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紙の本
東西の霊性思想の交わりによる希望
2021/09/27 21:32
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投稿者:三分法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の著者が、「霊性」について考え始めたのは、宗教改革者ルターを人間学の観点から研究し始めたときであるという。その研究は発展して、ヨーロッパ・キリスト教思想史を通しての霊性の機能の解明に向かった。さらにこの霊性思想の研究はさらに進展し、本書の主題である東西の宗教、特にキリスト教と仏教における霊性の特質を比較考察によって霊性の理解を深めるように促されたと筆者は述べている。人格主義的なキリスト教と汎神論的な傾向を持つ仏教では、その発現形態では相当な開きが見られ、対立が見られるのに、なぜ、二つの宗教を比較考察できると考えられるのか。その理由は、霊性が、感性や理性と同じく、洋の東西誰にでも備わっている共通の機能だからである。そして霊性上の事実である東西の二つの宗教が出会い、対話し、交わることによって個性化が進展し、それぞれの信仰の深化と普遍化にいたる希望を持つことができるのではないだろうか、と筆者は語っている。また東西の宗教が協力することによって、現代社会の無信仰とニヒリズムという時代精神を克服する希望を持つことができるのではないかと。
なお本書の表紙は、仏像とイエス像が向かい合うものになっており、日本仏教とキリスト教との対話の進展を期待するようなものとなっている。
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