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近い将来
2022/01/16 23:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミカエルのような医療支援ロボットは、出来そうな気がします。そうなると、このような対立や、ドクター同士の葛藤といったものが、生じるでしょうか……。
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前半は、心臓のこと、治療のこと、院内政治のことが丁寧に書かれていて、難しいところもあり、読み進めるのに時間がかかった。後半どんどん面白くなり、読むのが止まらなかった。西條先生ここで終わらんで欲しいな。
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【心臓外科医に託された少年の命。この医師は神か、悪魔か――】手術支援ロボットを推進する心臓外科医とドイツ帰りの天才医師。難病の少年の治療方針をめぐり二人は対立。命の意味を問う感動巨編。
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作者初の医療小説。
手術支援ロボット「ミカエル」を使用した手術の第一人者である心臓外科医の西條。
そこへドイツ帰りの天才外科医・真木が現れ、心穏やかでない西條だったが、西條と真木が勤める大学病院へ12歳の生まれながらの心臓病を抱えた患者が入院してくる。
その患者の手術を巡って、対立する二人の意見。
そんな中、全国の病院で起きているミカエルの医療事故を追っているジャーナリストが西條の元にもやって来る。
ミカエルの不具合を信じたくない西條は、12歳の少年の手術をミカエルで行うことを決断するが…
500ページ近くの専門分野以外の小説を書くのには、相当の取材と労力が行ったと思うが、主人公の西條が何だか面倒臭い人間で、医療シーンもそんなに多くなく、これまでの柚月作品と比べると、かなり微妙…
それでも直木賞候補選考はめでたい!
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柚月裕子さんの467ページにわたる医療ミステリーの力作です。
私は柚月さんのファンですが、この作品は私的には「うーん」でした。
手術のシーンの描写はどれだけ勉強したのだろうという凄いものでしたが、エンタメ的な面白さは前作の『盤上の向日葵』『検事の佐方』シリーズなどと比べるといまいちと思いました。ミステリー的な要素が弱いと思います。
ストーリーは北海道中央大学病院に勤務する、心臓外科医でミカエルというロボットを操作して手術をする西條とミュンヘンから帰ってきた心臓外科医で自分の腕一本で手術をする真木が12歳の患者白石航の手術をどちらがやるのかの判断をします。
ミカエルにはとある噂話があり西條は考え抜いた末、最善と思われる判断をしますが…。
この作品、描写が細かいのですが、ストーリーはそんなに複雑ではないので、これ以上書くと最後まで書いてしまうのでやめておきます。
そのかわり、作者の柚月裕子さんについて知っている逸話を書きます。
4,5日前にやはり柚月さんの経歴をレビューに書かれているブク友さんがいらっしゃいました。
その中に柚月さんが小説の市民講座を受講されていましたと書かれていましたが、私も同じ講座を受講及び運営のお手伝いをやっていました。
今ではもちろん柚月さんを応援する地元のファンの一人でもあります。
私は講座創設直後からのメンバーだったのですが、柚月さんは私が講座を一旦、止める直前に入って来られました。(一旦止めて、再受講しました)
第一印象は「孤高の人」。受講生の誰かとつるむことはせずにいつも、講座のゲストの作家の先生と話されていた記憶があります。(講座のゲストは月替わりです)
柚月さんが講座に作品を提出されたのは私が止めてからなので、残念ながら私は柚月さんの習作は拝読していません。東京からやってきた作家の先生に「この人は化けるかもしれないよ」と言われたという話は有名です。
柚月さんは「このミス」で『臨床真理』という作品で大賞を受賞してデビューされます。
講座のコーディネーターの文芸評論家の池上冬樹先生によると「水臭い。書いてること言ってくれなかった」という話です。池上先生は応募作もみてくださるのですが、柚月さんは一人で応募されたらしいです。
柚月さんはとにかく経験がないので何でもとことん調べて書かれるとおっしゃっていました。
