそのまま世界へ発信する。
ビヨンドSDGsのルールセッティング
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3人それぞれに、さりげなくウンチクを混ぜた発言をしていて、それはそれでフックは効いているかな。でも、鼎談全体を読んだ感じは、やや散漫でまとまりを欠いているように思います。
全体を総括するとすれば・・・、DXは、人と人の繋がりや知識の活用についての、空間と時間の壁を低くしてくれるので、多様性に富んだ一人ひとりが、より生きやすい社会をつくるために役立ってくれる。結果として社会全体を豊かにできる、というビジョンを語りたいのかな。
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DXとはなんぞやを知りたくて読み始めたが、いい意味で脱線が多かった。豊富な事例が出てきて、「そんなことがあるんだ」「そういう考え方もできるんだ」と目からウロコが出っぱなしだった。個人的に面白かったのは、P191の人的資本、社会資本、金融資本の話と、繰り返し語られる、日本の中で地域によって社会システムを変えるという提案。世界と日本の距離がデジタル化により一層近づいてくる中で、国と社会システムの概念が曖昧になっていくのでは、そもそも国家とは?と、考えさせられた。
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最近多方面でご活躍の3人による対談集。
テーマは、タイトルから推察するに「DX」かと思って読んでいましたが、
若干ズレているような気がしてなりません。。
どちらかというと将来の未来構想について、3人(ときどき一人増えて4人)で議論しているのが、
本になったという感じ。
よくよくタイトルを見ると、DXではなく、
DX「進化論」とある。。
つまり、DXのその先の姿という意味合いなのか…!?
まぁ分かりにくい…。
自分は山口さんの論調は比較的好み(賛成)なのですが、
山口さんの考えが簡単に復習できるという意味ではよいものの、
クオリティとしては、やっぱり山口さんの本には敵わないかなぁ…という印象。
3人の中の誰かのファンであれば、読んでみたらいいんじゃないでしょうか。
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互いに気を遣ってき、深い掘り下げや反論が無いため論理が薄く広く、一般論的な見解のお披露目といった鼎談。そんな中にも気になるテーマが幾つかあって、面白い着眼点だなと思った。
例えば、「一回性」の話。観光地の誤謬のように、継続的な活用が担保されなければ、一度きりの利用者に対してサービスの質が低くなっても、短期的に利益を回収することの方がメリットがあるという思考だ。ぼったくりバーに通ずる。関係の永続性と言うものをコミュニティーに復活させることが重要である。
あるいは、宗教の布教おける3段階について。教祖から直接体験得るカルト、その体験を布教するエバンジェリストが活躍するセクト、これらの死後、布教を繋ぐチャーチ。テキストにより普及させるセクトを終えた後、いかにチャーチを作るか。これは、宗教に限らず社会制度や企業の制度設計にも適応できる考え方だと思った。
信用スコアの設定の是非はあるとしても、データの共有が加速する事は、社会の質を確実に高めているのだろう。しかし、突飛で逸脱する人間が中々生まれなくなるという事は、凶悪犯や貧困を減らす事と同時に何か人間そのものが予測可能で画一的な構成単位に成り下がる不安がある。合理性の追求とは、つまり目指す所はそういう事なのだろうが。時々、意識的に道から外れる事も、人間性を保つ上で重要だ。そんな気がした。
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デジタル技術によって「最大多数の最大幸福」ではなく「最大多様の最大幸福」を目指すことが可能になってきている。相互の評価が参照可能な形で残るDiDiやUber Eatsのような仕組みにより誠実な行動が促進される社会になってきている。
そうしたテクノロジーに社会の方が追い付いていないこととして、GDPを唯一の指標とする社会評価や、政策の組み合わせを主張する人間としての政治家が多様な民意を代弁する間接民主制が挙げられる。より多様な指標をリアルタイムで評価し、政策単位で人々のニーズを吸い上げる直接民主制を実現できるはずである。
全員が納得する課題が解決され人々の不満が解消された今、社会のニーズは多様になり、その平均をとるしかない社会システムでは誰も満足させられなくなっている。国家の枠組みにとらわれず、複数の社会システムを存在させて、人々はそれらの中から自分で選択するような仕組みを著者らは主張する(いきなり実装するのは暴論以外の何物でもないと思うが。)。その社会では、人は移動と再チャレンジのチャンスを持ち、ベーシック・インカムによって企業ではなく個人が直接保護される制度が前提として必要になる。
そうして、多様な幸福を人が自由に選択し追求できる社会の到来こそがDXの目指すものであるとの提言と受け取った。
面白い視点があったが、対談もので論点が深掘りされないまま発散していく内容であったため、星3つ。