柚月さんは地元では一番の人気作家で(講座からは他にもかなりの人数がデビューされてはいますが)講演会やら地元のテレビ出演やら、持ち前の美貌と話力が凄いです。
講座にいたとき、私は受講生の連絡係をやっていたので、柚月さんとメール交換はしたことがありますが、一対一で話した記憶がありません。人数は当時30名程だったのに。
だからこちらは一方的に柚月さんを知っていますが、柚月さんは私のことは記憶にないのではと思います。
蛇足になりますが、私は小説を書きたいと思ったことは一度もなく書いたこともありません。講座にはあくまで知識欲と友達作りのために通っていました。
私が通っていた頃��、講座のことはネット流出厳禁と訊いていましたが、最近解禁になったようなので書いてみました。(でも、あんまり知る人ぞ知るの情報がなくてつまらなかったかもしれないですね。ごめんなさい(__))あまり噂話が過ぎるのも何なのでこの辺で…。
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手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條とドイツ帰りの天才医と医師・真木。心臓の難病の手術を巡り、二人は対立する。そんな中、西條を慕っていた若手医師が自殺し、ミカエルに関する疑惑を感じる。西條に近づくジャーナリストの黒井は、その疑惑を白日の元に晒す事を西條に持ちかけてきて…
西條と言う人間は、プライドが高く自分に絶対の自信を持ち、向上心の塊みたいな人で何となく冷たい人なのかと思ってましたが、徐々に考えを変えて患者第一に変えて行けたのは好感が持てました。
出てくる人物全てに腹に一物で、あまり誰にも共感は持てませんでしたが、唯一の救いは航くんが助かったのはホッとしました。
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手術シーンや病院人事、医療メーカーとの癒着など医療小説のてんこ盛り。よくある話だけど人物像がしっかりしてるから面白かった。
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*
長編医療小説
誰の命も平等にいつか終わりを迎える、
そして命の価値は誰もが平等なはず。
でも、受けることが出来る医療は貧富の差や、
暮らす環境で平等でなくなってしまう。
誰もが平等な医療が受けられることを目指し、
機械支援下手術に真っ向から取り組む
外科医 西條が対峙する医療界の闇と心の葛藤。
権力を盾に歪んだ考えの立場ある人が、
現場で患者の命と向き合って闘う、
最前線の医師から良心を掠め取っていく。
主人公は医師だが、医療界に属する人々の良心や
歪んだ正論を綴った医療長編小説。
医療用語や鮮やかに描かれる人の心の葛藤も
読み応えあります。
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手術支援ロボットミカエルを操りいくつもの成功をおさめてきた心臓外科医西條とドイツから戻った天才医師真木。難病の少年航を救いたい2人の対立の裏で、ミカエルとは天使か偽物か、医者とは神なのか、命の重みとは、医師と患者の関係とは、いろいろな葛藤とたたかいながら医療のあり方を問う。
重たいけど、内容はとてもわかりやすかった。
188冊目読了。
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読みごたえあった。
ミカエルは医療用のロボット。ダビンチをイメージ。
しかし課題はそれを扱う人間であり、ロボットを開発してそこで収益を上げている企業。
主人公はミカエル側であったが、医療の倫理に改めて向き合って戦うことになる。
当初のライバルはロボットを使わず神がかり的な手業で手術を成功させる医者だが、彼が主人公の目を覚ますことに。
そして隠蔽体質の企業がここに絡む。
医療現場と企業と個人の葛藤が見事に描かれている。
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第1章は病院の勢力図だったり心臓手術の説明が大半を占めているため、なかなか読むスピードが出なかったが、主人公西條のライバル関係にあたる真木の登場から一気に読ませるところはさすがの手腕。
予想通りの展開だったオペの場面も2人のキャラクターの魅力でグイグイ引き込んでいく。
西條と真木の今後が気になるところ。続編を期待していい?
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まず一言、感動した。
私にとって、初の柚月裕子作品でしてどんな感じなのかと最初読む前思っていたのですが、見事ハマりました。作品のテーマとしては、医療の裏と表で、難しい医療用語がいっぱい出て来ます。でもそんなことも忘れるぐらい文章はとても読みやすくて、引き込まれます。柚月さんはとても取材力がすごいんだなと感じました。リアリティと緻密に組まれた文章。圧巻でした。
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ロボット支援手術を得意とする心臓外科医が、圧倒的凄腕の開胸派のライバル出現で、精神的に病んでいく展開かと思ったら、患者に真摯に向き合い、お互いにベストを尽くす中で機器の不具合という不正に立ち向かっていくという至極真っ当な流れで、気持ちよく読了した。
登場人物それぞれが身内を心臓病で亡くしていたり、疾患を抱えていたりというのは偶然がすぎるようにも思う。
常に自省しながら努力を積み重ねる中で、客観的第三者から評価、支持されることは勇気づけられることだろう。
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『すべてが白い。あたりを見渡す目印はなく、どこを歩いているのかわからない。右も左も雪だ。予定では、今日中に下山するはずだった』とプロローグに書き始めている。
柚月裕子さんが書いた医療ミステリー小説は、初めてなんでしょうか。この小説から作家の熱意が感じられた。多くの時間をかけ、取材活動し勉強したのだと思う。
北海道中央大学病院に、手術支援ロボット(ミカエル)を操作する第一人者で、心臓外科医西條は、命は平等だからこそ、より高度な医療の水準を上げ、病で苦しむ人々に公平に受けられる未来を望んでいた。
ミカエルを使う利点は、患者の負担を最小限に抑えられ、従来からの開胸術ではなく内視鏡で行う点で繊細な作業も可能。第二は、複数人の患者に執刀医一人が、手術室に入らず、ガラス張りの操作台の前の椅子に座ったまま遠隔操作が可能な点である。操作室を独立させることにより、既にスタンバイされている次のスタッフと患者に、そのまま執刀医が移動できる。(手術着の着替えや消毒等が不要)
北中大病院は、循環器第一外科の医師が退職することになり、後任が誰になるのか注目されていたが、西條でさえ思いもよらない人事が病院長から発表された。世界的にも知られている心臓手術の専門病院で、まさに活躍中の人物(真木)を説得したのだ。しかし、西條にとっては懐疑的だ。それに、西條医師に係る広報及び取材は、今後一切禁止になった。
ある日、良からぬ情報が入った。広総大病院で親交のある布施医師が、病院を退職し失踪した。彼もまたミカエルによる手術を推進する一人だったのだ。
東京の病院から、患者を紹介された。
白石航・十二歳・先天性心疾患で難病だ。
手術の方法で、真木医師と対立した。
西條は、諸事情で決断を迫られている。今、彼に降りかかっている疑問が、謎のままなら術式は決められない。
エピローグ(一部抜粋)には…「生きようとする命を見殺しにすることはできない。それが、他人でも自分でもだ。ひとしきり強い突風が吹いた。きつく目をつむる。次に瞼を開けたとき、視界に西條は目を見張った。風が止み、立ち込めていた雲から差し込む光が、あたりを照らす。(中略)眩い景色に目を細めた。命をめぐる厳粛な世界を感じる」と書かれていた。
何といっても、手術の模様を文章で実況している様は、読みながら自分の心臓がバクバクと早鐘を撞いた。
読書は楽しい。
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ミカエルと言う名の外科手術ロボットを
操る名医の命への葛藤、そして院内の権力
争い、そこにに患者の命の重さははたして
平等なのか?
命の平等と言いながらそれと正反対の出世欲
やミカエルと言う神の手を手に入れた医師のエゴ
を赤裸々に描き出し、現代医療には最先端の技術
はこれからも必要だと思うが、それを扱う
医師のモラルが問われる問題作だと思う。